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食いしんぼうエルフ姫と巡る、日本一周ほのぼの旅!  作者: タジリユウ@6作品書籍化


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第21話 奈良県② 茶粥、飛鳥歴史公園、にゅうめん


「ふむふむ、なかなか趣きのあるお店なのじゃな」


「奈良とか京都は歴史のある街だから、昔ながらの料亭みたいなお店が多くあるんだよ」


「お茶の良い香りがします。お茶のお粥とは面白いですね」


「ここの茶粥はほうじ茶みたいだけど、他にも店や家庭によって緑茶とか番茶とかを使った茶粥があるそうですよ」


 茶粥は奈良や近畿地方にある郷土料理で、その名の通りお茶を使ったお粥である。茶粥はおかいさんという愛称で親しまれてきた常食で、聖武天皇の時代から食べられてきた歴史のある料理だ。


 ここのお店の茶粥はご飯とほうじ茶で作られているが、お餅を入れたり、豆や栗や芋を入れた茶粥や、冷やして食べる茶粥もあるらしい。


「ほう、優しい味じゃな。少し疲れておるから、とてもおいしく感じるのじゃ」


「ええ。鹿を相手にするのも大変でしたからね。これはなかなか心休まります」


 茶粥はめちゃくちゃうまいっていう料理ではないが、少し疲れた今みたいなときにはありがたい。


 豪華絢爛な料理やラーメンなども良いが、たまにはこういうあっさりしたのでいいんだよ。


「あと一緒に付いている黒っぽい色の漬物は奈良漬けといって、奈良県の名物なんです。酒粕に漬けているから、独特の香りがしていい箸休めになりますよ」


 茶粥に添えられている漬物は奈良漬けだ。白うり、胡瓜、茄子や大根、他にもデザートとして食べられる西瓜、メロン、パパイヤなどの奈良漬けもある。これらを塩漬けにして、何度も新しい酒粕に漬け替えながら、伝統的な製法では数年から数十年もの長時間漬けられている。


 まあ実際のところ奈良県民の友達曰く、奈良県民だからといって、それほど奈良漬けを食べるというわけではないらしい。地元の名物だからといってみんなが食べるわけではないのは、どこも一緒だな。






「ほう、これはまた見事な石室じゃな」


「石舞台古墳は日本でも最大級の横穴式石室だからね」


 茶粥はを食べたあとは飛鳥歴史公園へとやってきた。この公園は飛鳥時代の史跡や歴史的遺産などが数多くある。


 日本の歴史の教科書にも載っている石舞台古墳、高松塚古墳、キトラ古墳、飛鳥寺跡などの有名な史跡が実際にこの目で見れるので、俺も初めてここに来た時は興奮したものだ。


 奈良県は歴史があり、地面を掘ればなにかしらの歴史的な物が出てくるという奈良県あるあるまである。実際に工事をしていたら遺跡が出てきて工事がストップするなんてことも何回もあったらしい。


「面白い形をした古墳ですよね。昔歴史の授業で出てきた覚えがあります」


「元々は上まで土に埋められていたらしいけど、今は土がなくなって、全部見えるようになったみたいですね。天井の石が広くて平らで舞台みたいに見えるから石舞台古墳という名前がついたらしいですよ」


 よくもまあ重機のない大昔にこれほど大きな古墳を築きあげたものだよ。そりゃピラミッドとかと比べれば小さいかもしれないが、実際の現物を見ると、どうやってこんな巨大な石を積み上げたのか不思議でしょうがない。


 この古墳は蘇我馬子のお墓という説が有力らしい。蘇我入鹿とか大化の改新とか懐かしいよなあ。


 飛鳥歴史公園はかなり広いので、転移魔法を使って他の古墳や史跡などを見て回った。実際にここを歩いて回るのはかなり大変である。


 他にもこの飛鳥歴史公園には酒船石、鬼の雪隠(せっちん)、鬼の俎(まないた)、二面石などといった多くの史跡が残っている。






「ふむふむ、これはラーメンとは違って、だいぶ細い麺なのじゃな」


「これは素麺(そうめん)といって、小麦粉を原料にして細く伸ばした麺料理だよ。今回はは温かい出汁で食べるにゅうめんなんだけれど、夏の暑い時期に食べる冷やし素麺も本当に美味しいんだよね」


 ここ奈良県桜井市は昔三輪という地名で呼ばれており、そうめん発祥の地とされている。原料の小麦粉を使い、機械ではなく手で延ばす手延べ製のほうが有名だ。


 手延べ製は生地を棒状にして2本の箸にかけ、ねじりながら、手作業で編み込むように引き延ばしていくので、機械製のそうめんよりもコシや強い弾力があることが特徴である。


 その中でも11月〜3月までの寒冷期に手延べ製で作られ、製造から1年以上寝かしたものを古物(ひねもの)、2年以上寝かしたものを大古(おおひね)と呼び、高級品として重宝している。


「おお! あっさりとした味じゃが、とてもうまいぞ! こんなに細い麺なのに、噛みごたえがあって、しっかりとした味わいがあるのじゃ」


「温かいそうめんはあまり食べませんが、こちらも良いですね。ミルネ様の言う通り、こんなに細い麺なのに食べ応えがあります」


「最近だと一本0.6mmの極細な高級そうめんも販売されてますからね。木箱に入っていたり、個別包装されたりして見栄えもすごいですよ」


 三輪そうめんや揖保乃糸などの有名なそうめんの中でも、特に高級なそうめんは安い機械製のそうめんとは比べものにならないほど味が違う。同じそうめんでこんなにも味が違うのかと驚いたものだ。もちろん値段のほうも比べものにならないけどな……


 個人的には冷やしたそうめんのほうが好きだが、温かいにゅうめんも良いものである。夏場は夏場で流しそうめんを店の中でやっていたりもするので、夏に来ても楽しめるんだよな。




 お土産に三笠焼き(みかさやき)を買ってから今日の宿へと移動した。ちなみに三笠焼きとは簡単に言うとどら焼きである。奈良県付近ではどら焼きのことを三笠焼きと呼んでいるのだ。


 奈良県に住んでいた友人がどら焼きのことを三笠焼きと呼んでいた時には一瞬なんの話をしているかわからなかったからな。


最後まで読んで頂きまして誠にありがとうございます!

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誤字脱字、日本語のおかしいところがありましたら教えて頂けますと非常に嬉しいです( ^ω^ )

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