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国営会社『黒葬』~秘密結社は暗躍し、世界の闇を『処理』する~  作者: ゆにろく
Ⅱ 南極古代都市『アトランティス』編
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第72話 紺碧の間(1)

「オカルトなんてない」


「都市伝説なんて嘘っぱちだ」


「かわいそうに」


 その言葉は燈太の心の熱を奪った。

 燈太が受け入れねばならなかった現実・・はそれほどに重く、燈太の心はどこかで死んでいた。


 ◆


 罠は階段の多くの場所に設置されていた。矢が飛んでくるような物や、トラバサミのような物。幸い階段に埋め込まれたオリハルコンの量は増えることはなかったので、慎重に進むことで、各々の能力で調査員をカバーしつつ進むことができていた。


 階段を降り始めてから、20分近くが経過した。今のところ怪我人はいない。


「とうとう見えたぜ……!」


 先頭の方、多分紅蓮の声だ。ライトの光を見るに先頭は歩みを止めている。その理由はすぐにわかった。

 階段は紅蓮のいるところで終わっていたのだ。長かった超巨大な階段の先にあったのは開けた空間、そして――


「扉……か?」


『オリハルコンで出来ていますね……』


 階段の最後の段から数メートル先、両開きの扉があった。色合いから想像するにオリハルコン製。扉の大きさは、だいたい体長が3mあるシールでも問題なく入ることができるだろうほど。


「絶対なんかあるッスね、この先に」


 間違いない。この先だ。この先に『アトランティス』の秘密がある。


『こちら指令部獅子沢。前方の扉はハイド単体にて突入を試みて、安全確保できれば続く形で紅蓮から順次突入を行う。ハイド以外は後方待機だ』


 指示を聞き、燈太を含め皆が階段の方へ集まる。ハイドは扉へ近づいていく。

 扉にノブや鍵穴は見当たらない。ハイドは全身を使って押して扉を押していく。ギギギという重い音が響き、扉が開かれた。


『はて……、どういうことでしょう』


 ハイドが疑問を呈した。

 燈太達は暗さと距離からハイドが何をみているのかがわからない。


『開けた空間があります。そして、目の前には扉です……。また』


 ハイドの言葉に皆が顔を見合わせる。


「扉が二つ?」


「風除室デスかね……? いやまあ、寒いですけど……」


『……あと、この空間は壁もオリハルコンで出来ています。……では、このハイドもう一枚扉の向こうへ進みます』


 オリハルコンで作られた扉の向こうにあったのは、オリハルコンで出来た風除室。

 雪国の玄関などにある外気の侵入を防ぐため作られた空間が風除室である。

 何かを中にいれたくない。……もしくは――


 ハイドは、こちら側の扉を一度閉めた。それに合わせて、静馬はリュックからタブレットを取り出す。


「これで、課長に取り付けれたカメラの映像を確認できる」


 カメラ越しというのは少し残念だが、扉の向こうをリアルタイムで確認できるということだ。全員の目線がタブレットに集中する。


 ハイドが奥の扉を押しはじめ、隙間が広がり、そこに見えたのは。


 ――『アトランティス』の最深部。


 一面が真っ青だった。部屋には光る例の苔が生えており、明るい。

 広さとしては学校の体育館ほどだろうか。その壁、床、天井、すべてがオリハルコン。トンネルでみた青い部屋巨大版と言っても過言ではない。


 部屋の中央には、鉄か何かできた台座。そのうえに何かが置かれている。


 だが、その全てを差し置いて存在感を放つものがある。

 いや、いる(・・)


「ありゃなんだ……」


 台座の後方。何かが丸まって寝ていた。尾は長く、トカゲのような見た目をしている。

 しかし、サイズが尋常ではない。

 体長が3mあるシールよりも数段大きい。


 ハイドが扉を完全に開けきり、部屋に侵入した途端、その怪物は立ち上がった。


 雄たけびを上げるそれは、図鑑でしか見たことがない絶滅した最強の爬虫類。


 ――恐竜である。

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