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食いしんぼうエルフ姫と巡る、日本一周ほのぼの旅!  作者: タジリユウ@6作品書籍化


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第96話 宮城県① 気仙沼、松島


「……これが津波とやらのあとか。中々厳しい様子じゃのう……」


「ミルネさんには関係ないかもしれないけれど、震災と同じでこちらの世界の災害の悲惨さも見てもらおうと思ってね」


 宮城県にやってきて、まずは東日本大震災の被害がひどかった気仙沼へとやってきた。


 ミルネさんの世界には地震がない世界なので、そもそも津波というもの自体が分からなかったらしく、事前に説明しておいた。


 ここ気仙沼には東日本大震災の被害がひどかった建物がそのまま残されている。この高校の校舎もすでに新しいものが立て直されたが、旧校舎は震災の被害を伝えるため、当時の様子そのままで残されているようだ。


「テレビで見るのと実際に見るのでは全然異なりますね……まさかここまでだったとは……」


 喜屋武さんの言う通り、俺も以前にここへ来た時はだいぶ思うところがあったものだ。


 むき出しの鉄筋コンクリート、積み上がった瓦礫、ガラスなどがすべて割れて外枠だけ残った校舎。


 海から離れているというのに、当時は校舎の4階にまで津波が押し寄せてきたのだからとんでもない。生徒や教職員はその全員が避難できたようで本当に何よりだ。他にも家の土台だけが残っている場所、割れた道路や折れ曲がったポールなどがまだ残っている。


 また、南三陸町にある防衛対策庁舎は周囲すべてのものが津波によって押し流されて、最後まで避難を呼びかけていた3階建て庁舎の屋上を2メートルも上回る津波が襲ってくるとは誰も予想していなかったようだ。


 周囲の家は丸ごと流されているし、津波の脅威はとんでもない。こういった災害なんかの歴史を学ぶこともとても重要である。





「ほお~これは綺麗な景色じゃな!」


「ここは広島の宮島、京都の天橋立とならんで日本三景のひとつだからね」


 ここは日本の有名な景勝地である松島だ。日本三景のひとつとして有名な観光地である。


 松島は古くから歌枕の地として知られ、松尾芭蕉は奥の細道の中で、松島の美しさをたたえている歌を詠んだ。


「こうやってフェリーで松島の島々を巡る遊覧船が出ているのもいいよね」


 松島は200以上の島々があり、それぞれひとつひとつの小さな島にも名前が付いている。そして、その島々を解説をしてくれながら1時間ほどで周遊するツアーなんかがあったりする。


 美しい景色を見ながらのんびりとクルージングというのもいいものだ。ものすごく込むが、夏には塩釜花火大会、お盆には灯篭流しのイベントなんかもあるから時期が合えば参加してみたいところだ。


「それにしても、なんでなぜあの島にはあの木しか生えていないのじゃ?」


「松島は凝灰岩という火灰などの火山噴出物が堆積してできた島なんだけれど、そもそも土壌が痩せていて栄養が乏しくて土がない場所でも育つ松だけが育った感じなんだ」


 松島は島というよりも岩場というかんじで、そこに風で飛ばされてきた松だけが育っていったわけだな。


「ですが、松だけだからこそ美しいというのはありますね」


「それはあるね。本当に何もない小さな島に松だけが生えているのも幻想的な光景だよね」


 松島は松だからこその松島なのである。




「ここからも松島が綺麗に見えるのう~」


「周りが全部海なのも綺麗でいいよね。福浦島は歩いて30分くらいで周れる島だよ。周囲を回りながらのんびりと過ごそうか」


 真っ赤な福浦橋を歩いて福浦島へ渡って、のんびりと小さな遊歩道を歩いていく。


 松島の美しい景色を眺めながら回れる島がいくつかあるのでおすすめだ。


 他にも五大堂にある赤い橋は透かし橋といって、橋の隙間から下の海が見える橋だ。


 橋げたの隙間から海面を垣間見るように将来を見据えて縁を結ぶと言われている良縁結びの橋らしい。意外と怖いから度胸試しの橋だと思っていたのは俺だけじゃないはずだな。




 ちなみに宮城県には面白いあるあるがある。


 宮城県では七夕は7月ではなく8月に行われるらしい。仙台七夕まつりは伊達政宗公の時代から続く由緒正しい伝統行事で、仙台ではたなばたさんと呼ばれている。


 元々は7月7日に行われていたが、先代の七夕はお盆と稲狩りでの豊作両方を祈るという意味があって、季節感を合わせるために中暦の七夕である8月に開催されるようになったらしい。


 それとこれから食べに行く予定の仙台で有名な牛タンは実際には宮城の人もあまり日常的に食べられるものではないらしいが、笹かまぼこはかなり日常的に食べられるようだ。仙台のかまぼこ消費量は日本一らしい。


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