3.ラジオの終わりとともに
「その日から私はハナの事で泣く事をやめました。いつも遠くで見守ってねと思うだけにしています。友達も危ない目にあったそうですが、黒毛の犬に助けられた言っていました。皆さんも神様や霊に亡くなった人やペットに会わせてくれと願うのは辞めた方がいいですよ。私みたいにならないように。という投稿でしたが……」
「いやぁ、夏らしい話でしたね」
気がつけば、ラジオから流れてくる声を掻き消すほど、窓に打ち付ける雨音が強くなっている。
俺も最近、コタロウに会いたいと神社にお参りに行った。しかも、コタロウがなくなってから毎日、毎日。
もう、やめよう。
この女子高生みたいに、コタロウの冥福を祈ろう。
「いやぁ、今日はいつもとテイストが違った内容になりましたね」
「でも、たまにはいいんじゃないですか?」
「そうですね。皆さん、どんなテーマでもオッケーです。どんどん投稿してくださいね。では、今夜はこれにて……おやすみなさい」
「おやすみなさーい」
軽い音楽と共にラジオが終わる。スイッチを切ろうと手を伸ばすと、
『ザッザザッ』
ノイズ音が雨音に混じり部屋に響く。
冷や汗が止まらない。
背後に、何か気配を感じる。
『ニャァ〜ン』
猫の鳴き声。コタロウのような鳴き声。それに混ざって『クスクス』と小さな女の子の声。
ゆっくり振り返る。
部屋の隅、肩までの黒髪の小学一年生くらいの女の子が立っていた。
『ねぇ、あそぼ』
読んで頂きありがとうございました。