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母に女奴隷を贈るのだ

初投稿に付き誤字脱字等ご容赦お願い申し上げ奉り候

報告が下さいましたらこっそりと修正します。

 鬱蒼と茂る森の中に、一箇所だけ草木の無い開けた空間があった。

 そこにはカン、コンと子気味よくも鋭い音が木霊する。

 繰り広げられているのは剣戟であり、打ち鳴らしている者の片方は青年だった。

 銀の髪を短く切りそろえ、蒼い目は相手を油断無く見据えている。中性的な顔立ちも、その目の鋭さから凛々しいという印象を受ける。

 振るう武器はロングソードを模した木刀・・・と言うにはやや長く、刃渡りは1mを超えている。

 しかし、およそ完璧に近い身体捌きと剣捌きによってそれは迫る2剣を完全に捌き、いなし、そして切り返していた。


 対する相手は完全に異形だ。女の上体に蜘蛛の下半身、アラクネと呼称される魔物だった。

 黄金の髪に碧の瞳、白い肌は陶器かシルクと形容して尚不足を感じるほどに美しい。上半身には体のラインが見える 異国風の服(チャイナドレス)を纏っており、艶のある白地に華美な金の刺繍が女性としての魅力を引き立てる。蜘蛛の身体も黄金の体毛で覆われ、いっそ神の使いではと疑問に思うほどに美しいが、否。魔物である。

 両手の2刀は青年の木剣よりは短いものの、やはり片手で振り回す物ではない。それを青年の防御の薄い場所へと的確に、最短距離で振るっていく。体高はアラクネの方が頭2つ分高く。その分振り下ろしの威力は高くなる。一刀を振り下ろしている間にもう一刀が相手の反撃を防ぐために動き始めている。


 アラクネは有利な振り下ろしを主軸に、切り返して、突いて、また振り下ろす。間断なく、隙を晒さず、大振りをせず、詰めを焦らず、確実に、倒すためでなく追い詰めるために剣を振るい続ける。

 青年もまた剣の間合いを活かし、払い、流し、打ち上げて、振り下ろす。受けず、離れず、読みを違えず、機を焦らず、慎重に、倒すためでなく勝利条件を満たすために剣を振るい続ける。


 戦いは、2時間に及んだ。中空に舞う2刀は青年が改心の一撃で打ち上げたものだ。そして、


「これは、あまりに卑怯だ」


 中空に張り付けられた青年はアラクネが誘い込んだ蜘蛛糸の罠によって吊り上げたものだ。


「・・・まあ、でも」


青年は逆さまに吊り上げられた状態で満足げに笑った。


「おあいこ、ってことで」

「そんなわけあるか!!」


アラクネの宝物が焼ける様をみて、安堵のため息を吐いた。


「・・・なんでおれが給仕女(メイド)の服を着なきゃならないんだよ」




 先ほどの戦いは言ってしまえばアラクネの暴走が原因だった。

 アラクネが青年と出会う前の十数年間、アラクネは趣味として服を作っていた。ドレスに制服、礼服、軍服、外来服に至るまで、ありとあらゆる服を作ってきた。この給仕服もまたアラクネが趣味で作ったものだった。

 だが、それは当然人の服。アラクネが着ても似合わない。いや、上半身だけなら何を着ても似合うのだが、蜘蛛の体がそれを台無しにする。なんというか、滑稽になるか不気味になるかの二択なのだ。

 故に、青年と出会ってから、いや、青年が赤子だったころからこの日をずっと楽しみにしていた。

 予想以上に可愛らしく育った青年に対し、アラクネは満を持してこの服を着せようとした。

 今までも若干女物だか男物だかわからないものを着せてきた。きっと袖を通すくらいはしてくれると、そう信じて。だが


「え、絶対やだ」


 第4回親子喧嘩の勃発である。

 アラクネは青年にメイド服を着せるため、そして、青年は給仕服を壊すために戦った。

 青年にもアラクネの願いを叶えたい願望はある。しかし、限度がある。

 なぜ、なぜ母親の前で、母親の頼みで、女装などしなくてはならないのか。

 幾らなんでも、嫌である。


「私の1週間の努力が・・・灰に・・・、グス、う、ううぅぅ」


 青年は胸に去来する罪悪感と、それ以上の戦慄を感じていた。

 一週間でまたあんなのが作られるのかと。


「うう、ヴェグネスが反抗期だぁ~」


 その時、ヴェグネスに天啓が得た。

 ・・・そうだ、いっそ女奴隷でも買って着せ替え人形になって貰うのはどうだろう。

 うん、そうだな、それがいい。

 青年ヴェグネスは16歳にして独り立ちを決意した。そして、お世話になった母に女奴隷を贈るのだ。

 

(実は書き溜め全然ない見切り発車)

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