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第一章 2018年の君へ 第四節

その騎士は業火とともに朽ち


呪いとなりて王に仇なす

「私が魔女に…」

目の前の女性に言われた言葉を反芻する

頭が追いつかなった

「はい! いかかがですか?」

「ちょっ ちょっと待って下さい! 私が魔女って…それにあなたは一体…」

まずは状況を整理しないと…

私は魔獣に襲われてこの人に助けられて…

それから『天啓術式』(ギフト)がないから魔術師になれなくて…

ますます頭の中がこんがらがっていく…

「申し訳ありません 私としたことがまだ名乗っておりませんでしたね」

そういうとその人は地面に落ちたローブを拾って言った

「私、Doragaul・D ・lemonadeドラゴール・ディー・レモネードと申します」

「ドラっってえ?」

たぶんこの人が名乗ったのは『星名』(せいめい)だ

星名は魔術師が名乗るコードネームみたいなもので相手が魔術師ならそれを名乗るのはいたって当然のことだった

「でもDって ワ〇ピースじゃなんだから…」

「はて? なんのことでしょうか?」

その人はきょとんとした顔でこちらを見つめる

けど星名の途中にアルファベットが入るのは異質だった

それもDだなんて… たぶん〇ンピースから盗ったんだろうな…


「ああ 私の星名についてですね このドラゴールの家名とDの名は私の師匠せんせいから受け継いだものなんです」

「厨二オタクは師匠のほうか…」

さすがに漫画から星名を考えるなんて近代のオタク魔術師らしい思考だけどいつの時代にもいるなんて…

「なにか勘違いをされているようですがこのDというのは…」

「こんなとこにいたのかレモン…」

ふいに後ろから声をかけられた

そこに立っていたのは長身の女性…

頭からローブを被っていた

「モカ! 見てください! また運命のお導きが…」

「はいはい そういうのいいから ん?」

ローブの女性は私のほうをじっと見つめた

「ふーん そういうことか…」

「いかかがですか?」

「まあいい とりあえず連れていくか」

なにやら二人だけで話が進んでいた

それから何処からともなく現れた影に包まれた私は…

見知らぬ教会に連れて来られていた


「ここどこ!? え、ていうか空間転移!? そんな…ありえない…」

「驚かせてしまい申し訳ありません ですがこうするのが手っ取り早かったので」

なんの詠唱もなく突如として繰り出された高等術式、それに驚いた私にレモネードを名乗る女性はそう言った

「あ、あの ここはどこですか!?」

「ここはギルド AruFaアルファの拠点だ」

目の前にある階段の上からローブの女性が言った

「あ、あの あなたは…」

「彼女はドラ…」

「モカだ アタシはレモンと違ってドラゴールの名もDも名乗らない そもそもレモンが勝手に名乗ってるだけだからな」

そう言って彼女は階段から降りてきた

「もう! いいじゃないですか 師匠せんせいの名前を使ったって」

「別に構わないがアタシは断る」

二人の仲は険悪といった感じではないけどどことなくお互いに意識してるみたいな雰囲気だった

「あの…それで私はどうしてここに…」

「それよりお前の名前は?」

「あ、えと 無月祈です…」

そういえばまだ自分は名乗っていなかったことを思い出した

それから二人はなにやら納得した様子だった


「そうか なら早速だが本題に入ろう」

「あ、えと…」

モカと呼ばれたその人は淡々と会話を進めた

「アタシたちはかつて無実の罪によって処刑された魔女… 山羊座のホロスコープの生まれ変わりを探している」

「!? もしかしてそれが私!?」

「いや違う」

違った…

まあそんなことだろうとは思ったけどさ

まさかこんな秒で否定されるなんて…

「だがお前にはまた別の役割がある」

「それって…」

今度こそ何かすごい力に目覚められるのかと期待する

きっとラノベの主人公みたいなすごい力があって…


「お前、天災てんさいだろ?」


彼女のその言葉はまったく反対のものだった


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