表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/8

第一章 2018年の君へ 第一節

たとえそれが何かの間違いだったとしても、もしやり直せたとしても私はあの時には戻らない


そして今度こそ約束を果たすんだ…

けたたましい目覚ましの音とともに起床する

まだはっきりとしない意識の中、手探りで目覚まし時計を見つけアラームを止めた

それからまだ半開きの目を開けて時間を見る

時計の針は八時ちょうどを指している…

「八時!? え、うそでしょ!? ちょっと待ってよ ヤバいヤバいヤバい遅刻じゃん!」

私は急いで服を着替えて鞄を手にとり大急ぎで家をでた

時計はたしかに昨日、合わせたはずだそれなのに時間を一時間間違えるなんて…

相変わらずのドジっぷりに呆れてしまう


高速で移動できる術式が使えたら… 一瞬で着替えも食事も終わらせてしまう術式が使えたら… 時間を巻き戻す術式が使えたら…

いや最後のは魔法になるからダメだけど

これでも魔術師の端くれ、基礎的な術式を身に着けたはずなのに『天啓術式ギフト』がまだない私は一人、心の中でうなだれたのだった


無月祈むつきいのり十五歳 私は今日、魔術師になるため魔術協会東京支部に向っている

二千二十年現在、高度な科学技術と文明が発展したこの世界でひっそりと魔術は発展した

この世界の魔術は魔力、マナと呼ばれる力を動力として動いている

未だにこの魔力がどこから発生しているのか、どうしたらマナが生み出せるのかは分かっていないらしい

ただ魔術師になるための必須条件…それはマナが見えることだ

といっても私を含めた魔術師は常にマナが見えてるわけじゃない

マナは言い換えれば細胞や空気みたいなもので術式で視力を強化しないと見ることはできない

けどこの空気中のマナを集めて魔力に変換、更にそれを特定の属性にあてはめて術式に応用することで魔術は使用できる

一般的に想像される魔法と違って工程が多い上に非効率、そして使えるのも限られた人間だけととにかく面倒なのだ

そりゃ科学に負けて衰退するよね…


ならどうして私が魔術師になりたいのかって?

それはもちろんヒーローになるためだ

魔術協会に加盟している百を超える組織、その最高峰の一つが『ワルプルギス』である

ワルプルギスに入れるのは魔術師の中でもごく一部のエリートのみ

魔女の称号と『通り名』を与えられてそのうえたった十二人しかいない『ホロスコープス』に入ることそれが私の夢であり目標だった


八時五十分、間一髪のところで東京支部に到着!

そのまま新規魔術師登録の受付に急いだ

「あのっ 魔術師登録に着ましたっ 無月祈ですっ…」

息を切らして受付に飛び込む

すると背の高い男の人が現れた (三メートルぐらいはありそう)

「お待ちして降りました無月様、こちらへどうぞ」

「え、あっはい…」

男性は見た目よりずっと穏やかそうな声と口調で私を建物へ案内した

外見は学校や市役所みたいな印象だけど中はまるで教会だった

外観からは想像できないようなステンドグラスに燭台、天井にはなぜかシャンデリアが吊るされている


「こちらへ…」

男性に促されて私は大きな水晶玉の前に立った

「こちらに手をかざして下さい…」

「分かりました」

私は言われるがまま水晶玉に手をかざした

昔聞いたことがある、協会では水晶玉を使って魔術師の持っている『天啓術式』を調べるって

『天啓術式』は魂に刻まれた神様からの祝福だから持っていれば水晶と水の魔術が教えてくれるんだっけ

自分の持っているまだ見ぬ才能にドキドキしつつ回答を待った

すると男性はくちを開く

「無月様…」

「はい!」

なんだかとても困ったような顔をしている

もしかして千年に一人いるかいないかレベルのチート術式だった!?

「その…申し上げにくいのですが…」

「はい…」

「無月様の魔力機関には天啓術式が存在しませんでした…」

「…はい?」

想像の斜め上をいく回答に目を見開く

「それってつまり…」

「残念ながら無月様を正式な魔術師として登録できないということです…」


この日、私の夢はあっけなく散って逝ったのだった…


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ