表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
国営会社『黒葬』~秘密結社は暗躍し、世界の闇を『処理』する~  作者: ゆにろく
Ⅱ 南極古代都市『アトランティス』編
102/171

幕間

「完了した」


 シェパードは冷たくそう言い放った。


「どうも」


 ハールトが少女に初めて会ったとき、彼はある人物を連れて行った。


 それは、爆破魔術の使い手『黄昏の5』シェパードである。


 シェパードは、春奈との別れ際、彼女に触れた。それによって、木原達同様、いつでも始末することができたのである。

 ハールトが位置を確認し、少女が『黒葬』本社に帰ったところを見計らい、起爆した。

 現在、少女は福田の『器』を継承したことで威力は上々。強襲時は『黄昏の3』に配慮して行わなかった手だ。本社にダメージを与えるに等しいパワーはある。


「うまく行きました。恐らく足止めにはなるかと」


「……それでは儀式を始めるとしよう。我ら『極夜の魔術団』……いや――」


 ◆


 燈太達は爆発の音を聞き、すぐに受付へと駆け付けた。

 確か、月野春奈が帰還したはず。


 そこには立ち尽くす紅蓮、崩れ落ちる葛城、そして、何か光り輝く壁のようなものがそこにはあった。


「……『黒葬』本社の最終防衛装置『暗幕』」


 そう、近くにいた指令部長の獅子沢が呟いた。


「『UE』の発生かつ、周囲の物に被害を与えるのを予測した時、その対象を瞬時に包囲する形で自動発動する電磁バリア。それが『暗幕』だ」


 『黒葬』本社は燈太という何の能力があるかもわからない少年を保護した。

 多分、それができていたのは、この装置があるゆえだろう。そして、この装置が発動したということは、恐らく春奈の身に何かが。


「……指令部長。これを切ってくれ。中に春奈がいるんだ」


 紅蓮が静かに、そして震えるような声でそう言った。


「聞こえねぇのかッ!!」


 紅蓮は声を張り上げる。


「紅蓮」


 玄間は、紅蓮に近づいて肩を叩き。そして、首を振った。


「お前がいない間、恐らく月野と同じ方法で魔力を得た男が突然死している。先ほどわかったことだが、司法解剖の結果、体内で爆発が起きていた……。きっと同じ方法だ」


 爆発音を聞きつけ、ここへやってくる前、月野春奈の事を獅子沢や玄間から聞いた。彼女は魔術団に利用され、魔力を受け取ったある種、人工的な『超現象保持者ホルダー』だったのだ。

 つまり、この爆発は――。


「じゃあよ……元凶は『極夜の魔術団』か?」


「あぁ」


「ッ……!」


 紅蓮は玄間の胸ぐらを掴む。


「なんでッ、俺達をすぐに帰還させなかった!! 何が『白』の名の付く組織だッ! んな実態の見えねぇもん後回しにして『極夜の魔術団』を潰すのを最優先にすべきだったんじゃねぇのか?!」


 『極夜の魔術団』が『黒葬』本社に強襲を掛けた時、紅蓮は帰還を強く勧めていた。それを拒否したのは対人課長玄間である。『アトランティス』の成果が必要だと、そういった。『アトランティス』の成果は、お導きにある『白』と名の付く組織との衝突を考えて、最優先であると判断した。

 本当にそれは最優先だったのか。

 先に『極夜の魔術団』ではないのか。

 調査を切り上げ、すぐに帰還したとしても、早まるのは精々数時間だろう。しかし、その数時間で救われた命があるかもしれない。

 紅蓮の怒りはもっともだった。


「……」


「なんとか――ぶッ」


 玄間は紅蓮を殴り飛ばし、そのまま2m近く吹っ飛んだ。


「落ち着け」


 紅蓮は、血だらけの顔で玄間をにらみつける。


「……落ち着けだァ? あんたの采配ミスじゃねェの――」






「――その『白』と名の付く組織こそが『極夜の魔術団』だ」






 玄間はそう言った。


「いや、言い換えよう。俺達が『処理』しなきゃならん相手は、



 ――『()夜の魔術団』だ」

次回から3部です。

評価、レビュー、感想(一言でも全然嬉しいです)お待ちしております。励みになるので! これからも執筆頑張ります!


~補足~

・29話を読み返していただくと、シェパードが春奈に魔術を仕掛けたシーンがあるかと思います。良かったら探してみてください。

・実は、機密文書が解読されて以降、獅子沢、玄間、葛城のセリフや地の文において、『極夜の魔術団』が『魔術団』という言い回しに変わっています。(ミスがなければ……)

・『暗幕』がビヨンデに対し発動しなかったのは、電波妨害結界があったからです。ちなみにこの結界は透過を使って地中に札を配置し、張っていた結界なので、ビヨンデが死んだ今また貼るのは不可能になりました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ