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食いしんぼうエルフ姫と巡る、日本一周ほのぼの旅!  作者: タジリユウ@6作品書籍化


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第98話 福島県① 大内宿、高遠そば


「ほう、ここの場所も昔の街並みを保存しているという場所じゃな。それにしても他の場所よりもさらに古い気もするのう」


「確かにこちらは本当に昔の街並みといったところですね。昭和や大正ではなく江戸時代くらいの街並みでしょうか」


「そうだね。ここ大内宿は江戸時代の宿場町として栄えた場所なんだよ」


 本日やってきたのは福島県の南会津にある大内宿だ。この場所も日本のあちこちにある昔の建物や景観を残しておく地域の国選定重要伝統的建造物群保存地区に指定されている。


 江戸時代には会津若松とに日光今市を結び栄えた宿場町で、昔ながらの藁ぶき屋根の家々が立ち並ぶ景色となっている。


「あの高い建物はなんなのじゃ?」


「あれは火の見やぐらといって地域全体を見渡せる高さのやぐらの上から火災が起きないかを見張っていたんだよ。やぐらの上には半鐘と呼ばれる鐘があって、何かあった時は鐘を鳴らしていたんだ」


 江戸時代の家や建物は木造建築が主だったため、一度火災が起きると大災害へつながることも稀ではなかった。そのため、火災が起きた際にはいかに早く火災を発見するかが重要であったため、常に見張りを置いていたようだ。


「もちろん今は見張りなんて置いていないけれど、こんなものがあるんだよ」


 そう言いながら俺はミルネさんに自分のスマホを見せた。


「んん、なんじゃこの景色は? おお、ここに小さく映っているのは妾たちではないのか!」


「……なるほど、あそこの火の見やぐらにライブカメラが設置されているのですね」


「らいぶかめら?」


 喜屋武さんの言う通り、あの火の見やぐらにはライブカメラが設置されている。ライブカメラとはその名の通り、24時間常にその状況を映しているカメラだ。多くのライブカメラがネット上で無料で見ることができるから、俺のスマホでここのライブカメラを見ているという訳だ。


 昔は人が監視していたところを今ではライブカメラで見られるのだから、時の流れというものを感じさせられる。




「うむ、ここからの眺めは素晴らしいのう」


「ここは大内宿見晴台だよ。ここから大内宿の景色を一望できるようになっているんだ」


 火の見やぐらから移動してきたのは大内宿見晴台だ。


 ここは少し高い丘の上にあって、大内宿を見下ろせる絶景ポイントとなっている。火の見やぐら以外の高い建物がないため、街の奥の方まで見渡せてとても良い景色だ。


 きっと雪景色や紅葉の季節によって違いがあって楽しめるに違いない。ビルなどの高い建物もまったくないので、本当に江戸時代にタイムスリップしてきた感覚を覚えてしまう。


 ちなみにこの見晴台に登るための階段は結構な傾斜があって大変なんだよね。相変わらずミルネさんと喜屋武さんは体力的に余裕そうだったけれどな。


「こっちには子安観音という安産と用事の成長を守護してくれる観世音菩薩と弁財天という七福神の中の女神様が祀られているんだ」


 大内宿見晴台の丘の上にはふたつの祠があって、そこには子安観音と弁天様が祀られている。


 さて、ここまで階段を登ってきて疲れたし、そろそろ昼ごはんとしよう。




「……ええ~と、これはどうやって食べるのですか?」


「これはねぎそばといって大内宿の名物だよ。この一本の白いネギを箸のように使って、そばをすくって食べるんだよ」


「ほう、なんとも面白い食べ方じゃな!」


 俺たちの目の前にあるのはとてもおいしそうなそばなのだが、そこにはそばを食べるための箸はなく、そばの器の中に30センチメートルほどのネギが入っているだけである。


 お店によっても異なるらしいのだが、この店では一本のネギを使ってツユからそばをすくって食べるようだ。もちろんお店の人に言えば箸を貸してもらえるけれど、せっかくなら大内宿風に食べるとしよう。


「おお、このそばはうまいのじゃな!」


「ええ、そばの香りが強くてとてもおいしいですね」


「元々は長野県の高遠地区から会津に持ち込まれたそばで、そば単体だけだと高遠そばっていうんだ。もちろんこの箸として使っているねぎも薬味として食べることができるからね」


 当然ながらこのねぎも食べることができるので、そばを食べていくうちに少しずつかじって薬味として頂くこともできるわけだ。


 なんでネギを箸の代わりに使っているのかははっきりとは分かっていないようだ。昔お祝いの席で切ることは縁起が悪いからねぎを切らずにそのまま使ったという説がある。


 他には子孫繁栄を願ってお祝いの席でねぎを立たせたそばをお盆の上にのせて口上を述べるそば口上とうという伝統から来たという説もあるらしいな。


 また、このあたりではとち餅も有名で名産のえごまを使ったとち餅もとてもおいしかった。


 ちなみに福島県あるあるは節分の時に大豆ではなく落花生を投げるらしい。これを知った時は驚いたけれど、どうやら福島県以外にも落花生を投げる地域はあるらしい。


 それと学校行事で芋煮会があるようだ。いかにんじんやクリームボックスなどは上京して初めてローカルフードだと気付くのは他の県でも多くあることだよな。


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キャンプ場
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