その手には・・・
ちょっと暗いお話なきがします。時代背景としては、剣や魔法の世界のファンタジーの世界の暗い部分です
「おい、仕事だ」
そんな声と共に全身黒ずくめの男が真っ暗な部屋に入ってくる、中にいるのは私だけ。
私はこの人を知っている。
私に人殺しの方法を教えた人、私から家族を奪った人。
「なんだ、その目は?さっさとでやがれ!!」
男の脚が加速しながら私に向かって来る。
避けようと思えば簡単だけど、私はわざと受ける。
それが一番早く済むから、男の蹴りを受ける寸前に同じ方向に軽く飛ぶ。
そうするだけで、男は満足するし私もあまり痛くなくてすむ、簡単だった。
私にとっての日常、決して変わる事のない、逃れられない運命。
そして、私はまた人殺しをした。
ある日、いつも使っていた剣が折れた。
その事を男に言ったら蹴られた、そうして黒い筒を渡された。
「………?」
「そいつはな、魔筒っていう古代の滅びた文明の武器らしい、このあいだ殺した奴が持ってたもんだ、俺にはわからねーからお前使ってみろ」
そうして、私は黒い筒のような物を受け取った。
男はどうやら私に剣を新しく買うのが嫌らしく、それが使えなかったら素手でやれと言った。
「……不思議、安心する」
どう使うのかは、わからなかったけど見ていて飽きなかった。
しばらくするとどういう物かわかってきた。
魔筒を手に持ち水晶に意識を集中する、そして引きがね部分を引くと何かが飛んでいき、その何かが当たった場所は砕けた。
最初は少し使うだけで疲れたけど、もうだいぶ慣れた。
それから仕事のペースが上がった、魔筒がつかえるとわかった途端に仕事を大量に引き受けるようになった。
最近は男自身が使おうとして、私から奪ったけど男には、何かを出す事は出来なかった。
「お嬢ちゃん、俺に何か用かい?」
筒を殺しの目標の頭に向けて引きがねを引く
「さよなら」
しばらくそんな事を続けていたけど、ある日男が死んだ。
黒いローブを着た人達が沢山来て男を殺した。
「あいつがラーゼだ!!殺せ!!ただしラディアには傷をつけるなよ!」
黒いローブ達は剣を抜いて駆け寄って来る。
ラーゼというのは私の名前…もうすっかり忘れてたけど、思い出した。
「ラディアってのは何?」
「その手に持ってる奴の事だ!!」
親切な男が声を張り上げて答えた
「・・・ありがと」
私はラディアって言うらしい筒を持った。
「さよなら!!」
久しぶりに大きな声を出した、大きな声と一緒にラディアを使った。
数分後、そこに立っているのは一人の少女だけだった。
その手には、黒い筒が握られていた。
いつか小説を書くときにこのキャラを使うかも?