表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
すたうろらいと・でぃすくーる  作者: たけりゅぬ
1章 7月は出会いの季節

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/18

いちのじゅういち あの害虫ではない生命体のG

きらっきらの瞳。疑うことを知らない幼子の心。


俺はお前のそういう所が、大好きだった。


康太。俺はお前との友情は決してわすれない。


だが、死ぬ前に一つだけ教えてくれ。


……。


お前のゲームアカウントのパスワード。


マクマクソンとの友情はお前に変わって俺が育んでやるからな。


「授業始まんぞ。二等兵殿」


と〆子の心の声。〆子まで俺のことを二等兵呼ばわりか。


「で、康太のことはどうするの」(小声)


「ほっとけ」


康太。そういうことだから、前向いてくれる?


「あ、すまん。先生来てたんだ」




相変わらず退屈な授業風景。何の時間かもわすれるくらいの。


って、本当に何の授業なんだ? 


黒板の文字が”$#)$%|=%#)”ってなってるんだけど。


それに先生、知らない顔だ。というより目とか鼻とかなくて、顔全体が真っ黒の黒だった。


見てたら吸い込まれそうな感じの空間的黒。


着ているのも見たこともない素材で、ヌメっとしててギャラクシー的な柄がゆらゆら揺れていた。


揺れているのは服の柄だけじゃない。先生の周りの空間もなにやら陽炎が立ったようになっている。


新任の先生?


「なわけ。Gだ」


とは〆子。


Gって、名前を言ってはいけないあの害虫のこと?


「あんなでっかいのいたら死ぬぞ。……まあ、似てなくもないが、違う」


〆子は急に性格が変わったようによくしゃべった。


「グラビティーズ。頭文字取ってGって呼んでる」


そのGさんがこんな田舎の学園に何の用?


「分からない。Gは他の次元から突然現れて、唐突に消える」


ていうか今俺と〆子の会話逆さになってないか?


俺が心で話して〆子が俺の心の声を聞いる。


それに気づいて〆子に声掛けしようとしたら、〆子が右手で教壇を指さした。


見ると、Gが律儀に机間巡視をしはじめていた。


最近の先生は、もしものことを嫌って教壇から降りてこない人がほとんどなのに、


なかなか見上げた教師根性だと言っておく。


他の生徒はあの異様な姿も気にならないようで、板書を一心腐乱にノートに書き写している。


Gは時々立ち止まっては、ノートをとる生徒の顔を覗き込んで、口のあたりから長くて赤い舌を出し、その生徒の頭を舐っている。


一通り舐り終わると、次の生徒の横に立つ。そして顔を覗き込み、舌で頭を舐る。


それを繰り返してゆく。


Gが段々こちらに近づいて来る。〆子の手に力が入る。じっとりと手汗が滲む。


Gが再び立ち止まった。今度は康太の横だ。


康太は初めから板書を写さないで、ずっと武器の絵を描き続けている。


Gは初めのうち同様に康太の頭を舐っていたが、


突然その舌を高く上げ、勢いよく康太の脳天に突き刺した。


ちゅぼ。


と、飛び込み選手の入水音ような軽妙な音がした。


赤い舌はかなり深くまで入ったようだが康太の反応はない。今まで通り夢中で絵に取り組んでいる。


そんな康太の頭の中では、妙な音がしている。


じゅるる、じゅるる、じゅる、じゅる。


吸っているのか、吐いているのか。まさぐっているのか。何ごとかが行わているらしい。


見ているうちに康太の首から頭にかけての血管が浮きあがって、どくどく脈打ち始めた。


なんだか頭の鉢が大きくなってきたような。


康太の頭髪のいたるところに隙が出来て、真っ赤に脈打つ頭皮が見えてきた。


俺はそれを見て気分が悪くなり、思わず机の上に「おろおろおろおろー」となりそうになったが、


シュポン!


の音とともにGの舌が抜けて、康太の頭が縮んで元に戻り、俺もなんとか踏みとどまった。


今度は、Gが〆子に近づく。


俺は〆子の手を引いて、今更かもしれないが、


逃げようよ。


とベランダへ誘おうとした。しかし、〆子は、


「ジッとしてろ。二等兵殿」


とドヤして来る。


俺はGが怖かった。でも、〆子がそう言うなら従う他はない。


Gが〆子の横に来て頭を舐ろうとした。


ところがGは、何かを感じて素早くその赤い舌を引いた。


蛇が毒虫に触れたときみたいに。


〆子のコミュ障は次元を超えるってか笑。


「あんだと?」


ごめん。聞こえてた?


そしてGは俺の方に移動を始めた。


「動くなよ。二等兵殿」


だから、その言い方よ。


〆子に言われるまでもなく俺はGを前にしてまったく動けなかった。


そして、Gの周りの陽炎が俺のことを包み込むと同時に、俺は頭の中がひりひりと痛くなった。


イツツツ。


この痛みに覚えがあった。部室できららが俺の前に武器腕を差し出した時の痛みと同じだった。


「考えるな。考えたら見透かされる」


と〆子。


考えるなと言われても、この状況で無心になるなぞできっこない。


そう思えば思うほど、ひりひりと頭の芯のあたりが熱くなる。


「いつかは終わるわ」


母さんの声が聞こえる。


母さんはよくキッチンで独り言を言っていた。


「いつかは終わるわ」


そうだ、絶対に終わるんだ。どんなにひどい状況だって。


どんな地獄の時間も永遠に続いたりしない。いつかはきっと終わりが来る。


俺は考えるのをやめた。


すっと、頭の痛みがなくなった。


それと同時に今度は腹の真ん中あたりが熱くなってきた。


Gが目の前に立って、それは一層激しくなった。


まるで心臓が2つあるようだ。鼓動に合わせて


ドクドクドク


と脈打つのが分かる。


俺の場合、Gの舌が伸びた先は頭ではなかった。胸のその熱い塊の上だった。


長い時間、Gはそうやって俺の胸のところで舌を這わせ続けた。


それは永遠ともいえる時間だった。そして、


ブン!


目の前の空間が歪んだ。Gは忽然と消えてしまった。


10分? いや30分の間、俺は恐怖に晒されていたのだった。


「10秒」


〆子の心の声が聞えた。


「だから10秒だっての。Gがショウのとこいたのは」


だそうです。


休み時間に〆子にこっそり聞いた。


「Gは康太になにしてたの?」


〆子は俺の顔をじっと見つめて心の声で答えた。


「ネゲントロピーの雫を注入してたんだよ」


何それ? と聞く前に〆子が俺の胸をさして、


「ショーのはエントロピーの種を探ってた」

(毎日2エピソード更新)

続きはこのあと21:10に公開します


よろしくお願いいたします(*ᴗˬᴗ)⁾⁾⁾


★/いいねしてくれた方、ありがとうございます

とても励みになってます


たけりゅぬ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ