第80話 新潟県① 彌彦神社、イタリアン、清津峡
「ほう、随分と山の中にあるのじゃな」
「新潟県で一番のパワースポットらしいからね。秋は紅葉がとてもきれいらしいよ」
「この赤い鳥居も立派なものですね。確かに自然が多いので、歩いていても気持ちが良いです」
今日は新潟県へとやってきた。
そしてここ彌彦神社は越後一宮として古くから信仰を集めてきた神社で、「おやひこさま」と人々から親しまれており、初詣には毎年20万人以上の参拝客が訪れるらしい。
彌彦神社のすごいところは創建からなんと2400年以上も経っているらしい。日本最古の和歌集である万葉集にも詠われている由緒正しき神社である。祭神と妃神の仲が良いことから縁結びのご利益があり、仕事運の向上なんかもご利益のあるパワースポットとなっている。
入り口である一の鳥居をくぐると境内は緑がとても多く、左の方には人が渡れず、神様が通る橋と言われている赤い玉の橋がある。
「これはなんなのじゃ?」
「これは火の玉石と呼ばれているものだね。願い事を念じながら、この石を持ち上げてみて、軽いと感じたら願いはかないやすくて重くて持ち上げられない場合には努力が必要となると言われているんだ」
いろんな場所にある重軽石というやつだ。
「むっ……思ったよりもだいぶ重かったのじゃ……」
「私もです。意外と重いものなのですね……」
ちなみに俺も重いと感じてしまったんだよな。こういうのって、結構重く感じことが多い気もする。
そのまま先へ進むと祭神である天香山命を祀る拝殿がある。後ろにそびえるご神体である弥彦山も合わさってすごくパワーを感じられる場所だ。
普通の神社をお参りする際には2礼2拍手1礼のところだが、この彌彦神社では2礼4拍手1礼してお参りをする。通常よりも2回拍手が多く、より丁重に配する心を表す作法のようだ。
神社をお参りする際には神社によってお参りの仕方が違うことも多いから、事前に調べておいた方がいいぞ。
「これは確か焼きそばじゃったかのう?」
「これはイタリアンという新潟県の地元の料理だよ」
「……イタリアンですか? 確かにトマトのミートソースがかかっているみたいですが……」
「うん、それについては触れないでおこう」
新潟県のご当地グルメであるイタリアン。名前だけを聞くと、喜屋武さんのようにイタリア料理っぽいものを想像するかもしれないが、実際にはソース焼きそばのミートソースがけというのが一番わかりやすいかもしれない。
新潟県の下越地方と中越地方で提供されているファーストフードで、スーパーや駅などのイートインなどで食べられることが多いようだ。
ちなみに新潟県あるあるなのだが、よく上越地方、中越地方、下越地方と呼ぶが、実は上越地方が新潟県の下の方で、下越地方が新潟県の上の部分で逆なのである。
これは歴史的な背景から、昔都があった京都を起点として上に見ているから反対になったらしい。俺も旅をするまでは完全に逆だと思っていた。
他のあるあるだと新潟の『潟』の字を『泻』と略して書くらしい。確かに潟の字って結構複雑だもんな。新潟県以外の人がこの字を見たら、間違っているって言いそうだ。あとは新潟県民は親戚や知り合いにはほぼ米農家さんがいるらしいぞ。新潟県は米どころだからな。
「ふむ、変わった味じゃが、美味しいのじゃ!」
「意外と悪くはないですね」
「新潟県にとってはこれが慣れ親しんだ味なんだろうね」
値段も安いし、ファーストフードなので注文をしたらすぐに出てくる。味は超うまい、みたいなことはないが普通においしい味だ。
ちなみにイタリアンの大きなチェーン店は2種類あるようだ。もちろん味も違うが、持ち帰りを頼むと、片方はフォークで片方は割りばしがついてくるらしい。
「ほお、こちらも良い眺めじゃな!」
「ここは清津峡といって、日本三大峡谷のひとつだよ」
続いてやってきたのは富山県の黒部峡谷と三重県の大杉谷と並ぶ日本三大峡谷のひとつである清津狭だ。
美しいエメラルドグリーンの清津川を挟んで、切り立つ巨大な岩壁は全国に誇るV字型の大峡谷があり、柱状節理の斜めに線の入った岩肌と美しい川の色合いがとても美しい。
この峡谷には清津峡渓谷トンネルがある。このトンネルの出口にはとても清津峡谷の美しい景色が見られるわけだが、そこに到着するまでのトンネルの内部にはいくつかのアートがあるので面白い。
「ええ、これはまた見事ですね」
「うむ、これが映えるというやつなのじゃな」
そしてこのトンネルの出口には地面から数センチメートルほど水が張られており、その水が反射してトンネルと清津狭のが上下に映って円形に見えるので、とても幻想的な景色を作り出している。
トンネルの出口に美しい空と清津狭の景色が上下に映っているわけだ。もちろんこの光景は季節によって移り変わっていく。春や夏は美しい緑に覆われ、秋は美しい紅葉、冬は真っ白な雪景色が楽しめる。
確かにこの美しい光景は映えるというべきなのだろう。





