第104話 群馬県① 富岡製糸場、焼きまんじゅう、水沢うどん
「随分と広い工場じゃな」
「当時はここで本当に大勢の人が働いていたからね。富岡製糸場は最近世界遺産にも登録されたんだよ」
今日は群馬県へとやってきた。そしてここは世界遺産にも登録されている富岡製糸場だ。
生糸の大量生産を実現した「技術革新」と、世界と日本の「技術交流」に貢献したとして、2014年「富岡製糸場と絹産業遺産群」として世界遺産に登録されたのである。ちょうど10年ほど前だから、まだ比較的新しく登録された世界遺産だ。
「ずいぶんと大きな工場ですね」
「数百人の女性がここで働いていたようだね。当時ではかなり効率的に糸を紡げるようになったらしいけれど、それでもかなりの人がこの工場で働いていたらしいよ」
当時の器械製糸工場としては世界最大級だったと言えば、その大きさが多少は推し測れるだろう。
「このような美しい布がこっちの虫の吐いた糸からできるのじゃな……」
「生糸、つまり絹糸の前の状態の糸は蚕の繭玉から作られるからね」
富岡製糸場では蚕を育てて、繭を作るところから糸を紡ぐ過程までの説明や様子が展示されている。
まあ、ミルネさんの気持ちは分からなくはない。俺も初めて洋服の糸の材料がこんな芋虫の出した糸だと知った時は驚いたもんな。しかしこの富岡製糸場が日本を支えていたことも事実である。
「繭玉の中の幼虫は殺してしまうのですね……」
「蚕が成虫になると蛾になるからね。蛾に成長すると糸は出さなくなるから仕方がないよ。確かにちょっと残酷だけれどね……」
喜屋武さんの言う通り、糸を出して繭となりそのまま放っておけば成虫の蛾になるのだが、蛾に成長したら何も産み出さなくなるのでしょうがない。ちなみにひとつの洋服を作り出すのに一体の蚕が作る繭玉を1200個も使うと言うのだから驚きだ。
「こっちのは複雑なのじゃな。それにとても数が多いのじゃ」
「繰糸工場にある器械は繭玉を紡いで糸を作り出してくれるんだ。当時はこれだけの器械が稼働していたと思うとすごいよね」
ずらりとならんだこの繰糸器は繭玉から糸を紡ぐためのものだ。産業革命により、こういった作業はすべて人の手ではなく紡績機などを使用して行われるようになった。
そのためかなりの数の繰糸器が並んでいる。こういった複雑で細かなデザインは男心をくすぐるよね。
その後も富岡製糸場の歴史や生産されたものを見学していった。
「おお、これはおいしそうな香りじゃな!」
「これは群馬の名物の焼きまんじゅうだね。この焦げた味噌の香りが良いよね」
富岡製糸場の見学を終え、群馬の前橋までやってきた。
お昼前の軽いおやつタイムとして、名物の焼きまんじゅうをみんなで食べている。
「甘辛い味噌の味が素朴でいいですね」
「昔ながらの味って感じがするよね」
焼きまんじゅうは小麦で作ったまんじゅうを串にさし、砂糖、醤油、味噌をベースとした甘ダレを付けながら焼いたものである。
中身は何も入っていないが、この素朴な味がたまらないのである。
蒸かしたまんじゅうを焼いていることもあって、外側はパリッとしていて中は柔らかくて食感も楽しめるようになっている。冷めると水分が抜けてパサパサになってしまうので、アツアツで食べた方がおいしい。
「群馬県には独特な文化も多いんだよね。中学校までは上毛かるたっていう独自のかるたを習うらしいよ」
群馬県の歴史、自然、人物、産業なんかを詠った群馬県特有の上毛かるたというものが存在し、県大会もあるらしい。
百人一首と同じで公式の競技大会ルールも存在し、3対3の団体戦まであるようだ。読み手は必ず最初に「つる舞う形の群馬県」を2回読んでから競技が開始するらしいぞ。
他にも授業始まる時の挨拶は「起立 気を付け 礼」ではなく、「起立 注目 礼」で始まる。学校の運動会のチーム分けは「赤城 榛名 妙義 白根」の山の名前だったりと、群馬県独自のルールもあるようだ。
ちなみに群馬特有の文化を題材にした漫画もあったりするぞ。
「ほう、これはうどんじゃったな」
「これは群馬の名物の水沢うどんだよ」
水沢うどんは秋田の稲庭、香川の讃岐と並んで、日本三大うどんのひとつに挙げられている。
地元産の小麦と水沢の湧水で打ったうどんだ。やや太めの麺は透き通るように白く、ツルツルッとした食感の良さと強いコシが特徴だ。
「おお、モチモチしていておいしいのじゃ!」
「他のうどんよりも太いせいか、コシが強く感じますね」
「うどんの味がしっかりと味わえるようにざるうどんで食べることが多いみたいだね」
水沢うどんはうどんの味をしっかりと楽しめるようにつゆをかけたりせずに冷やしたざるうどんでつけつゆにつけて食べることが多い。
他にも群馬には紐川うどんや館林のうどんなど、うどんがいろいろと有名だったりする。





