おっさん改めおっさん??
坊主の奴、あの子達の場所とか言わずに部屋の外に消えやがって......急いで部屋出ても居なかったし、まぁ坊主はダンジョンマスターだからダンジョン内を自由に転移できるんだろう。
「そこの君、止まりな? 」
「うん?あんたは......レイスの姉ちゃんか!俺は今からあの子達......元奴隷だった子達に会いに行くんだが場所を......っ!」
危なかった、半分位龍になったお陰で動体視力が上がったらしい。上がってなかったら今の攻撃で死んでたかもしれない。生前と言っていいのか知らないが同じ死に方はごめんだ!
「私は止まりなって言ったよ?なのになんで動いたのかな?」
「いや、だから元奴隷だった子達の保護者を任されたから取り敢えず会いに行こうとしててな?それで丁度良くレイスの姉ちゃんがいたから場所を聞こうと......」
「聞くだけならその場でも出来たやよね?他に動いた理由があるんじゃないの?」
......そだな、道聞くぐらいは動かずにできるわな。でも距離的に聞づらいじゃん?距離的に割と大声出さなきゃはっきりと聞こえなそうじゃん?目視6mぐらい離れてるんだよ??
「何も答えないって事は理由なく動いたって事で良い?」
「いや、まぁそれでも良いんだけどその場合俺ってどうなる?」
「斬首」
「なら良くない、全然良くないかな!あれだ!距離的に喋りずるいし聞づらいから近づいて聞き逃さないようにしようとしたんだよ!」
「なんか言い訳っぽいね、けどまぁ理に叶ってるし良いよ。何かしようとしたらする前にユキ様に殺されるだろうし。ラミ様達......元奴隷の子達の部屋はここから真っ直ぐ行ったら曲がり角があるので曲がってください、後は扉が見えると思いますのでその扉を開けた先が元奴隷達の部屋になってます」
言われた通りに進んだら扉があった。なんか緊張するがこういう時は勢いが大事だ、勢いでどうにかしよう!後この部屋って多分コアルームだよね、王座あるし。なんで王座で兎が寝てるんだろか?実は兎がダンジョンマスターだったりするのだろうか?そんな事を考え扉を開けるとラミア族の子と目が合った。そして気づいたら石になってた。なんでぇ?
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「ねぇ、君は気づいてる?」
「唐突になんだよ、説教受けた事を理由に何か起こすのか?」
「いやいや、私もそこまで器は小さくないよ。......近くに私以外の神獣がいる事にだよ。今日の朝君は外に出たみたいだからね、気づいてるかどうかの確認だよ」
「いや、全くもって気づかなかったな。なんなら今初めて知ったよ、お前以外の神獣が近くにいる事に。で、何処にいるんだよ?」
「う〜んあくまで予想なんだけどね、1番近くのアクアリンにいるんじゃないかな?結構弱体化してるっぽかったしね」
「というかだ、なんでお前はそんな事分かるんだ?最近は、というか二回目にここに来てから引きこもり生活してたじゃないか、俺と一緒に」
「そこは、ほら、神獣の不思議な力だよ」
「そんな力本当にあるのか??」
俺は怪しそうな目でユキを見る
「真面目な話、本当にあるんだよなぁ!神獣が一箇所に集まるのは良くないからっていう事で近くに居ると分かるんだよね〜」
「なんで一箇所に集まるのは良くないんだ?」
「それに関しては私も知らないなぁ〜先代に聞いた時もよく分かってなさそうだったしそういうルールがあるって事で良いんじゃない?」
絶対何かあるんだろうが本人がよく分かってないんじゃ仕方ないよな。しっかしおっさんは今頃大丈夫だろうか?石になったりしてないと良いが......
「後もう一つ重要な事があるんだよね〜」
「なんだ、さっきの神獣の事を考えると面倒くさそうなんだが......」
俺が見たユキの顔は忘れられない位に笑顔だった。そして明らかにピリついていた。
「俺用事があるからその話は聞けな......」
「逃がさないよ?ほら、君は今私の主様な訳じゃん?だから部下の修練には付き合うべきなんだよ」
あぁ、地獄が確定した。頑張ってくれよ、俺の木の剣
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「成程......だから貴方は生きていて、あの鬼の子達も生きているんですね」
俺を石にした犯人であるミアが一番早く理解した。
他の子達は......
「けどおじさんと鬼の子達は目の前で殺されて......あれ?おじさんは目の前で死んでない?」
「あわわわ......」
「う〜ん......よく分からないから良いや〜」
まぁ、うん。まだ幼い子が多いしね、それより鬼の子達の反応は......
「クソッ!あの野郎......!」
「お兄ちゃん、落ち着いて......」
兄の方は怒ってて妹の方は......困惑が多いか?とりあえず兄の怒りを沈めようとしてるが本人はよく分かってないっぽいな。
「さて、さっき話した通り俺がお前らの見守り役になった訳だがまぁ出会いが出会いだったからな。これから仲良くなっていく為に俺の今までを全て話す、中々散々な人生だったと俺は思っているから楽しんでくれ」
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「お前のジョブ『速攻兵』なんだってな?」
「そうだが......何の用だ?」
「いや、俺のジョブって『操り師』なんだけどゴーレムとかまだ上手く扱えないから前衛が居なくて困ってるんだよ、お前さえ良ければ俺のパーティメンバーになってくれないか?」
この時の俺はまだ駆け出しの冒険者でランクも一番下のEだった。俺一人だと1VS1ならともかく1VS多数だと厳しいと感じていたから後方支援がいたら良いなと思っていた事もあって俺は『操り師』の男とパーティを組んだ。
冒険者の間は結構楽しい人生を歩んでいたと思っている、街の近くで起きたダンジョンによるスタンピードを街の冒険者一同で退けた際に助けた娘といい感じになってそのまま結婚した。同じパーティーメンバーは祝ってくれた。『操り師』の奴は何処か忌々しげといった感じだったけどな。
「ちょっと待って下さい、それって祝ってくれたって言うんですか?」
「まぁおめでとうって言ってたし一応祝ってくれたんじゃないか?すっごい睨まれてたけど」
「いや、おっちゃん。それ祝われてないだろ」
俺そんなにおじさんなのかな......鬼の兄にでさえおっちゃん呼び......まぁ武術教えてた時のお前呼びからは親しくなったのか
「取り敢えず話の続きな」
それから俺と妻の間には娘が生まれてな。娘が生まれてたからは生存率を上げるために出来るだけ採集系の依頼を受けるようにしたんだ、パーティーメンバーにも頼み込んでな。その時は既にC級冒険時だったよ、ただ採集系はあまり報酬が良くないから偶に討伐系の依頼を受けたりもした。
俺がここまで落ちぶれた原因が起きたのは娘が10歳の時だ。確か親分オークの討伐依頼だったかな?戦闘中に急に身体が動かなくなってな、前衛してるから動けなくなったら敵の的だ。子分オークに派手に吹っ飛ばされた。そのせいで全身ボロボロ、治った後も多少後遺症が残って以前の様に動けなくなったよ。
「まぁ今は全盛期以上の力が出せそうだけどな。多分蘇生の時に後遺症無くなったんだろ」
「へ〜それでおじさん、その後どうなったの?」
ハーピーの子が急かしてくる。後、俺っておじさんなんだな……もうお兄さんとか呼ばれる歳ではないのか、まだ30前半なんだけど……
後遺症のせいで高難易度の討伐依頼ができなくて収入が減った事にイライラしてたのか酒に酔ったせいなのか今でも分からないが急にギルド内で暴れたらしくてなカウンターやテーブル、飾ってあった龍の頭蓋骨をこわしたらしくてな、罰としてそのギルドに立ち入り禁止を言い渡されたよ、要するにクビだな。
「まって、龍の頭蓋骨を割ったんですか!?」
「あぁ、見せてもらったが綺麗に斜めに切れてたよ」
「マジですか……貴方、相当強いんですね。普通は割れませんよ、龍の頭蓋骨なんて……」
「俺も見た時にはびっくりしたよ、さて話を戻すぞ」
と言ってもこっから終わりは早いけどな。ギルドの事で妻から離婚を言い渡されて親権は妻が持つことになった。その後は酒に溺れて金がなくなって職業を探した結果、奴隷商人だよ。後遺症があったとはいえある程度は戦えるから護衛が要らない事もあったよ。で、お前らを運ぶ時は商品の珍しさから次のアクアリンから護衛が付くことになってた。
「最初からおじさんが運ぶ予定だったの?なら私のお父さんとお母さんの場所知ってる!?」
確かこの子は人魚と人間のハーフだったかな?人間よりの見た目だから人魚とのハーフって忘れそうだな。
「確か捕まった場所が……丁度アクアリンだな」
「え?アクアリンに運ばれるんじゃなかったの?」
「奴隷っていうのは一度市に出すために王都とかに運ばれるんだ。で、買った奴隷商が自分の活動する街に運ぶんだ」
「という事は俺達はおっちゃんに買われたって事か?」
「あぁ、そういう事だ。買う時は苦労したよ、値切り交渉持ちかけたら即断られて粘るに粘った結果がお前達だ」
「なんかそう言われると自分の価値が低く聞こえて嫌ですね……」
「俺は一応おっちゃんに感謝するよ、妹と離れずに居られたからな」
「私も兄と離れずに済んだのは感謝します。けど、値切りされて買われたのは不服です!」
「値切ったとはいえ結構したんだぞ、まぁ奴隷自体が高いけども」
そんなこんなで雑談をしていたら坊主が部屋に入ってきた。ボロボロの姿で
「よう……その様子だと問題ない……な」
「いや坊主お前……何があったんだよ!?敵襲か?」
「いや、ユキの修練という名のストレス発散に付き合った結果だよ」
俺は心の中で手を合わせた。ご愁傷さまでした……
後書きちゃん「おっさんって結構凄い人だった!?後遺症あっても作中では結構固めに設定されてる龍の頭蓋骨切ってるし」
サブちゃん「いえ、操られていたので後遺症は関係ありませんね、まぁつまり後遺症さえ無ければ龍の頭蓋骨切れるって事ですけど……」
後書きちゃん「あれ?てことは後遺症無かったら煉負けてた説濃厚?」
サブちゃん「まぁ、間違いなく負けてましたね。おっさんは後遺症のせいで全盛期の10%位の力しか無かった訳ですし。あっ龍の頭蓋骨を割った時は全盛期です」
後書きちゃん「ひぇ……」
サブちゃん「それじゃ今回の後書きはここまで!次回もお楽しみに!!」
追記 色々あって冒険者ランクの名称が変わります。元々は他作品との差別化を図る目的で名所を変えていたのですが今更ですが硬さ順って面倒だなとなったので下からE、D、C、B、A、Sとなります。