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すたうろらいと・でぃすくーる  作者: たけりゅぬ
1章 7月は出会いの季節

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7/10

いちのろく リアルオートマタのあい先生

 3人で打ち合わせを終えて教室に向かう。ホームルームに遅れても容認されている。


俺と〆子は一般クラスの3年G組。2階の端の教室で、きららは特進クラスの3年α組で3階の反対の端だ。


ちなみにα組にはうざメン平田がいる。あれでいて成績はトップクラスなのだ。


 階段で別れ際にきららが、


「じゃあ。2限のミッション終わらせたら行くね」


と言う。


「え? 昼休みでいいよ」


と俺がいいかけると、〆子が俺の手を思いっきり引っ張った。


「なんだよ」


〆子の反応はない。でも心の声ですぐ、


「ったく、わかれそろそろ」


と言った。


 教室はすでにホームルームは終わってまったりとした空気になっていた。


 俺と〆子の席は教室の一番後ろの窓際だ。席がここでないと〆子は教室に入ろうともしない。


 〆子は授業中も俺の手を握って離さない。利き手で握ってしまうとノートがとれないので左手を繋いでくる。


当然俺は右手を繋ぐことになるのだが、鉛筆とお箸は左にしたので不便はない。


小学校入学と同時にもともとは右だったのを〆子のために左に変えたのだ。


「よう、ショウ」


前の席の康太が俺にだけ声をかけて来た。〆子のことはちらっと見るだけだ。


いつだったか理由を聞いたら、


「にらまれたから」


だそうだ。確かに、〆子は心を許した人以外に話しかけられると睨む癖がある。


目線の角度とか光の当たり具合でそう見えるだけで誤解だよと言いたいが、


〆子は心の声で、


「絡んでくんな、3軍」


と言ってるから、そのまんまの表情なのだった。


康太が、


「昨日のマッチやばかったな」


と喰い気味で話しかけてくる。


康太はオンラインゲームのフレンドなのだ。


やばいと言ったのは昨晩康太とマッチをしてて、猛者の中の猛者、最強ゲーム実況者ファンタジスタ・マクマクソンに遭遇したこと。


あっちはソロデュオで一人、俺たちは二人なのにエンカウントして瞬殺された。


それでもマクマクソンとやりあったことは拡散案件だ。


3か月は《《しがめる》》。


俺の胸にもその興奮はいまだに残っているから康太の気持ちは痛いほどわかる。


だが俺は、


「ああ」


とそれを受け流す。〆子が渋い顔をしているから。


実は〆子は俺がゲームするのが好きではないようなのだ。


「だからクラス底辺なんだ」


と思っている。


「今日もやるだろ」


そんなことにはお構いなしに、康太がゲームの話を続けようとした時、


1限目のあいちゃんが教室に入ってきた。


全男子生徒と4割の女子生徒の視線が教壇に集中する。


あいちゃん、御室(おむろ) 藍先生。情報担当だ。


高身長でモデル体型。黒髪のボブに黒のタイトワンピ。靴は必ず真っ赤なピンヒールだ。


この学園に男子など存在しないとでも思っているのか、いつも過剰に挑発的なスタイルで教鞭をふるう。


20代後半。独身、彼氏のうわさもない。


そんなあいちゃんの授業は他の先生と全然違う。


まず、10枚ほどのレジュメを全員に配る。


そして教壇に立つと、ジッと虚空の一点を見つめ、


そのまま50分間、よどみなくレジュメの解説を行うのだ。何も見ないで。


そんな全てが完璧なあいちゃんのあだ名は、


リアルオートマタ。


振る舞いがアンドロイドっぽいところと、銀髪にすればゲームのあのキャラにそっくりだからだ。


残念ながらコスプレの趣味はないらしいが。


で、肝心のレジュメの内容はというと、


「博士論文レベル」


と言われている。


 今日もさっそくレジュメを配る。


あいちゃんが目の前に来ると、一番前の列の男子のほとんどが、そのこぼれんばかりのエロスに硬直状態になる。


レジュメを配る度にけだるそうに吐息をつく。


「はぁ」


その吐息に男子生徒はおろか女子生徒まで骨抜きだ。


あいちゃんはといえば、そんなの全く眼中にない。カビパラに餌でもやるようなそっけなさだ。


あいちゃんがさっさとレジュメを配り終わり教壇に戻ろうとした時、


男子生徒からどよめきが、女生徒からは小さな悲鳴が起こった。


あいちゃんのワンピの背中が、腰までのシースルーだったのだ。


康太が机に突っ伏して、


「やっべ」


と言っている。


教室のざわつきがなかなか収まらない中、


やっと回ってきた今日のレジュメは、DVDやBlu-rayなどストレージについてだった。


「人類が使用してきた記録媒体で耐用年数が一番長いのは石刻文字である。


その他の後世発明の記憶媒体のほとんどは1000年を超えることはできない」


とこんな具合だ。DVDやBlu-rayでは記憶媒体としては不十分と言いたいらしい。


そういえば父さんがビデオで撮った俺の成長記録など、


デッキが壊れてしまい今じゃ見ることすらできない。


 あいちゃんの解説に合わせて朝の教室をゆっくりと時間が流れてゆく。


〆子がまっすぐ前を向いて授業を聞いている。


その瞳は今朝見たのとは変わって、ほんのりと輝いていて蛍石のようだ。


美しいと思う。〆子のそういう日常の表情が俺は大好きだ。


でも、この瞬間はすぐに失われてしまう。しかたのないことだけど。


もしこの一瞬のすべてを記録できるとしたら、


いったいどれくらいのストレージ容量が必要になるのだろう。


何億、何兆、何京バイト?


「……これらの情報をDNAに記録することが出来たなら、人類滅亡後もその成果物を後世に伝えることが出来るだろう」


DNAを記憶媒体にするなどとSFめいたことを言ったが、人類がいないのにその成果になんの意味があるかとも思う。


「ただ、残念なことに、現在では長い小説をDNAに落とし込む等、容量を利用するのみの単純な使用しかできていない。


DNAの全機能まで記憶させるには次元を超越させる必要がある。


そしてそれは記憶媒体に限らず人類進化のシンギュラリティーとなるだろう」


レジュメの解説が終わり、あいちゃんが沈黙してすぐ、終業のベルが鳴った。


「ふん」


〆子の鼻息が荒い。授業が面白かった時にする癖だ。


中学の時にメンデルの法則おしべだめしべだってやつの授業で、


「ふん、ふん、ふん」


と「ふん」が止まらなかったことがあった。


〆子が何に興味を持ったのか俺には分からないが、案外最後の次元超越のことかもしれない。


しばらくしてあいちゃんが教室を出ていった。


それを目で追う〆子の心の声が聞こえた。


「5次元なら地球上の情報を全部記録させられる」

(毎日2エピソード更新)

続きはこのあと21:10に公開します


よろしくお願いいたします(*ᴗˬᴗ)⁾⁾⁾


★/いいねしてくれた方、ありがとうございます

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たけりゅぬ

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