病人の日記
某月4日
闘病生活3年目。
代わり映えの無い日々が続くなか、引っ越していった彼女のことを時々思い出す。
父親が亡くなって、母親の方に引き取られることになったらしい。
何事もなければ良いが……。
某月19日
隣のベットから、おじさんが居なくなった。
元気そうに見えたんだが、夜中に急変してそのまま亡くなったらしい。
どうしても、明日は我が身かと、考えてしまう。
某月22日
代わり映えのない日々の中、彼女から手紙が来た。
文面からみて、楽しく仲良くやって行けているようだ。
人見知りをする彼女が、見知らぬ人ばかりの所に引っ越すと聞いて心配していたが、杞憂だったようだ。良かった。
某月2日
今日は救急車が騒がしい。
なんでも隣の市の遊園地で大事故が合ったらしい。
犠牲者が多く、手が足りないため、こちらまで患者が運び込まれてきたそうだ。
痛ましい話だ。
某月3日
また急患が運び込まれたのを目撃した。
自分と同じくらいの若い男で、通り魔に背中から刺されたらしい。
ぶっそうな話だ。
某月4日
昨日の急患だが、敢え無く亡くなった。
身分証の類が全てデタラメだったらしく、受け入れるかどうかで揉めて手遅れになったらしい。
妙な話だ。
某月13日
特に何もない。代わり映えの無い日だ。
そろそろ、彼女から手紙が来ても良い頃なのだが……。
某月8日
転院することになった。
なぜなら廃院になることが決まったからだ。
詳しくは知らないが、提携していた葬儀社が不祥事を起こし、それに巻き込まれる形で院長が逮捕されたからだ。
困った話だ。
某月11日
転院後。
住所変更を伝えるために手紙を送ったら、住所不明で戻ってきた。
どういうことだ?
某月14日
お見舞いに来た親を問い詰めてみたが、誤魔化され。言葉を濁された。
嫌な予感しかしない。
彼女は無事なのだろうか?
某月4日
闘病生活4年目。
私立探偵が訪ねてきた。
彼女のことについて二、三尋ねられた。
そして、真実を知ってしまった。
某月5日
―此処から先は、乱暴に破り捨てられている―