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第2話

深夜2時ごろ、カーテンを閉め切り明かりは机の上の蝋燭が2本だけの薄暗い部屋、2本の蝋燭の間には水が張られた洗面器、水に向かって少年は1冊の本を片手に何かをぶつぶつと呟く。風ひとつ吹かない静かな夜、聞こえてくるのは少年の声と外で忙しく動く車の音だけ…


少年が本を閉じ洗面器を見ると、蝋燭は消え、水に魔法陣のような模様が浮かび上がり紫色に光りだす。




「はっは~俺を呼び出したのはお前か~人間」


「………」




静まり返った部屋に場違いなほど陽気な声とともに何者かが現れる。声の低さからして多分男だろう。少年は信じられない様子で唖然としてしまう。




「おいおい、喋ってくれなきゃわかんねぇだろ~」


「ふぅ~…ふぅ~、あぁ僕があんたを呼び出した」




少年は深呼吸をし気持ちを落ち着かせると喋りだした。




「じゃあ早速取引きといこう、冷やかすために呼び出したわけじゃないんだろ?そぉだな…まずはお互いの顔を見ないとな、ほぉれ…これでよく見えるだろぉ」




パチンと手を叩くと蝋燭の火は消えているのに部屋が明るくなる。そこには頭から角が生え、顔が細く、体格や身長は成人男性の平均ほどの男、足を組み座るような体勢で大きな蝙蝠のような羽をバタバタと羽ばたかせながら浮いている。


少年はその姿を見て目を見開き驚くが、自分が何を召喚したのかを思い出し、深呼吸を繰り返し気を落ち着かせる。




「あんたが悪魔だな、ホントにそれっぽい見た目をしているな…あんたは僕の望みを叶えてくれるんだろ?」


「ああ…お前から対価を貰うが、何だって叶えてやろう…だが、お前は政治家の息子だろ?欲しいものは何でも手に入れてきただろぅ、一体何を望むんだ?」


「どうしt「おいおい何を驚いてるんだ?俺は悪魔だぜぇ?悪魔に不可能はないんだよ、お前が何者かくらいはわかるさ」




少年の声を遮り悪魔は語る。少年はそんな悪魔を見てこいつはなら自分の望みを叶えてくれると確信する。




「僕だってお金で買えるものは何でも手に入れてきたさ、でも人気だけは買えないんだよ…これが僕の望みだ、僕に地下ずく奴なんて金かコネだけさ…そんな人気はいらない、僕を本当の人気者にしてくれ」


「はっ、人気者ね…実にくだらないものを望むのだな…まぁ文句はねぇさ大事な取り引きだからな、だが対価としてお前の幸運を貰う」


「幸運?」


「あぁ、お前の幸運を貰う、別に今の生活で十分恵まれてるし、不運になっても人気者だからなんとか乗り切れるだろぉ」




にやにやと笑う悪魔に対して少年は顎に手を当て少し悩むが、すぐに顔をあげた。




「解った。僕の幸運をあげよう。これで取り引きが成立するんだろ?」


「OK!では俺はお前を人気者にし、お前の幸運を貰う!ここに悪魔との取引は成立した!明日学校に行けばお前は人気者になっているだろう!」




悪魔は笑いながら模様に吸い込まれる。再び蝋燭に火が灯り、水面の模様も消えてなくなる。さっきまでのことが嘘だったかのように部屋は静まり返り、外から聞こえる車の音が妙に大きく感じる。
















(人気者ね…人気者が本当に幸せとは限らない。その人気に嫉妬して敵に回るやつは絶対にいる、それも立ち回りで味方にできるかもしれないが…あいつには今、幸運がない、必ずめんどくさいことになるだろう。それに敵は嫉妬だけじゃぁない。好意からのストーカーも厄介、人の運すら失ったあいつは絶対に大変な人生になる。政治家の息子だから誘拐されたりするかもしれねぇ、今までの方がマシだと思うようになるかもしれんなぁ)




悪魔は待ち続ける、欲望に正直で目の前のことしか考えられない奴を…



悪魔は笑う…

「御馳走さまでした…」



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