ダンション戦 後編
ダンションに突入する部隊を指揮するカルボールは、部隊の運用をメイン通路に2部隊、脇道を2部隊に任せる作戦にした。
4部隊のうち2部隊が戦場からの兵の選抜なので貴族からの選抜の2部隊より強さに差がある。
強い2部隊でファイアナイトを倒したいが強さの度合いがわからない為、貴族の部隊を最初に当てて相手の強さを計ることにした。
なのでメイン通路の2部隊の前面を貴族の部隊、後方でカルボールの部隊が控える形だ。
ダンションに入ったら、どんどん奥のほうから、負傷者が送られてくる。
送られてくる負傷者を見てみるがすべて槍でやられている。
比較的軽症の兵を捕まえて相手の様子を聞いてみた。
兵が言うには、
「最初はファイアボーンが現れたって話で、大盾を並べて通路をふさぐように現れました。私たちは押し返すようように盾をならべて当たりましたが、びくともしません。逆に押し返されて体制が崩れたところに槍で衝かれてこのざまです。冒険者あがりの仲間の言うことには、あの力はボーンじゃありえないってナイトじゃないかって話になってます」
「じゃあファイアナイトを見たわけではないのか」
「大盾を並べた上でこちらは相手を崩せていないので、あまり相手を確認できていませんので…」
「ふむ。わかった。上で治療を受けてくれ」
壁ともいえる大盾を崩さないと勝てない。
魔法使いによって大盾に攻撃、崩れたところに攻撃を与える。
カルボールの作戦は決まった。
モンスターが組織だって反撃してくることを薄ら寒く感じながら問題の16階に下りていった。
16階についてカルボールはその階で戦っていた兵に言う。
「これから我々が戦う。モンスターを追い払うので一旦後方に下がってくれ。魔法使いで戦況を打開する」
「おおお!!!」
倒され続けても、命令されているので無謀ともいえる突撃をしていた兵にとって、英雄が現れたかのようだった。
しかもカルボールは近衛兵、きらびやかな鎧を着ていた。
近衛兵の剣は数の限られているファイアソードだ。
王にレクスの父クラウが囚われて作らされた剣である。
火の精霊には火は効きにくいだけで完全に効かないわけではない。
ファイアソードの魔晶による攻撃も攻撃方法の1つとしては使える。
大盾に魔晶の攻撃を与えれば相手を崩せるとカルボールは考えている。
最初に貴族の部隊が突入した。
魔法使いの攻撃で大盾が崩れる。真ん中の大盾は壊れたようだがすぐ後方から新しい大盾をもったモンスターが変わる。
軍隊を相手にしているようだ。後方からみていたカルボールは相手の動きにそう感じた。
魔法の攻撃で崩れたところに突入した貴族の兵はすぐ槍で追い返された。
魔法使いも倒れている。
いつのまに…
カルボールは一気に部隊を前面に出す。
「さあ行くぞ!魔法を打ってくれ」
魔法使いは魔法を唱える。
魔法が当たった瞬間に大盾をもったモンスターが倒れる。
「よし、突入!」
言った瞬間に弓矢が飛んできた。
弓矢はカルボールの横をすり抜けていった。
横に居た魔法使いが倒れる。
カルボールが横を見ると魔法使いが眉間を打たれて死んでいる。
弓の名手のモンスターなのか?魔法使いをねらったのか??
先の倒された部隊の魔法使いを良く見るとそれも弓矢で死んでいる。
「魔法使いを守れ!弓が魔法使いを狙っている!!」
モンスターが魔法使いを弓矢で狙ってくるなんて考えられん
カルボールは焦る。
4人いる魔法使いのうち2人も殺されてしまった。
これでは責任をとって私は死ぬ。
華々しく死ぬしかない。
「近衛隊カルボール参る!!」
ファイアソードの魔法で大盾を吹き飛ばす。
一気に突っ込み大盾の後ろの槍を持ったファイアナイトを倒す。
するとその先に弓を持った子供が居る。
「なぜ!!そこに…」
驚きが隙にになってファイアナイトの槍が刺さる。
子供が弓を構えた。
私を狙っている…
そこでカルボールは死んだ。
「逃げろ!!もう無理だ!!」
「逃げろ!逃げろ!」
狭いダンションを一気に逃げる中で突き飛ばし同士討ちも始まった。
ぎりぎり保っていた正気は英雄のように現れたカルボールが倒されたことで崩壊。
押し出されるようにダンションから兵が出てくる。
命令を聞かぬ兵にダンションの入り口で、兵の部隊長が言い争っていたが、逃げ出した兵が部隊長を突き飛ばしたことでダンションの入り口でも斬り合いが発生。
収集がつかなくなった。
「アルバート様!一旦城まで移動していただけますか?」
「どうした!なんの騒ぎだ!カルボールはどうなった」
「逃げ出してくる兵によって騒動がおきてきます。落ち着くまで安全のために城まで移動を」
近衛兵に守られながらアルバートは城に退避した。
朝から始まったダンションの作戦は、昼にナイトの反撃を受け、次にカルボールの突入と死亡。
夕刻に兵がダンションから逃げ出し騒動、街に火がでるほどの騒乱まで発展して終わった。
特に貴族の兵は、お金で集めた冒険者や避難民を兵に仕立てた為、指揮が低くほぼ逃亡兵になった。
戦場からの兵もその騒動を抑える為に戦かったが、夜になって逃亡兵も出て数を減らした。
ダンションの作戦はエフィールドの戦力を大いに低下させる結果になった。




