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食いしんぼうエルフ姫と巡る、日本一周ほのぼの旅!  作者: タジリユウ@6作品書籍化


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第43話 佐賀県① 呼子の朝市、イカ


「ふむふむ、ここもなかなか人が多いのう」


「呼子の朝市は朝市の中では有名だからね。この短い距離で60店ものお店が店を出しているんだ」


「海産物だけじゃなくて野菜や食べ歩きできるものなどいろいろと売っておりますね」


 福岡県を出て西へ進み、佐賀県の呼子(よぶこ)へとやってきている。佐賀県の呼子と言えば、目の前にある玄界灘で獲れたばかりの新鮮な海産物が有名である。


 この朝市では朝早くから多くのお店が開いていて、大勢の観光客を相手に大きな声でお客さんを呼び込んでいる。昔ながらの市場の雰囲気が残っている場所だ。


 大きなドーム状の屋根があった唐戸市場もいいものであったが、屋外で多くのお店が横一直線に並んでいる呼子の朝市もいいものである。


「このあとはレストランに行くから、ここではあんまり食べないようにね」


 朝市での食べ歩きもとても楽しいものであるが、せっかくなら大きなお店でも食べたいから、ここであまり食べすぎないようにしなければならない。


「おお、これはおいしそうな匂いじゃな!」


「ウニなんかもあるのですね。この場で殻を剥いて食べられるみたいです」


 とはいえなかなか誘惑が多い場所でもある。


 朝市では活きたウニを目の前で殻を剥いて食べることができたり、サザエやアワビをその場で焼いてくれたりと、味だけではなく目で見ても楽しめるようになっている。


 さらには呼子で有名なイカを使ったイカシュウマイや、それを揚げた揚げイカシュウマイ、コロッケ風にかまぼこを揚げた魚コロッケなどが売られている。


「……次もあるからひとつかふたつだけにしておこう」


 やっぱり市場で売っているものには抗いがたい誘惑がある。というか純粋に俺も食べたい。


 そして食べ歩きだけではなく、イカの天日干しや魚の干物なども有名である。これがまた酒のつまみになるので、今日の晩酌用にちょっと買っておこう。




「ここも綺麗な青い海ですね。それに大きな橋が架かっています」


「あれは呼子大橋だね。ハープを2つ並べたようなフォルムをしているから、ハープ橋とも呼ばれているみたいだよ」


 呼子本土と加部島をつなぐ全長約700mの橋。そこまで長いというわけではないが、その形状はとても美しい。そしてその呼子大橋の近くにある食事処が次の目的地である。


「おお、これは絶景じゃな! まさか海の中に入って食事ができる場所とは驚きじゃ!」


「日本でもそれほどはない海中レストランだよ」


 呼子の朝市を楽しんだあと、呼子にある有名なイカを使ったレストランにやってきた。そしてこのレストランの最大の特徴は海の中に海中レストランであるということだ。


 桟橋を渡って店の中に入り、下の階に降りるとそこには巨大な生け簀があり、その中をたくさんの魚が泳いでいる。そして座席の窓から海の景色を見ながら食事をすることができる場所だ。


 さすがにこの光景にはミルネさんも驚いている。子供にも大人気っぽいらしいからな。


「すごいですね、このイカはまだ動いていますよ」


「半透明で綺麗じゃが、この触手が少しだけ気持ち悪いのう……」


 そしてやってきたのはこの呼子で有名なイカの生き造りである。寿司屋やスーパーなどで見かけるイカは白いが、さばいたばかりのイカは白ではなく半透明だ。呼子のお店では下の皿の色が透き通るほど鮮度の良いイカを楽しむことができる。


 さらにさばいたばかりのイカはゲソもまだ動くし、身の斑点模様が移り変わっていくのだ。こればかりはイカの活き造りでしか楽しめない絵である。ただイカやタコなんかを初めて見るミルネさんには少しグロテスクにも見えるのかもしれないな。


「これはすごいですね。イカの刺身には生臭さのかけらもなく、弾力がありつつも身の旨みがしっかりと味わえます」


「こっちの丸いやつはふんわりとしていて、少し甘みもあっておいしいのじゃ!」


「ミルネさんが食べているのはイカシュウマイだね。さっきの朝市でも売っていたけれど、呼子の名物にもなっているんだよ」


 新鮮なイカのすり身を使って蒸したイカシュウマイ。佐賀県のお土産としても有名な一品である。


 呼子に住んでいる人たちは透明なイカしか見たことがないから、逆に白くなったイカを見たことがないなんてことを聞くと羨ましくて仕方がないよな。


「こっちの触手の部分は食べられないのう?」


「こっちの部分も食べられるけれど、ゲソは天ぷらにしたほうがおいしいから、刺身の部分を食べ終わったら、一度店員さんに渡して揚げてもらうんだよ」


 イカの刺身を食べ終わったあとは一度店員さんに皿ごと渡して、イカのゲソ天にしてもらうというシステムだ。先ほどまで動いていたゲソをすぐに揚げて食べることができるんだからすごいよな。


「うむ、アツくてコリコリとしておいしいのじゃ!」


「ええ。揚げたての天ぷらというものは本当においしいですね。願わくば……いえ、何でもないです」


 喜屋武さんの気持ちは非常によくわかる。最高のゲソ天にはキンキンに冷えたビールと相場は決まっているものである。くそっ……


 まあなんだかんだで呼子のイカを満喫してくれたようでなによりである。


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キャンプ場
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