第109話 埼玉県② 川越、駄菓子屋横丁、ゼリーフライ
「ここも昔ながらの街並みなのじゃな」
「うん。川越は都心からも近い観光地として有名なんだよ」
ここ埼玉県川越市は明治と大正の街並みが残っている場所だ。江戸時代の木造の黒々とした漆喰塗りの家から始まり、大正浪漫夢通りの和洋建設が入り乱れた商店の街並みなどを歩いて回ることができる。
東京駅からたったの1時間ちょっとで簡単に行ける場所なので、気軽に訪れることも可能な観光地だ。
「あれが時の鐘だよ。昔ながらの鐘で、川越で古くから愛されてきた町の鐘楼だね。昔は人が鳴らして時間を知らせていて、今も自動だけれど一日に4回ほど鐘が鳴るんだ」
「今も鐘を鳴らして時間を伝えているなんてすごいですね」
昔ながらの街並みのため、高い建物が少ない中にぽつんとある高い時の鐘は離れた場所からでもすぐに見つけることができる川越のシンボルとなっている。
川越の街を歩きながら江戸から明治、明治から大正の建物へ移り変わる様子を楽しみながら歩くことができる。
「おおっ、これはおいしいのじゃ!」
「この辺りは江戸時代からさつまいもの栽培が盛んにおこなわれて有名なんだよ」
そんなわけで川越にはさつまいもをつかったさつまいもチップやさつまいもドーナツなんかのスイーツの食べ歩きができるのである。
ちなみに川越でもうなぎのお店が有名なのだが、成田で食べたばかりだから今回はスルーだな。
「この菓子屋横丁は駄菓子という安くて小さな子供の食べるようなお菓子が販売されているんだよ。こっちの世界だと、みんな子供の頃に食べたことのある懐かしいお菓子が売っているんだよ」
「ほう、そんなお菓子があるのじゃな!」
石畳の通りは江戸時代を彷彿させ、勢いのある呼び込みの声やノスタルジックを感じる趣ある風景がいいものである。
昔はあちこちにあった駄菓子屋だが、最近はだいぶ減ってきてしまった。しかしこの菓子屋横丁に20近くの店がある。高級なスイーツとは異なるけれど、安くて手軽に食べられる駄菓子には多くの人が子供の頃にお世話になったはずだ。
「当たり付きのきなこ棒に10円のガム、20円~30円のラーメンスナック菓子、麩菓子にラムネにチョコレート……本当に懐かしいお菓子がたくさんありますね」
「個人的にはビン型のスナックに入ったストローで吸うラムネと魚のすり身を平たく伸ばしてすっぱい味を付けた駄菓子が好きかな。あとは当たり付きの10円の駄菓子も当たるまで買ったりしてたっけ」
小学校の遠足の時とかはいくらまでと決まっていて、300円で何を購入すか子供ながらに悩んだものだ。よく考えるとあれも計算をしたり買い物をする練習になっていたんだと思う。
たぶん一人一人それぞれ好きな駄菓子があると思う。そして大人になった今ならできる箱買いで駄菓子を大量買いした人は俺だけではないはずだ。当然この菓子屋横丁でも大人買いができるようになっている。
他にも大きくて1メートル近くある麩菓子なんかも有名だな。
「ほう、なんとも変わった食感なのじゃな」
「……名前から感じる味とはちょっと異なる味ですね」
「確かにゼリーフライだと、ゼリーを揚げたり、衣の付いたフライを想像するよね」
こちらは埼玉県行田市の名物のゼリーフライだ。
おからや、ゆでてつぶしたジャガイモを、炒めたニンジンやネギなどの野菜とよく混ぜ合わせる。小判の形に整え、そのまま油で揚げてウスターソース等にくぐらせて仕上げられたものだ。簡単に言ってしまうと、おからをメインにしたコロッケだな。
決してお菓子のゼリーを揚げたわけではないのである。ゼリーフライという名前の由来は、小判型であることから「銭フライ」と呼ばれていたものが「銭」がなまって「ゼリー」になったと言われている。俺も最初にこの名前を聞いた時にはお菓子のゼリーを揚げたものだと思っていた。
「このモチモチとした食感とソースの味がおいしいよね。揚げたあとにすぐに特製のソースに漬けるから、中までソースの味が染みこんでいるんだよ」
パン粉などの衣を使用せず、おからや野菜をたっぷり使っているからヘルシーで、ダイエット食としても人気が高いようだ。
しかもおからを使っているから、一個たったの80円で売っていてお財布にも優しく、おやつとしても食べられるのがいいよね。観光客だけでなく、地元民にも愛されている地元の味である。





