カカとナミ 1
ダンションに入るパーティは基本、前衛2人後衛2人治癒1人、それとパックパッカーといわれる荷物持ちが1人だ。
エフィールドの国には火のエレメントのダンションがあり、
その側に街ができている。
ダンションに入って魔晶を集める冒険者の為の街だ。
ダンションである為に、あまりにも多くの人数がまとまって入れない。
大人3人が並ぶくらいの幅しかない。
深い階に行けば行くほど、魔素が濃くなり、魔素が濃いほど良い魔晶、強い火の精霊(冒険者の言うモンスター)がでる。
なぜなら、強い魔素で精霊はより強力な実体を持つからだ。
しかし通常、強い精霊が、活動の為に消費する魔素の量の回復にはやはり濃い魔素が必要であるから強い精霊が浅いダンション階には現れない。
深層には火の精霊の王であるイフリートがいる。
冒険者で見た者は居ないが、神話の話で、火の精霊の王イフリートによって、人に火の使い方を教えたとある。
そのときに現れたイフリートが、深層にいると言われている。
人が到着できたのは地下70階、そこが過去に到着できた最深だ。
魔晶はその中に溜まっているエネルギーの量で価値が決まる。
基本は精霊の中にある魔晶だが、ダンションので結晶化してるものもある。
地下10階までは、自然に結晶化している魔晶は取り尽して、さらに奥に入って魔晶を取るか、
精霊の体内にある魔晶を取り出すか、
ちなみに魔晶は、ダンションでなくても取れる。
地上にいる精霊にも魔晶は存在するからだ。
しかし、魔素の濃いダンションの方が、良い魔晶が取れる。
最初の階に現れるレッドスライムでも魔晶は1銅貨(20石貨)。
地上に存在するレッドスライムからの魔晶は5石貨。
1銅貨でパン1斤は買える。
20階のファイアボーンの魔晶なら1銀貨(20銅貨)。
魔法使いならその魔晶で、ファイアボーン5体まとめて倒せる魔法を5回うてる。
単純に1銀貨が25銀貨に増える。
普通の住民が1ヶ月1金貨(20銀貨)の収入なので、ダンションに夢みてくる冒険者はひっきりなしだ。
そのダンションの街の北の端にスラムがある。
カカ7歳とナミ5歳、
カカは男の子、ナミは女の子、2人とも赤髪で黒い瞳の兄妹だ。
スラムにいる子供は、ダンションで一稼ぎしようとして死んだ親の子供が多い。
カカとナミの両親は、北の村の農民だったが、戦争で村を焼かれ、母親は殺され、
父親は子供を連れて逃げて、この街に稼ぎに来た。
農民であった父親は、ダンションで精霊とは剣を使って簡単に戦えないので、バックパッカーというパーティの荷物持ちの仕事をした。
荷物持ちなら、とりあえずダンションに慣れるまで安全と思ったからだ。
1日2銀貨の仕事で子供達を養っていたが、ダンションでの仕事は、わずか1ヶ月で帰らぬ人になった。
残されたカカは、生きていく為に冒険者に頼み込んだ。
カカとナミ2人、バックパッカーとして、せめて、半分の料金でいいから、仕事をさせてくれないかと、
常識のあるパーティは、そんな子供はダンションに連れて行けないので断り続けられて、やっと、1日1銅貨で使ってもらえる冒険者を見つけた。
そして、ダンションにバックパッカーとしてカカとナミは入っていった。