|事件《こと》の始まり
獣人の物語ですあらかじめご了承ください
ここはフローン王国フローン城、その廊下を急ぎ足で歩く一人のヤギ獣人の姿がある彼の名はレフィ=ファイドル物静かでクールだが、正義感あふれる熱い面も持つ男である、彼は独自に世界中の人々を救済する組織『マーベルン救済団』を作りその団長をしている、一般人民からは幅広い支持を受けているこの素組織だが、独立した組織のため国からの支援はなく、むしろいざこざを起こすことが多いのだが、今回何故か国王からの呼び出しがかかったのだ、それほどの一大事なのだろうか?それともそろそろ牢にぶち込まれるのだろうか?さまざまな疑問を持ちながらレフィは先を急いだ。
「国王さまがお待ちですさあ中へ」
「了解した」
兵士に案内され王の間へ入る、
「お久しぶりです国王」
「ふむ、久しぶりだなレフィ=ファイドル、さっそくだが本題と行こう本当なら貴様らの力など借りたくはないがそんなこと言ってられないのでな」
「それほどの緊急事態ということですか?」
「うむそうだ、ヴァンベルト盗賊団が我が国に攻めてくるのでな」
「なんですと!!」
所変わって、とある洞窟に大勢の獣人が一人の狼獣人の前に立っている、何かの集会だろうか、狼獣人が立ち上がる。
「やろおぉぉぉぉどもぉぉぉぉ!」
叫び声が響く、この集団は慣れているはずなのだが、思わずビビる者もいる、声の主はウォル=バーレス、この集団ヴァンベルト盗賊団の頭である
「今夜、フローン城に乗り込んでありったけの金を奪うてめーら覚悟して挑め目よ」
『うおおおおおおおおおおおおお』
盗賊たちは一斉にうなった、この者達の貪欲さがよくわかる
「今回は新人も居るからな、俺達の心意気を改めて話しておくぜ」
「俺たちは仲間じゃない、ただ単に協力しているだけだ、上下関係もねえ命令に従うかは自由だ!裏切ろうが関係ねえ、自分の意志でやりたいようにするだけだ!」
『うおおおおおお』
再びうなりを上げる盗賊達、上下関係はないと言われたが誰もがウォルのことを信頼し尊敬していた彼は悪党のくせに、かなり人望が高かった、だがとうの本人はそんな事は関係無かった、本当に言ったとうりやりたいことをやっていただけなのだ、その結果盗賊となり悪人となり、そしていつの間にか盗賊団のリーダーになった、過去になにかきっかけがあったからというわけでもなく自分が悪人であることも自覚しており、もしちょっと道が違っていたなら正義の味方にでもなっていたかもしれないのである。
フローン城
「国王つまり、ヴァンベルト盗賊団との総力戦になるということですか?」
「うむ、そうなるな、そんじゃそこらの盗賊団ならワシの城の兵士で足りるのだが、ヴァンベルト盗賊団となると、貴様らの力が必要なのでな、気に食わんが力を貸してもらうぞ」
「なるほど、っで報酬はいくらほどで?」
「ふん、正義の味方が金を要求するとは」
「所詮私は偽善なんでね、少しでも汚れてないと信頼は得られない、綺麗ごとだけ言ってるわけにはいかないんですよ」
「なるほどな、いいだろう100万フェルトでいいか?」
「少し少ないですがまあいいでしょう、欲を言ってはいけないところで国王一つ質問が」
「なんだ?」
「なぜ、ヴァンベルト盗賊団が攻めてくるという情報が手に入ったのでしょうか?スパイですか。」
「ご名答、もとヴァンベルト盗賊団の者をとらえたのでなスパイをやらせておる」
「なるほど、では失礼」
そして夜、城に緊張感が走る、マーベルン救済団の戦士達とフローズン城の兵士達がそろって城の前に待機している、みなそれぞれの武器を構え戦闘に備えていた、暫くすると一人の兵士が声を上げた
「来たぞーー戦闘準備ー」
『おおおー』
その声に盗賊団が反応をしめした
「おっお頭ー奴ら城の前にかまえてますぜー!」
「ふん!大方スパイでもいたんだろう、だが総力戦になることはわかってたこのまま突っ込め!!!」
戦いが始まった両者共にほぼ互角のようで激しい接戦が起きる
「ふむ、どうやら先に頭を叩いたほうが勝ちそうですね」
そういうとレフィはウォルに向かって走りだしたそしてウォルのほうも
「ほう、俺に向かってくっるあいつ、頭だな、よっしゃ!いっちょやるぜ!!」
レフィのほうに向かって走った、カキンレフィのレイビア、ウォルのメリケンサックが当たる両者は共に半歩下がった
「この力やはり貴様が頭か」
「ふん!そうゆうてめえもこの軍の頭だろ」
「いや、私はこの軍の半分のリーダーってだけだ!!」
不意にレフィがレイビアを突く
「うおぉ、っへずいぶん卑怯だな、そしてよく見ればてめえマーベルン救済団じゃねーか、いいのかよ正義の味方がそんなことでよぉ!」
「私は正義の味方などではない、助けた礼に金をむしり取る偽善者の悪党だよ」
「助けてることに変わりんねえじゃねえか!素直じゃねーな」
このような話をしているにも関わらず二人の戦いは激しくなっていくレフィのレイビアによるさまざまな方向による曲がった攻撃ウォルのメリケンサックをはめた拳によるひたすら真っ直ぐとした攻撃二人の戦い方は二人の性格をそのまま表していた、正義に生きるが曲がっているレフィ、悪に生きるが真っ直ぐなウォル、正反対なのか似たもの同士なのかよくわからない感覚を二人とも感じていた。
「うおおおおおおおおおおおお!」
「うおおおおおおおおおおおお!」
二人が互いを目指し駆け出した
「正義と悪がぶつかり、混ざりあうとき、新たな力になるだろう」
カキィィィィン、ふたりの武器がぶつかったその時
「津波だああああああ」
「なに!」
「なんだと!!」
巨大な津波が二人のみを飲み込む、正義と悪の世界を揺るがす事件が、乱戦を断ち切り始まったのだ