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すたうろらいと・でぃすくーる  作者: たけりゅぬ
1章 7月は出会いの季節

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2/9

いちのいち リケジョの母

7月7日の朝、トーストを食べ終わって食卓を立とうとすると、


「海藻サラダが残ってるぞ。条時ショウ」


毎朝、毎朝、母さんが言う。


なぜなら毎朝、毎朝、海藻サラダが食卓に載るからだ。


しかも、サラダボール山盛りの。


それを全部食べろと言っているのだ。


逆らうと必ず、リビングの棚の写真を指して、


「ああはなりたくないでしょ」


と言う。


それは赤ん坊の俺を抱いた母さんと父さんが写った家族写真。


唯一家にある父さんの遺影だ。


その写真の父さんには髪がない。控えめに言ってハゲている。


おでこからてっぺんにかけてない。ちょんまげでも乗せんのかってくらい。


たしか父さんが28歳の時の写真だったはず。


とすると30前であれなのだ。


俺は父さん似ではないが、さすがにあの写真を見せられるとビビる。


で、海藻サラダを口いっぱいに詰め込んで、


毎朝、毎朝、登校する羽目になる。


「ふぃってきまふ」


玄関を出ようとすると母さんが、


「忘れ物よ」


といって渡してきたのは、スタウロライトのピアス。


これから高校に行く息子にピアスを平然と渡す親ってと思うけど、


我が家では男子は右耳にスタウロライトのピアスをしなければならない。


代々、そういう決まりだそうだ。


「あのさ、もう学校でも言う奴いないけど、やっぱりこれは休みの日だけにならないかな」


「何を言ってるの。十字石って縁起がいいのよ」


「その昔、十字軍がお守りとして身に着けてたってんだろ」


何度聞かされてきたか。


スタウロライト。和名十字石。十字に交わる双結晶を持つ鉱石。


自然が創造した十字架を手に、


騎士たちは聖地奪還を夢見て死地に赴いたのだ。


実際の所、これを着けるの自体はいやではない。


かっこいいし、それこそものごごろ着く前からのことだし。


俺が進級する度に母さんが教師とひと悶着起こして了承を得てるのも知ってる。


ただね、おそろなのがね。片耳ってことはもう片方がいるわけで。


「はい、今日のカードは、デゥルデゥルデゥルデゥル。


ジャーン。運命の輪。10番だよ。めっちゃ縁起良きー」


 それと出がけのタロット占い。もうなんかね、全部ひっくるめて


「やめてくれ!」


 なんだけど。母さんはいたって真剣だから口に出しては言えない。


この人一応リケジョなんだよね。


ハンカチ、ティッシュの代わりに、


「キムワイプ持った?」


 とは言わないけど。


国立シンクタンク、タイムクリスタル・リサーチの特務研究員。


父さんともそこで知り合って結婚したとか、しないとか。


「行ってくるよ」


「今日は渡さないとね。スタウロライトの指輪」


 俺は好きピの誕プレを、母さんに作ってもらったのだった。


でも、まだ渡せてない。


制服の上から胸ポケットの指輪に触れる。


「朝会うから……。行ってきます」


「時間には十分気を付けてね」


 俺は訳知り顔の母さんに背を向けて玄関を出た。

(毎日2エピソード更新)

続きはこのあと21:10に公開します


よろしくお願いいたします(*ᴗˬᴗ)⁾⁾⁾


★/いいねしてくれた方、ありがとうございます

とても励みになってます


たけりゅぬ

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