第一章 2018年の君へ
17/1 01/02
「なにを言ってるんだ?」
レモネードさんの言葉にモカさんが反応した
「なにって、当然でしょう 私たちで祈さんを護衛します」
「仮にでも吸血鬼と契約したコイツをか? ありえない、論外だ」
静かにそう呟いたモカさんは額に手をあてて呆れた様子だった
「でもモカだって祈さんに死なれては困りますよね?」
「たしかにそうだが火葬屋が絡むなら話は別だ」
二人の会話に置いてけぼりになった私はその場を静観することしかできなかった
協会で魔術師になれないって言われて魔獣に襲われかけて挙句の果てに身に覚えのない吸血鬼との契約で死刑宣告なんて…
ほんと自分の人生が嫌になる
1/17
眩暈がした
けど忘れることのない… 忘れられない数字だ
燃え盛る業火と朽ちていく街…
この世に地獄があるのならきっとあの景色を指すのだろう…
2010/1/17
覚えているのは赤い景色…
瓦礫の山をなんとかかき分けて家だったものから逃げ出した
爆心地に近かったあの家は原型を留めないほどに崩れかけていて…
弟だった肉片とかわいがっていた愛犬の形をしたナニかからは血生臭い匂いがした
腐ったような焼焦げたような鼻を突く匂い
2002/1/17 17・71
2010/1/17/ 18・11
『…… ri』
『…どうか 貴方だけは ・・・・・生きて」
「祈さん?」
「あ、えっと……」
気が付くと目の前にはレモネードさんの顔があった
私の顔を覗き込んでいる彼女は不思議そうにしている
「大丈夫ですか? 体調がすぐれないようでしたら奥の部屋で休んで頂いても…」
「あ、すみません… ちょっと眩暈がしただけで… 大丈夫です!」
レモネードさんはそばに置かれていた椅子を持ってきて私を座らせてくれた
「先ほどはお見苦しい所をお見せしてしまい申し訳ありませんでした」
レモネードさんは座り込んだ私に向かいそう告げた
たぶんさっきのモカさんとの口論のことだろう
「お見苦しいなんてそんな… そもそも天災… 吸血鬼と契約した私を匿うなんてモカさんが反対するのは当然ですよ…」
魔術師にとって魔獣そして天災は遭遇したら倒すのが仕事だ
たとえそれが人の形をしていたとしても本人に自覚なく契約していたとしても変わらない
レモネードさんが護ってくれるって言ってくれた時はたしかに嬉しかったし頼もしかったけど…
それでもこれ以上迷惑をかけるわけにはいかなかった
「私は…」
このまま処刑されるのを受け入れる…そう言おうとした瞬間だった
「お前のことを匿う件、とりあえずレモンのやり方で構わない」
さっきまで姿が見えなかったモカさんは急に現れて言った
「え… いいんですか?」
「良いも悪いもどのみちお前には死なれたら困るんだ 本当は魔術基幹だけ取り出して魂の定着を固定した上で生かすつもりだったが… まあどのみち火葬屋とことを構えることに変わりはなさそうだからな」
途中から意味がわからなかったけどなんかめちゃくちゃ怖いことを言われた気がする…
それからモカさんはため息をついて言った
「今はそのやり方でいいと言ったがレモンのやり方に納得したわけじゃない 火葬屋だけならともかく『騎士』が動き出したらオレのやり方で動く…」
「まあ物騒な話はこれぐらいにしてモカも一応は納得してくれたんですから」
レモネードさんはそういうとモカさんを椅子に座るように促した
モカさんが座った後にレモネードさんも近くの椅子に腰を下ろす
すると足元の床が光って大きなテーブルが出現した
「すご…」
突然の光景に私が驚いているとレモネードさんが告げる
「それでは『茶会』(ティーパーティー)を始めましょうか」




