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双剣使いと魔族領の女

とある街の城門前。

晴天の空から降り注ぐ日照が、穏やかな空気をつくりだしている。

お出かけ日和だ。


「っく、なぜだ!? 俺は世界最強の双剣使いだぞ...」

「あんたそれ、先頭に『自称』がつくんじゃないだろうね」


男の呼吸は荒く、地に膝をついていた。

激しい呼吸に肩が上下し、長い黒髪も揺ら付いている。


対して、女に呼吸の乱れは一切ない。

腕を組んで男を見下ろしている。

その様は、背後に控える魔獣の影響もあってか、圧を放っていた。


女の服装は肌の露出が多い。

健康的な褐色肌に引き締まった体つき。

胸と腰回りに軽く布切れがあるだけだ。

時折、そよ風が吹き、ミディアムの白髪を揺らしている。


「貴様、この街に何をしに来た! 目的を言え!」

「だから、何度もいってるだろ。商談に来たんだよ。」


「なに!? 処断だと...?」

「だから、商談だって...」

「通行許可証だってさっきみせただろ...」と女がぼやく。


一時の沈黙。

暖かいそよ風が二人を撫でる。


「俺が、この街を、守るんだ...」

「ちょっとばかしの風魔法でくたばるようなヤツがよく言うよ。」


「右腕に眠りし封印を解き放てば、お前など敵ではない。」

「...」


得意げな笑みを浮かべる男。

だが女は、まったく興味なさげな表情だ。


「で、そろそろ通してくれないかい? 約束の時間に遅れちまうよ。」

「ここからさき、一歩も通すわけにはいかない!」


そのまま素通りを強行する女。


「お、おい! 俺を無視するんじゃない!」

後ろから追いかけて、女の肩を掴もうとする。


が――

足元の小石に足をすくわれ、男は転倒した。


男が女を押し倒した構図。

傍から見ればそうにしか見えない。

男は紅潮。

女は変わらず、呆れ顔を浮かべていた。


「あんた、セクハラで訴えるよ?」

慌てふためき、女から離れる男。

どこかバツが悪そうだ。


「悪いと思ってるんなら、大人しくここを通してくれないかい?」

「それとこれとは別だ。それに貴様だって歩くセクハラのようなものではないか。」


呆れた顔でため息を吐く女。

その目は視線だけ上方向に向いていた。


「こうなりゃ、文字通り処断するか、どうすっかねぇ。」

「本性を現したな! 怪人おっぱい女め!」


そこに一人の男が息を切らしながらやってきた。


「う、うちのバカ息子が大変失礼いたしました!」

大声を発したのは中年の男。

真っ先に取った行動は土下座だった。


「ほ、ほれ! お前も頭を下げんか!」

「な、なにやってんだおやじ! ここは危険だ!」


「頭を下げろっていってるじゃろがい!!」

バカ息子の顔面に、勢いよく拳が入る。

はいる。はいる。入り続ける。

入り続ける――


「まぁまぁ、お父さん、それぐらいに...」

「ははぁ! 寛大なお心に感謝いたします!」


まるで、その台詞を待ってましたと言わんばかりの反応。

拳を止め、おおげさに土下座のポーズをとる。


しばらくして父親が起き上がり、一礼。

のびた息子をひっぱり、その場を去る。


「ったく、バカな人間もいたもんだよ...」


結局のところ、青年に秘めたる力はあったのか。

それは謎のままだ――

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