勇気
高校受験に失敗してから引き篭って2年ちょっと・・・。
その間、親とはマトモに話していない・・・。
好きな時間に起きてはパソコンに向かいオンラインゲームに没頭する日々…。
何の疑問も感じなかったんだ・・・。
そんな有る日・・・
いつもの様に深夜までオンラインゲームに没頭している彼。
「よーし。もうすぐ2次職に就けるぞ・・・。」
時刻は既に午前1時を過ぎていた
「このガーゴイルを倒せば・・・」
その時・・・
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ」
女の声と思われる悲鳴が聞こえた
「え、なんだ・・・今の・・・」
「ちょっとROMるね。」
ゲーム内の仲間にそう告げ、窓を開ける彼。
すると、見るからに不良と言った雰囲気の男二人と、
女子高生二人が対峙してるではないか…。
「・・・ど、どうしよう。」
言葉とは裏腹にそれほどの危機感を感じては無かった。
長い間の引き篭り生活により、『普通の感覚』を失っているのだろう・・・。
とりあえずどうして良いか分からず、
オンラインゲームの仲間に相談する彼。
「まじ?何それ?」
「急に面白いネタ言うなよカインwwまあ、通報じゃね?w」
「そんな事より早く狩りしようぜ」
面白半分に返ってくるレス。当たり前と言えば当たり前だ。
所詮彼らにとっても他人事なのだし、知ったことでは無いのだから・・・。
「そうだね・・・狩り、続けようか・・・」
「でも、一応通報しといた方が良いんじゃないか?」
一番信頼できる仲間にそう言われ、
止むを得ず親に通報を頼む彼・・・。
彼は一応携帯電話は所持していた。だが、自ら掛けようとは思わなかった・・・。
面倒に関わるのがごめんだったのだ・・・。
何より、誰かと『直接』話すのが嫌だったのだ・・・。
「って分けなんだよ・・・。」
「・・・」
父親は憐憫と疑惑の目を向けている。
2年ぶりの会話がこんな形はなんと皮肉なのだろうか・・・。
「わかった・・・」
そう言って父は視界の前から消えた・・・。
まるで彼を、生ゴミでも見るかの様に軽視する・・・。
「よし、俺の出来る事はやった。ゲームだゲームだ・・・。」
だが 父は通報などはしていなかった・・・。
彼は、親にも見捨てられていたのだ・・・。
親にも信じてもらえなかったのだ・・・。
後日 その女子高生の一人はレイプされたショックから自殺した・・・
もう一人の女子高生はその時の恐怖からか外に出られなくなったらしい・・・。
一日中意味不明な事を呟いてるらしい・・・。
彼がもっと早く通報していれば助かったかも知れない・・・。
彼が少しの勇気を出していれば・・・。
「よっしゃ〜。ドラゴン倒したぜ!」




