第13話 愛知県② 名古屋名物
「おお〜これは壮観じゃな! どれもこれも初めて見る料理ばかりでとても良い匂いじゃ!」
「ちょっ、ミルネさん。もう少し静かにしないと隠密魔法がとけちゃうよ」
「おっと、すまんのじゃ!」
普段はミルネさんの隠密魔法により、そこに居ながらも他人に意識されないようになっているが、あまり大きな音を立てたり大きな声を出すと、その魔法がとけてしまうらしい。隠密魔法がとけてしまった時に備えて、ミルネさんのエルフ特有の長い耳はニット帽で隠してはいるけれど念のためだ。
とはいえミルネさんが驚きの声を上げる気持ちも分からなくはない。今このテーブルには、愛知県の名物料理がずらりと並んでいる。このお店は愛知県の名物料理をいろいろと出してくれるお店だ。
味噌煮込みうどんはもともとは山梨県のほうとうをアレンジしたものという説もあり、少し硬めのうどんを使い、このあたりの地域でよく使われる八丁味噌が使われていることが多い。また、味噌煮込みうどんの土鍋の蓋には空気孔がなく、この蓋を取り皿として使うこともできるらしい。
きしめんは幅が広く薄い麺で、普通のうどんのように出汁と醤油のつゆを使ったり、カレーきしめんや味噌煮込みきしめんとして食べるようだ。ちなみに乾麺では幅4.5mm以上かつ、厚さを2.0mm未満のものという規格まであるらしい。
名古屋の手羽先は衣をつけずに下味をつけて素揚げし、最後にタレやこしょうやゴマなどを振りかけている。手羽先を2度揚げするから、肉はふっくらしていて皮はパリッとしている。地元の人達は手羽先発祥の店に行くことが多いようだ。
ひつまぶしはうなぎの蒲焼を細く切り分けてご飯に乗せ(まぶし)て薬味と出汁などと一緒に提供される。そのまま食べたり、薬味と一緒に食べたり、出汁を掛けて食べたりといろいろな食べ方を楽しめる。
天むすとは小さめのエビの天ぷらをおにぎりの具として入れたものだ。付け合わせにはきゃらぶきが添えられているのも特徴だ。ちなみに天むすの発祥は愛知県ではなく三重県らしい。
他にも名古屋コーチン、台湾ラーメン、あんかけスパ、小倉トーストなどなど、名古屋めしを挙げればキリがないほどたくさんの名物料理がある。ひとつの県や都市でこれほどの名物があるのは、愛知県くらいかもしれない。
さすがに3人でこれらすべては食べられないので、代表的な料理だけ頼んだ。あとこれ以上説明が入ると、ただの料理解説をするだけになってしまうからな。
「おお、温かくて美味しいのじゃ! 山梨で食べたほうとうとは味噌というものが違っているようじゃのう」
「よく気付いたね。この味噌という調味料は日本各地の地域によって使っている味噌の種類が違うんだよ」
一口に味噌と言っても、原料が米、麦、豆に分かれており、色についても赤味噌、淡色味噌、白味噌に分かれているらしい。あとは地域でも仙台味噌、信州味噌、関西白味噌、九州麦味噌などの種類がある。
うちでは市販の味噌を使っていたが、何種類かの味噌を混ぜたあわせ味噌だったな。この辺りの地域では豆を使った赤味噌で濃厚な味と、少し渋みと酸味のある八丁味噌が使われている。
「私の実家では首里味噌を味噌汁に使っていましたね」
「おお、それは沖縄っぽい味噌だね」
調べてみたら大豆に米麹を使った市販されている味噌らしい。喜屋武さんは名前の通り沖縄出身だ。
「他にもいなむどぅち味噌という味噌もありましたね」
「……なんて?」
いむなどぅちってなんぞ?
沖縄は方言もそうだけど独特の言葉が多すぎるんだよな。
「簡単に言うと具がたくさん入った味噌汁です。イナムルチともいいますね」
どうやらいむなどぅち味噌として市販されている白味噌らしい。う〜む、普通の味噌と味がどう違うのか気になる。沖縄に行ってみたら食べてみるとしよう。
「こっちのはずいぶんと薄い麺なのじゃな」
「きしめんは平たいからつゆの味がしっかりと染みているし、ツルツルとして食べやすいんだよね。温かいつゆも美味しいけれど、夏は冷たいきしめんも美味しいんだよ」
「手羽先は味が濃くて美味しいですね。それに表面がパリパリしていて美味しいです」
「このあと引く味がたまらないよね。ビールが飲みたくなる味だよ。あと昨日も食べたけれど、やっぱりうなぎは美味しいよね。出汁をかけるとこれまた違った味になるのがたまらないなあ」
「うむ。タケミツの言う通り、このうなぎとやらはうまいのう! それに食べ方がいろいろとあって面白いのじゃ」
「やはりうなぎは香りがたまりませんね。ネギやワサビと一緒に食べるとあっさりした味になります。そしてこちらの天むすもなかなかです。タレの染みた海老天というのも美味しいですね」
「海老天だけじゃなくて、おにぎり自体も小さいから女性にとっても食べやすくて人気があるんだよ」
天むすは大きいサイズのものもあるが、基本的には小さいサイズとなるので、女性にとっては嬉しいサイズなのかもしれない。
たった3人なのに、結構な量を食べられたな。さて、お腹も膨れたし、また少し観光してから、最後にもうひとつの名古屋メシでしめるとしよう。
最後まで読んで頂きまして誠にありがとうございます!
執筆の励みとなりますのでブックマークの登録や広告下にある☆☆☆☆☆での評価をいただけますと幸いです。
誤字脱字、日本語のおかしいところがありましたら教えて頂けますと非常に嬉しいです( ^ω^ )





