絶望の襲来
「こっちからいかせてもらいますよ、『絶氷』!」
「ただで凍ると思うなよ?『一体化』『大蛇』!」
絶氷の仕組みは剣が触れた対象を凍らせる事かと思ってたが斬撃でもその斬撃に触れれば凍るらしい。なので『一体化』でホーリーと一体になり『大蛇』でその斬撃を消す。
「『武器化』対象はラス」
武器化でラスを武器にする、今回は長剣にした。しかし、スライムの特性なのかフォクの時は長さを変えたり出来なかったがラスはできる。これは……勝てるかもな
「動き止めて余裕なんですか!『属性指定 水』『激流槍』!」
「属性指定!?なんだよそれ!?まぁいい『放電』+『大蛇』 『雷蛇』!」
雷蛇は大蛇に電気を加え遊撃する為に考えたスキルだ。ならなぜ今使ったかだが……激流槍はかすっただけでも肉がえぐれる。なら魔力のこもった電流流して魔力操作で逆に操ってしまえばいいということだ。
「このままお前に返してやるよ!草薙!」
「しっかり電流流して凍らない様にしてるとは流石ですね」
なんか勘違いしてない、草薙?もしかして俺が相手の遠距離攻撃を操ることができるスキルがあると思ってるのか?いやそんな訳無いか。
「さて、準備運動はこのぐらいにしましょう。『属性指定 氷』『魔装』『絶氷』『一閃』!」
「は!?なんだよそれ!?だが!『受け流し』『暴食』」
「くっ!『絶氷』!」
剣になっても形が変えられるラスはやっぱり近距離に強い。一閃で一気に近づいてきた草薙を短剣術の受け流しで流し剣の先で草薙の腕を掴み暴食で食おうとしたところで絶氷でラスを凍らせられ回避された。
「惜しかったですね、ハク」
「そうだな『一体化』解除」
「なんのつもりですか?降参ですかね、そんなの認めませんよ」
「降参じゃねぇよ、草薙。『一体化』対象 フォク。草薙、俺の予想が正しければフォクは……」
俺が言いかけた時、隣の家が燃やされた
「何が起きた!?」
「くっくっくっ……その剣、貴方が剣の勇者ですね」
草薙を指差して翼の生えた執事の服を着ている男は言った。というか誰だよ、こいつ?魔族かな?
「そうですけど……貴方は誰ですか?」
あくまで冷静そうに草薙は答えた。目に見えて動揺してるけども。
「私は魔王軍四天王の【絶望】担当のゼツです。貴方方勇者御一行を……殺しに来ました」
は!?まじで魔族だったよ、こいつ。あと殺しにきたって……やばいじゃん
「そうですか……なら貴方が死んでください。『属性指定 氷』『魔装』『瞬間抜刀』!」
「私もただでやられる訳にはいかないわ。『魔剣生成』『属性指定 火』『ヘルファイヤ』!」
「俺っちあの高さ届かないんすけど……」
おぉ〜流石勇者御一行、普通に強いな。一人なんもやってないけど。
「くっくっく、私にはそんな攻撃効きませんよ?」
相手は無傷で飛んでいた。いや、どんな皮膚してんだよ。う〜ん……あのゼツとか言う奴が降りてくればな……
「セリナ、俺達も手伝うぞ。一か八かだけども『武器化』対象はホーリー、『蛇喰らい』!」
「『詠唱短縮』『ダークワーム』!」
俺達が狙ったのは羽だ。あの羽さえ無くなれば戦いやすくなる。セリナのダークワームで避けれないようにして蛇喰らいで羽に確実にあてる。
「おやおや……仕方ないですねぇ『詠唱破棄 暗黒化』あなた達には絶望を『恐怖圧』」
相手が何をしたか分からないが俺の蛇喰らいは貫通し、ダークワームでは掴めていなかった。そして何故かいきなり足が震えて冷や汗が止まらない。動く事すらできるかどうか分からない。これは生物としての格が違う気がする。これより魔王は強いのかよ……あぁ、俺では無理だ。きっとすぐに殺されるだろう。ただで死ぬぐらいなら、最後の時まで足掻いてみようじゃないか!
「なぁ、フォク。お前本当は……神獣なんだろ?ならよ、その力を示せ!『主として従魔に命じる。偽りの姿、力を捨て、真実の姿、力を表せ!』」
俺が『命令』を使うと一体化していたせいか体の中?から溢れんばかりの力が出てきた。
「……いつから気づいていたんだ、主様よ」
「根拠は無かった。たが、出会いから色々おかしかったからな。もしかしたらと思っただけだよ」
「なっ……!?貴方、まさかあの時倒した弱っていた神獣ですか……」
なるほど、相手のおかげで理解した。そして一度死んでいる事は確からしいから転生したというのも本当らしい。
「主様、私の真の種族名はセイクリッド ジャッチメント フォクだ。といってもバレた以上は野生に帰らせてもらうとするがな。神獣はあまり人間に関わるのは良くないのでな」
フォクは念話で説明してくれた。神獣にも色々あるんだな……まぁいい。これで奴を殺すことができる。それだけでもいいだろう。
「くっくっく、それで私を殺せると思っているのですか?まぁ実際負けるでしょう。なので……何人か殺してみることにしましょう!!我が命を代償に!ここら一体化を吹きどばす!!『ディスペア マカサー』」
「なっ!?させるかよ!『インフェルノ ファイヤ』!ぐっ!!」
俺の攻撃は間に少し合わなかった。相手の技は無差別攻撃だったらしい。完全に発動される前に届きはしたが、約4分の3位は防げなかった。そして俺は多分この状態でスキルを使う事に意識が飛びそうになるらしい。身に余る力は身を滅ぼすな……そんな事考える事も出来なくなりそうだ。なぜなら……目の前には大量の死体があったからだ。それにあの攻撃で俺は右手を失った。
「あ、あぁ……」
右手は長剣を持っていた方だ。俺の右手は何故か治り始めている。しかし、ラスは見当たらない。
ホーリーはまだ分からない
「けほっけほっ……ハク!大丈夫!?」
「あ、あぁ。なぁセリナ、草薙達は無事なのか……?それと、ホーリーとラスは……無事なのか?」
俺は震えた声しか出なかった。
「ホーリーちゃんは無事よ。ほら……」
セリナは手に抱えているホーリーを見せてくれた。息はある。そこまで重症でもないようでひとまず安心した。だが……ラスは何処だよ……
「それに、草薙達は探してみないと何とも……」
その時、声がした、誰かの悲鳴だ、泣き声だ。親を探す子供の声だ。子を探す親の必死の声だ。まさにこの状況は……絶望的だった。建物はほとんど壊れ、良くて半壊だった。正直、四天王を舐めていた。正々堂々、倒されるまで戦うのだと思っていた。しかし違った
、全てを巻き込みこの街を崩壊まで壊した。
「見つけました!ハクさん!大変です!!ニロさんが!!」
草薙の声が聞こえた、ニロに何かあったらしい。俺はよろめきながらもそこまで歩いた。
「ハク……今……まで……あり……がとう……ね……」
「何言ってんだよ、冗談はよせよ……まだそれぐらいなら直るだろ!」
「あいつの攻撃には回復不能がかかっているみたいだわ。だからこのまま大量出血で………」
ならなんで俺の右手は治ったんだ……フォク、お前の力なのか?そうなんだよな!なら、ニロを治せるぐらいできるだろ!手伝ってくれよ!なぁ!
「それは無理だ、主様。残念ながら出来ない」
なんでだよ!ならなんで俺の右手は治った!!どうしてなんだよ!!説明してくれ!!
「それは……ラスの力だ。ラスは大好きな主の為になる事を選び、自分の生きる道を捨てた。だから主様の右手は治った。そういうことなんだよ、主様」
嘘……だろ。ラスが……死んだ。そして……ニロも……助からない。どうして……こんな事になった。なんで、こうなった。アイツが、あいつのせいなのかよ!!…………いや、冷静に考えろ。俺があの時、フォクの覚醒なんか考えなければ……全て、俺のせいじゃないか……。
「……なぁ主様。私が死ぬ事で全てが帰ってくるとしたら、主様はどうする?」
何言ってんだよ……お前が死んでニロやラス、無くなった生物が帰ってくるとしても……俺が選べる訳がないだろ……そんな事したってなんの意味も……ないじゃないか……
「…………そうだな。意味が無いな。主様今から言うことを言ってみてくれないか。『我が名のもとに』」
「『我が名のもとに』」
「「『記憶と魂を贄に』」」
「「『全てを存在しなかった事にせよ』」」
「『リカバリー ソウル メモリー』」
これは……一体……まさか!フォク、反応しろよ!おい!フォク!!おい!!反応……してくれよ……!
「あれ……傷が治っていくわ……周りの建物も治っていってる」
フォクは……あいつは命を代償にしてまでこの街全てを治した、俺の……罪を肩代わりしてくれた。普通、あって数ヶ月の奴にそこまでするか……ありがとうな、フォク
「『一体化』解除……あれ?『一体化』解除……解除できない?」
感覚的には……あ〜そうゆう事か。なんだよ、感動を返してくれよ、フォク。
「『従魔召喚』フォク」
「案外気づくのが早かったな、主様よ」
「墓でも作ってやろうと思ったんだよ、悪いか?というかなんで生きてるんだよ?」
「あぁそれはだな主様、神獣としての私を殺したからだ。それに……謝らないといけないことがある。ラス含め、既に死んだ人は……」
あぁ、流石に神獣でも死んだ生物を蘇らす事はできないか。まぁ仕方ない、で割り切れるものでも無いけれどラスは俺の右手としてこれからもいてくれるさ。
「さて……復興頑張りますか〜!」
「といっても農作物とかの食料のみだけどね」
それは言わなくていいんだよ、セリナ
ーーーーーーーーーー 一週間後位 ーーーーーーーー
「じゃあ、これからの旅も頑張れよ、草薙」
「えぇ、それではまた!何処かで!」
「ハクも色々頑張りなさいね〜」
「短い間でしたけどお世話になったっす〜」
あれから一週間がたった。最初は食料庫やらなんやら全て見た目は元に戻ったけど食料は戻ってなかったから食料庫不足で大変だったけども運良く?近くでビック ファイヤ ポークの大量発生が起きたので街にいた冒険者で狩尽くしてそのおかげで食料不足は何とか改善。植物類などの農作物も商人が来てくれたおかげでなんとかなった、らしい。ちなみにたが街が元通りになったのは勇者様の不思議な力のお陰となっている。こっちとしても二度と同じことはできないし草薙の心遣いは有難い。
「いや〜行ったな、あいつら」
「そうだね〜。良かったの?ついて行かなくて?」
「いや、正直もう二度とあの四天王とかと戦いたく無いからな。最初からついて行く気なかったし。お前こそ良かったのか?」
セリナこそ、ついて行くべきだと思っていたのだがついて行かなかった。
「私はいいの、あなたのパーティメンバーたがら、リーダーであるあなたに従うだけだよ」
「そっか、ならいいか〜」
後書きちゃん「え?何、この作品終わるの!?」
代役ちゃん「この終わり方的に終わってもおかしくないんですけどね〜まだまだ続きますよ!?というか展開が早すぎなんですよ!読者置いてけぼりですよ!次からはもっとちゃんとやってください!いいですね!」
作者「……はい。分かりました」
※ビック ファイヤー ポークは一匹なら初心者でも狩れるとても美味しい肉を持った魔物です