Prologue
――星の導きは指し示す。(『黒葬』社長 星鳥院闇十郎の『お導き』より抜粋)
都内某所。
そこにあるのは地上6階建ての何の変哲もないビルだった。
特徴は広い地下が5階まである点だろう。
魔術団が東京にて儀式を決めたのは10年近く前のことである。
故に本命の儀式を行う場所の準備は完璧であった。
魔術団における資産の多くを投じ、買い取ったそのビルは在日の魔術団支援者によって日頃は管理されており、いわゆるペーパーカンパニーとして存在している。
しかし、その実態は今日行われる儀式の祭壇に他ならない。
地下5階。
そこには巨大な魔法陣と、大量の『供物』があった。
供物。
それは、魔術団が起こしたニューヨークテロで流された大量の血、臓腑である。
テロはこの儀式のために起こされたのだ。
その魔法陣を取り囲む形で、赤いローブを羽織った魔術師が11名、私服の男が2名、計13人の男が佇んでいる。
「極夜」とは、太陽が沈んだ状態が続く現象のことである。
「時は来た……!」
『暁の1』カレイコス、はそう告げた。
「これより、魔術の祖にして我らが太陽!
ゼフィラルテ・サンバース様を現代へと降臨させる儀式を執り行う!」
ここに集まる人間はそれぞれの意志をもってこの儀式に望む。
それは、自身の名誉、はたまた、魔術団への忠誠か、探求心、保身、信仰、様々であった。
「そして我ら、魔術団に太陽が昇り、『極夜の魔術団』は!」
「白夜」とは、太陽が沈まない状態が続く現象のことである。
「『白夜の魔術団』へと生まれ変わる!」
――黒の組織は白の名を持つ集団と大きな衝突を起こすであろう。ここで白旗を降れば、組織はおろか秩序は崩壊す。
カレイコスは声高らかにこう続けた。
「『白夜の魔術団』に栄光を!」
魔術師は皆、祈る。
「陽光よどうか我らにご加護を!!」
――命運分かつは、新たな『星』である。しかと心得よ。一度歪んだ星座らを直す手段など時を戻す他ないのだから。
3部は、バトル多めです。これからもどうぞよろしくお願いします。