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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ニート更生人西園寺君子

異世界に行かなくてもチートが出来たニートの末路

作者: 山田 勝

「光輝、ソロソロ、働いてみない・・」


「うっせー、ババ!ニートに働けって、禁句なの!原因は社会構造だよ!」


「ウウウウ、病院行って、お金を出してあげるから、アパートを借りて生活保護でも受けてみない?」


「はあ?生保!安アパートしか借りられないじゃんかよ!」



 俺は、鴨居光輝!なろうで小説家を目指している。作家になるんだ。最新のアニメをチックして、社会情報をゲットしている。情弱に何が分かるか。


 よし。最新のニートの情報をゲットしよう。社会が悪いんだ。親が悪い。

 俺に高度な教育を施さなくてDQN高校にしかいけなかった。


 うん?あれ?!


 ‘‘ニートギルド発足、是非、ニートの方はご登録を’‘


「おもろ。登録してみるか。でも個人情報は・・・ニックネームで良いのか?資格を書け?運転免許ぐらいしかないな。オートマ限定・・・と後は住んでいる市か・・」



 ピコ!


「あ、すぐにメールが来た。何々?面接をしませんか?フリーメールを使っている。怪しい。でも、まあ、小説のネタになるのなら・・」



 市内のホテルのラウンジで面接になった。



「初めまして、あーし、土方年子どかたとしこです。鴨居光輝さんですね?」


「あ、どうも、初めまして・・・鴨居光輝でぅす」


 ギャルだ。思わず声がうわずった。

 茶髪と爪がゴチャゴチャは平常運転だ。ネイルだっけ・・・苦手だな。

 周りは怪訝な顔で見ている。パパ活みたいじゃないか?


「どうぞ。名刺~」


 名刺を渡された。年子&良子ビジネスコーポレーション?何だ。この会社名は?


「これ、求人票みたいな。良かったら契約書にサインするっしょ?」


「ああ、はい」


 え、何々?有名企業への派遣?何だ。派遣か。場所も北関東・・一人部屋完備、でもな。



「年子先輩、この方が新規の方?」

「そうしょ、期待の新人しょ!」


 え、清楚系の可愛い子が現れた・・女子高生か?


「あわわわ、その鴨居です」

「まあ、鴨居さんですね。ウフ、私は笹山良子、免許は原付だけなの。18歳になったら取りたいわ。鴨居さんは免許あって・・・スゴイわ」


「「スゴイ!スゴイ!」」


 え、何それ。親父から免許だけはとっておけと言われて・・・金を渡された・・退学してから取ったけど・・



「これ、簡単でいいから履歴書を書くっしょ!」

「ああ、はい」

「スゴイ!32歳なのに20代にしか見えないっしょ!」



 俺はその日のうちに、北関東の某県に連れて行かれた。年子が運転する軽自動車だ。


 初めての就職だ。


 場所は寂れた所だが、アパートだ。

 ついてから言われたが、一人部屋ではないようだ。同居人がいる?



「土方さん。あの、一人部屋では?」


 すると、二人は謝罪を始めた。


「ごめんなさい。年子&良子ビジネスコーポレーションは出来上がったばかりで、アパートを借りるのはこれからなの~すぐに新しい寮を提供します!」


「ごめんしょ」


「あ、はい」


 もう、地面と平行になるくらい二人は頭を下げた。


「これ、食費っしょ。一週間持たせてね・・それと、財布と大事なものは自己管理でお願いしやっす」


「はい・・」


 一万円を渡された。


「それと、これ、鴨居ッチ、運転して欲しいっしょ。会社の車っしょ」


「はい」


 アパートの駐車場に止められているボロボロのハイエースを指さされた。車検は・・・通っている。当たり前か。


「これでコンビニとか行っていいしょ」

「はい」


 不思議な感覚だ。アパートにギャルと女子高生と一緒に入る。

 二人いた。何もせずに、ボーとしている。

 一人は40代か、もう一人は若い・・・


「初めまして、鴨居です」


「「・・・・・」」


 無言だ。


 アパートは2LDK・・・


「免許持ちが来たから部屋あけるっしょ」


 二人は一つの部屋に押し込まれ、俺に一室をあてがわれた。


 それにしても汚い。ゴミ袋が散乱している・・・



「フフフ、今日は私がオムレツを作るから、食べてくれないかしら」


「はい」



 ・・・・・・・



 それから、一月は仕事がない。週に一万円もらって、生活をする。


 病院に連れて行かれて健康診断を受ける。


 俺はハイエースを運転した。

 寮にいる二人をつれて、コンビニかスーパーに行く。

 ボツリ、ボツリと話すが、二人はニートだったらしい。


 おっさんは。


「家族に強制的に追い出された・・・」


 若い方は。

「僕だけ残して家族が引っ越しをした・・」


 皆、ニートだ。


 ニート、皆、社会の犠牲者だ。俺が責任を持って世話をしてやろうと思った。


良子は俺をこの寮のリーダーにしたいみたいだ。

「鴨居さん優秀だから、技能講習、職長教育を受けて見る感じ。お金出すっしょ」


「はい・・」


 しばらくして、やっと、仕事が来た。


「鴨居さん。仕事っしょ。明日7時までに、二人を連れて、この現場行ってっしょ」


「はい」


「これ、作業着っしょ」



 メモを見て、驚愕した。下道で一時間半はかかるじゃないか?


 二人を4時に起して、行った。


 場所は山奥の工事現場だ。


「あ~、人夫出しの会社かい?」

「はい、年子&良子ビジネスコーポレーションです」

「フン、ヘルメットと軍手をつけて、一輪車でじゃりを運べ」


「はい」



 1日が終わった。


「あ~、使えねえ。ボンクラだな!何だ。あのおっさんと若い衆、返事も出来ないぞ!きちんと教育しろやボケ!」


「はい、申し訳ありません」



 それから、寮に、段々、人が増えてきた。

 新しくアパートを借りる話はない。


 皆、元ニートだ。

 しかし、全員免許がない。


 だから、休みの日とか。俺が車でつれて行く。


 ここで分かった。ニートは人の事を全く考えない。


 スーパーに買い物に行ったのに、


 一人帰って来ない。


「吉井さん。いない。どこに行ったか分かる人いる?」


「え、スーパー銭湯に行ったよ・・」


「はあ?買い出しに来ただけだよ!」


 結局、一人のために二時間待った。

 本人を叱ったが、全く悪びれる事がない。

「え、はあ」

「集団行動を考えて下さい!」


 何が悪いのか分からない顔だ。




 ガソリン代は月に六千円ぐらいしかもらえない。

 これじゃ、足が出る。


 年子に相談すると、


「あ、分かった系」


 それっきりだ。



 初めての給料日だ。

 俺は現金手渡しだ。


「はあ、日給8千円ですが・・・」

「そうっしょ」


「求人には一万五千円って書いてありましたが・・」

「あ、それ、もうすぐ良い現場に行けたらそうなるっしょ」


「それに・・健康診断の費用引かれています」

「あ~し、馬鹿だからわかんな~い」



 それから、人が増えてきた。

 一応、職長の俺の部屋にも人が入る。

 リビングでも寝る。部屋がない奴も出てきた。


 ゴミが増える。

 トイレにうんこがついたままにしている奴。

 灯りをつけなきゃね睡れないとか言う奴、

 様々だ。


 もう、2LDKに、7人だ。



「鴨居っち、電気代高いんですけど・・・」

「はい、年子さんすみません」

「気をつけるっしょ!」


 段々、態度が悪くなってきた・・・


 と思ったら。


「鴨居っち。よくやっているから、職長手当上乗せするっしょ」

「はい、有難うございます」


 日給千円を上の背された。皆は八千円だ。俺は・・・認められた。


 免許があるって、それほどスゴイことなのか。

 まるで、ネット小説のチートみたいだ。

 そうだ。俺がいなければこいつらは死ぬ。


 何だか、偉くなった気持になった。

 実際に偉い。



 飯は皆コンビニ弁当だ。


「・・・・鴨居さん。お金なくなった。食べるものがない」


「はい?!」


 俺よりも年上のおっさんから相談された。


「佐藤さん。パチンコやめたら・・」


 プイと顔を背けられた。

 大人だよ。


 しかし、見捨てるワケにも行かずに、年子に相談する。


「わかったしょ。前借りさせてあげるっしょ。行くっしょ」


 佐藤さんは前借りとして2万円渡された。


「次の給料で引くっしょ」


「うん・・」



 言っている側から、

「鴨居さん。パチンコ店連れて行って・・」


 パチンコ店に行こうとする。


「ダメですよ」


 と言ったら、10キロ歩いて、パチンコ店に行きやがった。




 ☆☆☆年子&良子ビジネスコーポレーション視点



「年子先輩、楽勝ですね」

「良いアイデア系~、ニートは宝の山みたいな~」


 あーし、年子、地元のパイセンに話を通して、人夫出しの会社を思い付いた系の起業ギャル。

 良子の親は地元で力を持っているから、役員で迎え入れた系~


 最初はホームレスを集めてやろうと思ったが、さすがに、それはリスクがでかい。どこの派遣先もいい顔しない。


 じゃあ、派遣慣れしている奴は、法律がど~のこ~の系でうるさいし大手の方が待遇が良い。

 だから、ニートを集める系を思い付いた感じ。


 世間知らずこれ極まり系、身の・・・・


「何だっけ、良子ちゃん。自分の実力が分かってない系の単語・・・」


「身の丈で良いと思いますよ」


「そう、そう、それ系~」


 身の丈に合うのが十分系・・・



 二千万円貯めて、違法行為をする正規の派遣会社を作る系~

 この国は派遣法が出来る前から、正規の違法派遣会社があった系。


 それが、工事現場に単純労働を派遣する人夫出し会社系~!


「フフフフ、年子先輩、新聞の一行広告ですね。未経験者可、寮付の、今はネットがあるから楽勝ですね」



 ・・・しかし、二人は大きな誤算をしていた。

 ニートは社会経験に乏しい。

 とんでもないやらなくて良い事をする輩が現れた。



 ピロピロピロ~


「あ、電話系~、あ、派遣先の職長さん・・・即出る系!」


「はい、年子&良子ビジネスコーポレーションです。年子でございます!」


「おい!お前の所の作業員がな。現場内で怪我をしたとツイッタラーに書き込みやがった。事故は起きていないのにだ!

 どーするんだよ。お前、こちらは警察から問い合わせが来たんだよ!労災隠しじゃねえかってよ。労基も動いているぞ!」



「ヒィ、今、そちら行く系!」

「年子先輩、私も行きます」



 現場についたら、怒られた系~、ショボンみたいな。


 ガミガミガミガミ!


「申し訳ないっしょ!」

「申し訳ございませんですわ」


 やらかした本人は、ボーとして、何が悪いのか分からない顔をしている系、ムカつく。あーしよりも年上のおっさんなのに。


「あ、はい、すみません」


 ロクに謝罪も出来ない。

 理由を聞いたら注目されたいから、嘘松をした?

 馬鹿だろう。このおっさん。


「契約を切るからな!期限が終わったら来なくて良い!いや、明日から来なくていいぞ!」


 しまった。もう、この会社はおしまいだ・・・・

 奴は、こんな時でも前借りの心配だけをしている。

 無視だ。もう、無駄金は使えない。


「あの、年子さん。前借りをお願いします」



「良子ちゃん。逃げるっしょ」

「ええ、退散です。次の事を考えましょう」


「あの前借りを・・・」


「良子ちゃん。会社、精算ってのをするっしょ」

「いいえ。会社って売れるのです。父に聞いてみます」

「それ、良い系~取り分どうする系?」

「父もいますから、6:4、6頂きたいですわ」

「いいしょ」


「あの前借りを・・・」

「あ、吉井さん。また今度系~」




 一月後



「おい、皆、働けよ!」


「「「・・・・・」」」

「鴨居さん。どこで?」

「だから、自分でバイトでも探せよ」


 電気が止った。俺が払った。次はガスか?


 あれから、年子&良子は来ない。連絡が取れなくなった。

 現場にも来なくて良いと言われた。


 俺は、夜間の運転代行のバイトをしている。客の車を運転する。人を乗せなければ二種免許なくても大丈夫のようだ。



「鴨居さん。前借り・・」


「はあ?何で俺が?働け!働け!働け!クソニート!バイトでも探してよ!」



 ・・・鴨居はニートから、ニートの世話をする立場になった。親の気持になっているが、本人は気がつかない。


 家賃は?どうすればいい。どこに払うのかも分からない。


「あの、僕、お金をくれれば出て行っても良いよ」


「だから、何で俺が!」


 ソロソロ、奴らの金もなくなる。

 この前、俺のバックを臆面もなく漁っている奴がいた。

 俺のカップ麺を平気で食べる奴もいる。



 そんなときに、不動産会社の奴がやってきた。

 西園寺君子と名乗る女だ。名刺すら渡さない。舐めやがって。



「あのですね。弊社が管理する物件ですわ。その、臭い、うるさい。気味が悪いと苦情が来ておりますの」


「はい、すみません」


「で・・この物件は4人まで、それ以上は子供の出産等以外は相談と規則でありまして・・・それに、借主は、吉山絹代さんという年配の女性ですよ・・」


「え、知りません。土方良子ではないのですか?」


「違います。恐らく、又貸しですね。転居するときに会社に払う原状回復費用を誤魔化すためにやったのでしょう。信頼関係を壊す行為ですわ。解除を考えていますの」



「・・・分かりました。でも、こいつらもしかして、適応障害かもしれません」


「そうですか。それが弊社と関係ありますか?」


「病院に行きたくても、健康保険証あるかどうかも分からない奴らでして・・」


「だから?」


「その、助けてもらいたいです」


「ふ~ん。弊社が助ける義務はありません。それに、一度助けたら、法的に保護責任が発生する場合もありますし、道義的にも発生しますわ。何故、お家賃を払わない方の面倒を見なきゃいけないのかしら」


「それは・・・」


「今、ニートを追い出せば、お家賃未納分一月半は目をつむります。原状回復費用も請求はしません。というか・・・ね。退去に応じないのなら警察に被害届を出しますわ」



「でも、どうやって追い出しますか?行き先がありません」


 この女はあっさりと言いやがった。


「捨ててくるのです。場所は日雇いの街がいいですわね。後は、勝手にホームレス収容所に行くか、手配師さんに捕まるか。公園で炊き出しのボランティアをしている人もいるのでしょう」


「それ、迷惑がかかりませんか?」

「ええ、今、弊社とアパートの住人の方に迷惑がかかっていますわ」



 俺は・・・残ったハイエースに皆を乗せて、東京に行った。

 まるで、動物を捨てるように放流して、そのまま車を走らせた。


 ホテルに泊まり。

 お袋に電話をした。


「・・・光輝、就職したのよね。聞いて、光輝の部屋、妹夫婦に使わせているのよ。お金を貯めて、家を買う費用にするのよ。もう、孫が可愛くって、光子も家を買うからと仕事に出ているのよ」


「ああ、そう」


 お袋はまくしたてる。まるで俺が帰る事を拒否するみたいだった。



「だからね。当分、正月以外顔出さなくてもいいわね。貴方も忙しいでしょう」

「分かった・・」


 帰る場所がなくなった・・・もっと、身の丈にあった情報をネットで探しておけばよかった

 ・・・金が無くなったら、俺もどこで寝ようか。


 SNSで車中泊を探す事になった・・



最後までお読み頂き有難うございました。

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