Fクラスという烙印
今までは一人称小説でしたが、ここからは三人称小説になります。
「‥‥おい見ろよ‥‥あれって‥‥」
「ああ、今日の放課後、Sクラスと決闘するっていう落第生だろ?」
「全く‥‥無茶なことするよな。FクラスがSクラスに勝てるはずないのに‥‥」
ここ、[フルーレ]において、一属性得意の者は、『落第生』と呼ばれていた。一般的に、フルーレに入学できるのは二属性得意以上の者が普通である。しかし、受験者数が必ずしも、二属性得意以上の者で埋まるほど、定員数は少なくない。結果として、一属性得意の生徒が定員割れという形で入学出来るようになってしまっている事から、一属性得意の生徒は常に差別を受けているという訳だ。
(‥‥俺だってこういうのはゴメンだよ‥‥)
わざと聞こえるように言ったのか、もしくは、無意識なのかは分からないが、その声は晶の耳にしっかりと届いてしまっていた。
「お前どっちに掛ける?」
「勿論、遠藤さんだろ。八属性得意にして、この学年の入学試験のトップだぞ?そして、相手は落第生だ。どっちに掛けるかなんて決まっているようなものだろう。」
「それもそうだな。こんなの掛けにならないよな。」
そのような会話は、晶が自教室に入るまで、晶の耳にしっかりと届いているのだった。
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ー放課後ー
「はぁ‥‥疲れたぁ〜」
晶はため息をつく。この1日はとても長く感じていた。廊下を通る度に、噂され、罵られ、呆れられ‥‥更には同じクラスの人達からも、憐憫の視線を向けられていたのだ。精神的に来るものはあるだろう。
「さてと‥‥じゃあ、闘技場に行きますか。」
闘技場は、決闘を行う際に使用する場所で、その場所には結界が貼られており、その中で負った傷は、全て精神的な傷に変換される。つまり、その中では怪我はしないということだ。ただ、余りにも傷がひどかった場合、廃人になるかも知れないのだが‥‥
闘技場に行く際にも、噂されている。
「‥‥遥香様の裸を見たらしいわよ‥‥汚らわしい‥‥」
「劣等生なんか、1分も持ちやしねぇよ。」
そのような言葉が、遠慮なく、晶に聞こえるように話している。
闘技場に向かうまでに、晶の精神力は弱っていたのは想像に難くないだろう‥‥‥‥
そして、運命の時、つまり、決闘の時間が来ようとしていたのだった‥‥‥‥‥‥