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カカとナミ 4

見張りがカカとナミからもう一人の男に代わって、

緊張からやっとナミが寝たくらいだろうか。

カカがうとうとしていたときに、


「やばい!ファイアーボーンだ。3体もいる。起きろ!!」


見張りの男の叫びに、冒険者達はさっと起き上がり武器をとる。


「この階になんで3体も」


冒険者たちはすぐにいつもの隊列を組み、ファイアボーンに向かう。

前衛2人で周りこまれないように盾で押し出す。

いつもの弓がファイアボーンには効きにくいので、後衛は短槍をつかって掩護する。

ボーンと名前の通り骨のモンスターである。

固い相手に弓は効かない。

運良く目を狙うことができれば、眼窩に入った弓矢を抜こうとするので、足止めくらいにはなる。

そういった意味では弓も攻撃にはなるが、顔の攻撃は防がれやすいのでなかなか当たらない。

だから間接を破壊する短槍の方に切り替えたのだ。


「抑えられない!盾が壊れそうだ!」


前衛の冒険者が焦りだす。


「兄ちゃん、兄ちゃん」


ナミがいきなりの戦闘の上、寝起きなのでカカに抱きつく。


「いつでも逃げれるように荷物もて」


バックパッカーの男がカカに言う。


「ナミ荷物もとうな」


カカがナミにそう言ったが、ナミはカカから離れず抱きついたままだ。

カカもナミが抱きついているので、荷物が背負えない。


冒険者達は焦る。

ファイアボーンはメイン通路の方から来たので、ファイアボーンを抜けないと逃げれない。

しかも、ファイアボーンは30階のモンスターであり、

この頃なぜか武器持ちモンスターの武器がより強くなっている。


「予備の盾をわたせ!」


冒険者達の盾は、樫にダンションのモンスターの皮を張り合わせて強化した盾だが、

ファイアボーンの剣ですこしづつ砕かれていく。


「予備の剣もだ!」


剣もファイアボーンの小盾に受けられたときに叩き折られた。


「武器が違いすぎる」


「タイミングを取って一気に抜けるぞ」


カカとナミはどうしたらいいかわからない。

一気に抜けるって言われても、

モンスターと冒険者の戦っているところをどうすればいいのか。

カカはナミを抱きしめる。


「ごめんなナミ。」


ダンションの荷物持ちでこんな目にあうなんて知らなかった。

ただ荷物を持てばすむ仕事と思ってたのに、

ナミを食べさせていこうと思っただけなのに、


「行くぞ!!」


どうしたらいいかわからないカカとナミを置いて、大人たち冒険者達は、前衛の盾で押し込んで一気に駆け抜けはじめた。

逃走に走る背中にファイアボーンの剣が振り落とされる。

前衛の1人とバックパッカーの男の2人が無事に駆け抜けて行く。


あとの2人はファイアボーンに切られ、倒れたところをさらに切られて事切れた。

殺されていくのを何もできず見ることしかできないカカ。


カカは恐怖で涙が流れる。

ナミは怖い上に殺されたところを見てカカにしがみ付いたまま気を失っている。


ファイアボーンは冒険者達との戦闘が終わったらこっちに向かってきた。


カカはナミを守るようにぎゅっと抱きしめた。

あまりの恐怖に、カカの記憶はそこで途切れた。


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