第102話 栃木県① いろは坂、華厳の滝、日光東照宮
「ほお~これは綺麗な景色じゃな!」
「たまにはバスでの移動もいいものでしょ。ただ、先は長いから車酔いしたら教えてね」
今日は栃木県へとやってきた。
まずは日光市街と日光、中禅寺湖を結んでいるいろは坂をバスで登っている。もちろんミルネさんの転移魔法で一気に標高1000メートル越えの山の上まで移動することが可能だけれど、せっかくならその道中にあるいろは坂を見ながら向かった方が楽しいということもあって、観光バスを使ってのんびりといろは坂を登っている。
まあバスで行けるだけまだマシだ。さすがにこの曲がりくねったつづら折りの坂道を自転車で登るのは本気で大変だからな……
「特に秋は紅葉が本当に綺麗なんだよね」
「なるほど、確かに高揚に染まったこの山の中を車で走るのは綺麗かもしれませんね」
他の季節も綺麗なのだが、やはりいろは坂は紅葉に染まってこそだろう。また秋にも来てみたいものだ。ただ、秋のシーズンは本当に混んでいるから難しいところだ。普通は30分もかからずに上まで行けるのが、3時間くらいかかることもあるらしいからな……
いろは坂は日本の道百選にも選ばれている。ちなみにいろは坂の由来は上りと下りの専用道路には合わせて48か所のカーブがあり、いろはにほへとの48音になぞらえていろは坂と呼ばれるようになったらしい。
そしてこの連続したカーブは乗り物酔いしやすい人にはちょっと辛いんだよね。小学校の自然学習で日光まで来たことがあるけれど、車内で吐いてしまった子供もいたんだよな……まあ、こればかりは仕方がない。幸いミルネさんも喜屋武さんも大丈夫そうだ。
「おお、これはすごい迫力じゃな!」
「ええ、これは素晴らしいですね!」
「これが華厳の滝だよ。日本三大名瀑のひとつで、97メートルの高さの滝なんだ」
バスでいろは坂を登り、有名な華厳の滝へとやってきた。
中禅寺湖の湖の水が高さ97メートルから落ちてくる光景は壮観の一言に尽きる。華厳の滝は滝自体の美しさだけでなく、その後ろに見える緑あふれる自然やいくつもある小さな滝が華厳の滝の美しさをさらに引き出している。
今いる場所は華厳滝エレベーターというものに乗って、華厳の滝が一番よく見える観瀑台まで降りてきている。上から見る華厳の滝も素晴らしいが、やはりこの落差のある滝は下から見るのが一番美しいものである。
「ここが中禅寺湖だね。さっきの華厳の滝はこの湖の水が流れ落ちてきているんだよ」
「山の上にこれほど大きな湖があるとはすごいのじゃ」
華厳の滝から戻ってきて、中禅寺湖へとやってきた。
ミルネさんの言う通り、標高1300メートルの山の上にこれだけ大きな湖があるのはすごいことだよな。
「ここは竜頭の滝だね。日光には何十もの滝があって、そのうちのひとつだよ」
「こちらも綺麗な景色ですね」
さすがに華厳の滝以上の滝はないけれど、日光には小さな滝がいくつもあるのだ。
山の噴火によってできた階段状になった溶岩の上を流れている滝で、滝つぼが大きな岩によって二分されており、その様子が竜の頭に似ていることからこの名前がついたようだ。
「ここは戦場ヶ原だよ。昔は湖だった場所が湿原になってできた場所で、400ヘクタールもの広大な面積があるんだよ」
「随分と広い場所なのじゃな」
続けてやってきたのが戦場ヶ原だ。某アニメのヒロインちゃんの名前だな。
中禅寺湖を巡って神々が争った戦場だったという神話がこの場所の名前の由来となっているらしい。
戦場ヶ原には木の板でできたハイキングコースがあり湿原に住む多くの植物や野鳥などを見て回ることができる。全部回ると数時間は掛かってしまうほど広くて大きな湿原だな。
「ほう! これは美しくて見事な建物じゃな!」
「日光東照宮は世界遺産にも登録されているんだよ」
この豪華絢爛で非常に細かい装飾が施されている日光の社寺が登録されており、他にも二荒山神社、東照宮、輪王寺、日光山が構成資産として登録されている。
日光は徳川家康の霊廟である東照宮が1616年に建てられて以来、徳川幕府の聖地となった場所だ。当時の一流の職人が集められ、かなりの予算を使って建てられただけあって、本当に素晴らしい建物である。
他にも国宝が8棟、重要文化財34棟など貴重な建造物が並んでいる。
「おお、本当に音が変るのじゃ!」
「これは面白いですね。確かに龍の顔の下と音が変りますね」
薬師堂にある天井画は鳴き龍と呼ばれる龍の絵だ。その名前の通り、龍の絵の真下でガイドの人が拍子を打つとカーンと音が鳴ったあとに音が共鳴し、鳴き声のように聞こえてくる。これが別の場所だと音が共鳴せずに泣いたように聞こえないから不思議である。
他にも徳川家康公の墓所がある奥社への門に掲げられている眠り猫、見ざる言わざる聞かざるの三猿なども非常に有名である。





