表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
国営会社『黒葬』~秘密結社は暗躍し、世界の闇を『処理』する~  作者: ゆにろく
Ⅱ 南極古代都市『アトランティス』編
62/171

第57話 因縁は血に染まる(3)

 拳が当たる直前、インパクトの刹那、福田の身体が不自然に下がった。


 ――あれを避けれるはずがッ!!


 タイミングも完璧だった。


 ――まさかッ!!


 跳弾。


 春奈が直進した時、その身に受けた弾性弾。あれが春奈の身体で跳ね返り、拳が直撃する刹那、福田の身体を後方へのけぞらせたのだ。

 ここまでで多くの弾が跳弾していた。それが福田の方へ飛ぶようなこともあった。それを避ける動作はなかったことから、通常、弾は福田に影響を及ぼさないと考えて良い。


 ――もし、そのオンオフが切り替えれたとして、あの状況でッ……?!


「テんメェ……!」


 福田は吐血した。

 確かに直撃はしなかったものの、あれは無傷じゃすまない。こちらを鬼のような形相で睨みつけていた。


「うっ……!」


 春奈も無事ではない。

 真正面からクリーンヒットした弾性弾は、恐らく春奈の肋骨をへし折った。

 春奈の呼吸は浅く、苦しいものとなっている。


 両者は肩で息をしながら、にらみ合う。

 お互い、手を伸ばせば相手に届く距離。

 春奈も福田も、相手の命を奪うことができる即死技を携えている。


 ――もうどうしようもない間合い。


 それを理解し、2人は動かない。

 動けば、両者、少なくとも片方は死ぬ。


 春奈は笑った。


「……笑うの……やめたの?」


「……負けらんねぇ」


 福田が笑うことはなかった。


「負けらんねぇんだよ……。アイツ(・・・)のためなんだ……。アイツ(・・・)の」


 福田はぼそぼそと呟いた。

 まるで自分に言い聞かせるように。


「負けられない……?」

 

 その言葉が春奈に火を付けた。

 

 ――負けられないのは

  

 春奈は深く息を吸った。




「俺は負けらんねぇンだよォォォ!!」

「お前には負けられないッッッッ!!」




 両者が同時に動いた。

 春奈は思い切り前に右足を踏みだし、右腕を前へ出す。

 福田は腕を動かし、春奈に照準を合わせる。


 福田は腕から散弾を放ち、春奈は衝撃波を放つ。

 福田はもちろん春奈に向けて撃った。


 ――しかし、春奈は福田へ向けては撃たなかった。


 春奈の出した右の手のひらは福田へ向いてはいない。

 右方(・・)へ向いていた。

 先ほど前に出した右足は、踏み込みのためではない。

 軸足(・・)である。


 春奈の右方へ放たれた衝撃波は壁に当たり、その反作用で春奈は右足を軸とし、右腕から左へ向かって半回転した。

 よって春奈は半身になり、福田が放った散弾は虚しくも空を切った。


「なッ!!」


 しかし、ここでは終わらない。春奈のこのターンは回避行動ではないからだ。

 回転の勢いを殺さないまま、もう半回転。

 その時、左足は地面を離れていた。回転の勢いをのせた左足は、福田に向かい高度をあげながら伸びていく。

 

 つまり――


「がはっ!!!」


 ハイキックである。

 その威力は福田の脳を揺らすには十分だった。


 なぜ、その攻撃手段を選んだのか春奈は自分でもわからなかった。

 勝つイメージとして、自然と思い浮かんだのがこの手段ハイキック

 殺せるようなものではない。まるで殺すことを良しとしないような攻撃手段である。


 ――あぁ、あの時か……。


 紅蓮と初めて会ったあの日、春奈の意識を刈り取った決め手であった。


「……チッ」


 紅蓮からは、非殺傷術(余計なこと)も学んでしまっていたらしい。


 よろけ、呻きながら福田は倒れゆく。

 演技ではないと思うが、気を抜かずそれを春奈はそれをみていた。


 福田はぐったりと倒れた。


 春奈は福田を見下ろした。

 この時をずっと待っていたのだから。

 両親の無念を晴らす、この時を。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ