表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リセエンヌ  作者: 松本龍介
32/62

余話 居間にて

余話 居間にて


 「いやー、ビックリしたわー」部屋に入るなり、晶が言った。声の調子は全然ビックリした感じではないが。

 「どうしたの?」清秀が訊く。まだ何も聞いていない彼の方が慌てた様子である。

 「クロがね、うちに来る前一週間ぐらい梨乃ちゃんの家でお世話になってたんだって」

 「梨乃ちゃんて高辻先輩!?」康秀が割って入った。

 「そう」

 「そりゃまた世間狭い話だねえ」清秀の声は落ち着いたものに変わった。

 「しかも梨乃ちゃんが飼ってるシェパードに超なついてたんだって」

 「へーえ」

 「今もその子にベッタリくっついてた」

 「え!? 今来てんの!?」また康秀。

 「うん」

 その時、碧がクロを抱えて部屋に入ってきた。いや、抱えてというよりはぶら下げて、の方が正確だ。クロは両足をバタバタさせて逃れようとしているが、碧の方が巧者である。

 碧は晶の前に行くと、

 「逃がさないように」と言ってクロを差し出した。

 「ラジャ!」晶が慎重に受け取る。

「おお、これはイキがいいわ」晶の手に移ってもクロは変わらず抵抗を続けている。

 「じゃ、行ってきます」

 「行ってらっしゃい」

 碧が再び扉の向こうへ消え、晶は清秀の隣に座った。

 「よっぽどそのシェパード君が好きなんだねえ」

 「時々来てもらった方がいいかな?」

 「そうだね。僕もそのシェパード君見たいし」

 「めっちゃおとなしくて可愛かったよ」

 「何ですと! それなら僕も呼んでくれないと!」

 晶は清秀の抗議には取り合わず、

 「もう一匹柴もいて、その子は何て言うかな…ふてぶてし可愛かった」

 「興味深いね。次回は僕にも声かけてよ! 碧にも言っといて」

 「りょうかーい」実に気の無い返事だが、

 「じゃ、お茶でもいれるよ」清秀は機嫌良く席を立った。

 「よろしくー」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ