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国営会社『黒葬』~秘密結社は暗躍し、世界の闇を『処理』する~  作者: ゆにろく
Ⅱ 南極古代都市『アトランティス』編
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第77話 恐竜戦線

私生活が忙しく執筆が遅れていましたが

ポイントと感想をいただいたので

それに報いるべくなんとか一話書きました!!

『――作戦は以上だ。繰り返すが、今回の任務はあくまで無防備になる坂巻の護衛。恐竜と思しき巨大生物への攻撃は必要最低限に抑えろ』


 指令本部長、獅子沢の声がイヤホンを通し、聞こえる。


 燈太の快諾後、指令部と現場の社員による議論の末、扉の向こうにあるとされる『情報』はリスクを冒してでも収集すべきという結論に至る。

 そのあと、指令部を交え、どう立ち回るかの作戦会議が行われた。

 待機組は静馬、藤乃。紅蓮、空、幽嶋、ネロ及びシール、そして燈太のメンバーで恐竜のいる部屋へ突入することが決まった。燈太はただ、一目散に台座へと向かいそこで能力の発動させる。(台座は金属製であるため、『オリハルコン』の効果を受けない) その後、能力で情報を持った『UE』を解析。

 その間、他のメンバーで恐竜の注意を引く、もしくは一時的な戦闘不能状態へ追い込む。燈太の解析が終了次第、台座にある無加工の『オリハルコン』を奪取し部屋を出る。

 作戦の概要は以上だ。


『それでは、作戦開始』


 燈太を殿に、紅蓮が先頭で、風除室への扉を開いた。


「準備いいな?」


 紅蓮の言葉に皆が頷いた。


『突入!』


 紅蓮が恐竜のいる部屋への扉を開く。

 恐竜は起き上がり、


 吠えた。


 空気が震える。迫力は尋常じゃない。

 しかし、燈太に恐れはない。

 心強い仲間がいるからである。


 皆が駆けだすより早く、幽嶋は小さくジャンプをした。地面から足を離せば、『オリハルコン』の効果は受けない。瞬間移動で恐竜の眼前へ飛び、鼻先を蹴り飛ばした。


「ま、鬼ごっこでもしまショウか」


 恐竜は幽嶋を噛み殺そうと、大きな口を開けて、襲い掛かる。しかし、既に幽嶋はもうそこにはいない。壁、天井、床、全てが『オリハルコン』のこの部屋にて、『超現象保持者ホルダー』は能力が封じられる。しかし、それは『オリハルコン』に触れている故のこと。幽嶋は瞬間移動を駆使することで、疑似的な空中戦を可能としていた。落下して床に足が付く前に、どこか空中へと瞬間移動する。それの繰り返しである。


「ネロも混ざる!」


 燈太達を追い抜き、恐竜へネロを乗せたシールは駆けていく。

 シールの体長は3mほどあり巨大だが、目の前の化け物はその倍ある。超巨大な相手に対して向かっていくのは無謀。そう思えた。

 恐竜は、向かってくるネロとシールに気づいたようだ。鋭利な爪でネロを真っ二つにすべく、飛びかかった。

 パワーは身体の大きさに比例する。シールと恐竜が力比べをするのであれば勝負は一瞬であろう。しかし、今回の目的は攪乱。

 シールはその巨体から考えられないような機敏な動きを見せ、小回りを利かし恐竜の足元へと潜りこみ爪を悠々と躱していた。ネロもシールに指示を出し、自分に爪が襲い来れば、俊敏な動きで身を屈めたり、左右に身体を傾け攻撃をかわしていた。


 上空から幽嶋、地上からネロとシールによる攪乱。

 それは、死と隣り合わせの神業であった。


 恐竜は台座から離れつつある。

 燈太はその隙を突き、台座へ走った。

 台座まであと数m。急に恐竜は燈太の方を向いた。


「!」


 やはり台座を守っている。挑発をし続ける幽嶋達を無視し、台座へ一番近づいた燈太の方へ走ってきた。

 恐竜はしっぽを振り、燈太を跳ね飛ばそうとしている。


 作戦会議の時、燈太はこう言われている。「一目散に台座へ行け」。皆を信じ、恐竜を見ず歩みを止めない。


「任せとけッ!」


 紅蓮が恐竜と燈太の間に飛び込む形で、しっぽのフルスイングを受ける。紅蓮は数mふっ飛ばされた。しっぽは紅蓮の腹部に炸裂し、彼の内臓に大ダメージを与えた。しかし、


「良いスイングじゃねぇか……!」


 紅蓮はしっぽがヒットする瞬間、幽嶋同様足を地面から離していた。超再生能力は健在である。受け身を取り、すぐに立ち上がる。


 燈太は台座へ到着した。

 皆が切り開いてくれた道だ。

 必ず、『黒葬』に有益な情報をつかみ取る。


 そして、この『アトランティス』の謎を全て明らかにするのだ。


 燈太は指先を合わせ能力を行使した。

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