最悪なルームメイト
フルーレの寮の1室。そこで俺、藤城晶は今現在、何をしているのかというと‥‥
「貴方は何を考えているのですか!ノックもしないで、女性が着替えている部屋に入って、裸を見るなどと‥‥」
「いや‥‥裸は見てないんだけど‥‥」
「黙りなさい!下着姿を観られるなんて、裸を見られるのと一緒ですね!」
「‥‥‥‥すみませんっした‥‥」
「それが謝る態度ですか!シャキッとしなさい!シャキッと!」
‥‥超絶美少女なルームメイトに、正座させられて怒られていました。
いや、あれって、不可抗力だよね?俺は悪くないよね?
「いや、正座もしてるし、謝ってるし‥‥これ以上、何をしろと?」
「‥‥それはあなたが考えなさいよ!」
コイツ‥‥絶対何も考えてなかっただろう。丸投げしやがって。
「はいはい‥‥じゃあ、俺もう寝るから‥‥」
そう言って、そそくさとこの場を離れようとすると‥‥
「ちょぉっと待ちなさいな!どこに行く気ですか!」
「え?いや、寝室だけど?」
何を当たり前のことを聞いてるんだ。コイツは‥‥
「『寝室だけど?』じゃありません!私は嫌ですからね!?あなたみたいな変態と同じ部屋で寝るの!」
「‥‥あ、そう。じゃあ、俺はこのソファーで寝るから。アンタがベットね。」
うん。さすが俺。ちゃんと妥協点を示した。
「は?何を言っているのですか!この部屋から出ていきなさいと言っているのです!」
「‥‥‥‥はぁ?」
何いってんのこいつ。頭おかしいんじゃねぇの?
「いや、元々ここ、俺の部屋だったんだけど‥‥」
「それが何か?」
くそ、コイツ‥‥全く話が通じねぇ!ほんとに日本人かよ!
「‥‥これ以上は譲れないね!ここは俺の部屋だ。一緒の部屋で寝ないだけマシだろう!」
「いいえ!あなたのような変態と一緒の部屋。いえ、一緒の寮であることが許されないです!とっとと出ていってください!この変態!」
こんな事言っても拉致があかねぇな‥‥‥‥寝るか
「待ちなさい!」
俺が寝ようとしたら、いきなり腕をつかまれた。ほんとに何なんだよ‥‥
「聞こえなかったの!?出ていきなさいって言ってんのよ!この私が!」
そういえば‥‥コイツ、見た目の割には言葉使い荒いな‥‥単に怒っているからかもしれんが。
「‥‥‥‥スピィ」
「寝るなぁぁぁああああ!」
「何なんだよ‥‥何様だよお前‥‥」
いい加減腹が立ってきた。このままじゃ、キレそうだ。
「‥‥私は、遠藤遙!クラスはS級で、八得意属性です!そういうあなたは何者なんですか!私に指図して!S級のクラスでは見なかったですけど!」
この世界では前も言った通り、魔法がある。そして、人それぞれがとくいな属性魔法がある。属性は、一般に火、水、風、土、雷、聖、闇、無の八種類がある。彼女は八得意属性、つまり、すべての属性が扱える、まさに、天才と言われる部類の人間だった。
「‥‥俺は藤城晶。クラスはF級で、一得意属性[風]だ。」
「‥‥は?え、F級?」
まあ、驚くのも無理はない。何故なら、F級は最低ランクのクラスであり、基本的に一属性しか、扱えない者が入るのだから。
「え、F級がS級の私の命令に従わない?そんな馬鹿な話が‥‥」
「‥‥あるからこういう事になってるんじゃね?」
この学院では、ランク、つまり、等級が身分の証となる。A級以下の生徒達は、最高ランクのS級の命令に逆らえないという常識があった。
‥‥まあ、俺には関係ないけどね。そんな常識。
「‥‥‥‥いいわ!貴方がそこにいていい権利を上げる!」
「‥‥‥はぁ‥‥」
「その代わり!」
「?」
「明日の放課後、あなたに魔術決闘を申込みます!」
「‥‥はぁ?それ本気なの?」
「勿論です!肝心の掛け金は、勝った方が負けた方に、好きなことを1つ、命令できる権利‥‥というのはどうでしょう。」
「‥‥‥‥もう一度聞く。本気なんだな?」
「ええ。」
魔法決闘とは、魔法使い同士の決闘のことを指す。互いに掛け金を出し、それを奪い合うための決闘だ。その掛け金は、互いに平等だと思ったものならなんでも良い。それがたとえ、命だとしても‥‥
「‥‥俺がお前に死ねって言ったら?」
「‥‥‥‥大人しく死にますよ。まあ、そんな事ありえないでしょうけど。」
「そうかい。」
「‥‥では、明日の放課後、また会いましょう。」
「‥‥‥‥‥‥」
そう言って、彼女はベットルームに向かって歩いていった。
ーそれから1時間後ー
これは相談した方がいいかな‥‥
彼女が寝静まったのを確認してから、俺は風魔法を使い、16階の窓から飛び降りるのだった。