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余話 居間にて
「今度は部活か」浴室の扉が閉まる音が幽かに聞こえると、巌が口を開いた。
「しかも新しく作るって、驚いたわね」
「高校の時そんなこと考えもしなかったな」
「私も。料理部とかなかなかないし、やりたかったら作るしかないんだろうけど」
「何にしても結構なことだ」
「そうね。出来たらいいわね」
「君はブラバンでトランペットだったな」
「ええ」
「文化部ってどんな感じなんだ?」
「うちは体育会系だったからなー。基礎トレとかけっこう厳しかった」
「そうなのか。基礎トレってどんなことやるんだ?」
「ランニングと筋トレ」
「基礎練じゃなくて基礎トレか」
「吹奏楽はまず筋力と持久力だから」
「そうだな」
「練習厳しかったけど、その分上達したから楽しかった」
「そうか」
「三年の時全国行ったのよ」
「初耳だぞ」
「そうだっけ?」
「ああ。今度一曲頼む」
「あら。長いことやってないから練習しないと。しばらく時間もらうわ」
「楽しみにしてる」




