第89話 北海道② 五稜郭、ラッピ、神威岬
「ここから見える景色は良いのう」
「タワーなんかから見る景色よりも低いけれど、この星型の景色が見られるのはいいよね」
朝市を楽しんだ後は函館五稜郭タワーへとやってきている。
五稜郭は日本で初めて築かれた西洋式の城郭だ。その特徴的な星形の水の堀は現在五稜郭跡として公園になっていて、誰もが訪れることができるようになっている。
そしてその星形の堀をこの五稜郭タワーから見ることができるわけだ。さすがにこの高さからだと綺麗な星形までは見えないけれど、斜めの星には見えている。高さは107メートルほどで、五稜郭だけでなく、函館市街や函館山も一望できるスポットだ。
タワーの形も少し特徴的で、上の方が大きく広がるようになっている。今は雪が少し残っているだけだけれど、真っ白な冬景色や紅葉の季節なんかには違った景色が見られるようだ。
他にも函館山や金森赤レンガ倉庫など、函館には様々な見どころがある。最近は北海道新幹線ができたことにより、飛行機ではなく新幹線で函館まで行くことができるようになったのも助かるよね。
「これは何とも大きなハンバーガーじゃのう……」
「さすがにこれはひとりでひとつは食べられないからみんなで食べようね」
五稜郭タワーへ登り、五稜郭跡を回って少し運動をした後、函館を中心に展開するハンバーガーチェーン店であるラッキーピエロへとやってきた。
ラッピ、ラキピの愛称で観光客だけでなく、地元民にも愛されているご当地ハンバーガー店だ。そしてこの店の名物である巨大なハンバーガーはかなりの高さを誇るハンバーガーなので、どんなに口を大きく開いても一口では食べることができない。
店によってはさらに大きなメニューがあるのも特徴だ。もちろん普通のサイズである一番人気のハンバーガーも本当においしいのでお勧めだ。面白いことに、この店はハンバーガーだけじゃなくて、カレーやオムライスや焼きそばなんてメニューも置いてあるんだよね。
「うむ、これは見た目もすごいが、味もおいしいのじゃ」
「そうですね、味もしっかりとおいしいです」
その大きさに驚くかもしれないけれど、味もしっかりとおいしい。北海道の函館周辺にしかないチェーン店なので、函館を訪れた時はおすすめするぞ。
他にも函館にはハセガワストアというご当地のコンビニがあり、ここで作られているやきとり弁当は値段も安くてとてもうまい。函館や道南の地域ではやきとりと言えば豚のことを指しているのも特徴的だ。本州で言うやきとりが欲しい時にはやきとりを鶏肉でと注文しなければならないらしい。
その辺りも地域で差があって面白い。何も知らずにやきとりを頼んだら、豚を焼いたものが出てくるんだからね。
「綺麗な青色をしておるのう!」
「他の場所よりも濃い青色な気がしますね」
「沖縄の海も綺麗だったけれど、北海道の海もなかなか綺麗だよね」
函館をあとにしてやってきたのはその北にある積丹だ。何をどう読んだらしゃこたんと読むんだと思う人も多いとは思うが、北海道はアイヌの時代があったため、面白い読み方をする地名が多い。
足寄、重蘭窮、興部、留萌、長万部、占冠などなど。地元の北海道民でも分からない地名が山ほどある。
「神威岬は元々女人禁制だったらしいね。この周辺で女性を乗せた船が近付くと転覆したといういわれがあるらしいよ」
積丹半島にある神威岬は日本海に突き出した岬だ。少し高い場所に位置する遊歩道を歩いて岬へと進むため、周囲300度が美しい色の積丹ブルーの海を見渡すことができる。
その美しい海にポツンとそびえ立つ神威岬と周囲の海がとても綺麗な光景を作り出している。
「これはなんとも豪勢ですね!」
「う~む、色はそこまで綺麗ではないのじゃ……」
「確かにウニの色は茶色でちょっと微妙かもね。こっちの世界だとウニは高級食材なんだよ」
続けてやってきたのは積丹にある食堂だ。この辺りでは赤ばふんウニという超高級なウニを生で食べることができる。普通のウニはすぐに状態が悪くなってしまうため、ミョウバンなどの添加物が加えられているが、ここ積丹では獲れたばかりの生のウニを食べられるんだよね。
「っ!? 濃厚で口の中でとろけていくこの味……これは素晴らしいですね!」
「うむ、味はとってもおいしいのじゃ!」
「うん、やっぱり生ウニは最高だね!」
その生ウニをたっぷりとしようしたウニ丼はこの旅で食べた味の中でも最高級の味だ。もちろんその分お値段もかなりお高いが、それに見合う味である。
積丹のウニは粘りの強い昆布を食べて育っているため、濃厚な甘さと深いコクが特徴的なのだ。北海道は昆布も有名だし、その昆布を食べて育ったウニがおいしくなるのも当然である。





