第106話 千葉県① 濃溝の滝、成田山
「ふあ~あ……」
「今日はいつもより早いですからね」
「この時間じゃないと見られないからね。それでも転移魔法があると本当に楽だよ」
本日やってきたのは千葉県君津市のとある場所だ。
いつもは早い時間だと空いていない観光地やお店があるから、少し遅く出発している。しかし今日は朝早くから移動を開始している。というのも、この場所の一番いい観光時間が早朝なのだ。
とはいえ、ミルネさんの転移魔法があるだけで相当楽になっている。なぜならこの場所は結構来るのが大変なのだ。特に電車だと厳しいから車で来るのが一番かな。
車で来ると東京湾アクアラインの海ほたるも見られるのでおすすめだ。春からは木更津で潮干狩りなんかもできる。木更津の潮干狩りは日本最大級なので、近くにいる人は一度訪れてみるのもおすすめだぞ。
「ふむ、早朝に自然の中を歩くのもいいものじゃな」
「観光地でも自然を巡るのはいいよね」
目的地までは少し自然の中を歩いていく。早朝の森の中を散歩するのもいいものだ。
……ミルネさんの転移魔法があるとあまり運動をしなくなってしまうから、こういう機会はしっかりと運動しておこう。
「おお、朝日がとても綺麗じゃな」
「ええ。洞窟から朝日がこぼれて素晴らしい景色ですね」
「濃溝の滝はこの時間帯だとちょうど朝日が綺麗に見えるんだよね。それともう少しこっちから見ると川に反射した朝日がハートの形に見えることで有名なんだ」
「なるほど。これは面白いですね」
「おお、確かにハートの形に見えるのじゃ!」
真正面から少し右側へ移動すると、洞窟からこぼれた朝日が洞窟を流れている水面に反射して、ちょうどハートの形に見えるのだ。
相変わらず自然にこんな景色ができるんだからすごい。
この辺りは夏の夜に蛍が見られることでも有名だ。最近は蛍なんてあまり見られなくなったから、ぜひまた見たいものである。
「ほう、なかなか大きなお寺じゃな」
「成田山は大きなお寺だからね。初詣と言って、年の移り変わりにお参りへ行く時には本当に大勢の人が訪れるからね」
「よくテレビでも流れておりますね」
続けてやってきたのは成田市にある成田山新勝寺だ。ここは真言宗智山派の大本山で、多くの参拝客が訪れる。特に関東では初詣に訪れるお寺としても有名で、正月三が日だけで毎年約300万人もの参拝客が訪れるのだとか。
俺も三が日には行ったことはないが、関東に住んでいるとよく参拝の様子がテレビで流れてくる。その様子を見ると、とんでもない人の行列がこの成田山新勝寺に訪れる。
「ここが入り口の総門だね」
15メートルもの高さの総門に迎えられて中に入る。これだけ大きな門というのもなかなか珍しい。
「続けて仁王門があって、その奥に大本堂だね」
仁王門は国の指定重要文化財で、門の真ん中には「魚がし」と書かれた大きな赤い提灯が吊り下げられている。これは築地の魚河岸の旦那衆が奉納したものだ。築地の魚河岸では昔から、成田山新勝寺に大提灯を奉納する伝統があるらしい。
この仁王門や三重塔、釈迦堂など、様々なものが国の重要文化財に指定されている。初詣で有名なお寺というだけでなく、歴史的にも深いお寺となっている。
この旅も残りは埼玉と東京を残すだけとなった。もう残りわずかとはいえ、怪我やトラブルがなく無事に旅が終えられるように祈っておいた。
「おお~随分と広い公園じゃな」
「成田山公園はとても大きい公園だからね。大きな池もそうだけれど、今の時期は梅が見どころで、秋には紅葉がとても綺麗な公園なんだよ」
成田山公園はなんと東京ドーム3.5個分の大きな公園だ。小さな滝があったり、木々をのんびりと歩くのも気持ちが良いものである。
「うむ、やはりうなぎはおいしいのじゃ!」
「ええ。少々お高いですが、とてもおいしいですね」
成田の名物と言えばうなぎだ。昔海から離れた成田では、印旛沼や利根川で獲れる川魚を盛んに料理していたようだ。成田でうなぎが名物になったのは、参道と同じく江戸時代の元禄年間頃からという、歴史もある名物料理なのである。
このお店は成田の中でも有名店なので、平日の開店と同時でも結構なお客さんがいた。
表面は香ばしく、中身はふっくらとしていて、なによりこのうなぎの香りが食欲を刺激してくる。うなぎは稚魚であるシラスウナギが減少していることもあって、値段が高騰して高級食材となっている。
うなぎを捌ける職人にも高い技術が必要なこともあってさらに高級食材となってしまうが、国のお金で食べられるので遠慮なく特上を注文した。ちなみに以前浜名湖の時にも説明したが、うなぎの特上は質が良いという訳ではなく、単純に量が多くなるのである。
「成田空港からもたった10分でアクセスもいいし、東京観光の時間が数時間あまった時におすすめの場所だよ」
「なるほど、確かにアクセスは良いですね」
東京観光に来る際は成田空港を利用する時が多い。早めに行動して時間が余った時は参道をぱっと回るだけでも楽しいものである。





