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マンチカン


誰かが呼んでいるような気がして、リサは目が覚めた。

きちんとベッドの上で布団を被って眠っていたようだ。

もしかして昨日のあれは夢だったのかな~?とボーッとしている。


『・・リサ、リサ』

結びで呼びかけられているようだ。

『・・ん・・ラブラ様なの?』

『そうだよ、おはよう。 昨日の今日で悪いんだけど、話があるから起きて来てくれないかな。』

『はい、わかりました』


リサは寝惚けながらも、体に染み付いた朝の準備をこなしてゆく。

使ってない部屋に朝食を準備してもらっているようで、そちらに行くとみんなはもう起きて食事をとっていた。

「遅くなってすいません。」

ペコペコしながら空いている席に座る。

よく眠れた?とラブラが話しかけてくれた。

温かい飲み物を口にすると、少しずつ頭が冴えてきた。

昨夜のことは実際に起こったことなのだと思うと、今更ながら、恐怖が押し寄せてきた。


「昨夜は一体、何が起こったんですか・・」


ラブラは最初の物音ですぐに廊下に出たらしい。

そうしたら廊下にいた見張りの者が、次から次へと倒れていくのが見えた。

敵に強力な『催眠』持ちがいるのがわかり、目を合わせないように注意をしていたらしい。だが、その時リサが部屋から出てきた。

彼女を連れて行こうとしているのがわかり、助けようと近付いたら目を合わされて催眠をかけられてしまったのだった。


あの時、コーテッドも犯人を追いかけて行って、もう少しでリサを助けられそうなときに、催眠に陥ってしまったのだった。

まさか得体の知れないマンチカンに助けられることになるとは・・・

気になるのは犯人が言っていた「『催眠』が効かない」というのは本当なのだろうか?


コーテッドの視線に気がついたマンチカンは首をすくめた。

「特性はききにくいだけで、全くきかないわけじゃないよ。」

いきなり考えていたことの答えを言ったのでコーテッドは驚いた。

「!!・・ど、どうして?!」

「君は素直な性格みたいだな〜・・そっちの人はおっかなそうだけど・・」

マンチカンはラブラを見た。


「その『隠蔽』の特性には他にも秘密がありそうだね・・・」

ラブラは最初っからこのマンチカンは油断のならない人物だと踏んでいた。

余計なことは一切話さないくせに、こちらの会話にはちゃんと反応はしていたからだ。


「やっぱり、おっかない人だと思った! ワンダの人たちがどんなだかわからないので様子をみさせてもらってたんだ・・」

悪びれる様子もなくマンチカンは言った。

「それでどういう結論に至ったの?」

今後のためにも聞いておく方がよさそうだ。

「う〜ん、まあ信用に足る人たちだと思うよ。」

マンチカンはまるで他人事みたいに答えるのだった。


コーテッドは明らかに文句を言いたげだったが、ラブラはそのふてぶてしさが逆に嘘がなさそうに感じられた。

「じゃあ、信用してもらえたところで・・君の意見を聞かせて欲しいな。

なぜ犯人はゲッシー国のヌートリアではなく、リサを狙ったんだろう?」

「う〜ん、まず考えられるのはヌートリアが捕まっていることを知らないんじゃないかな・・・」


教団かゲッシー国の誰かがヌートリアを常に見張っていて、門番として姿を現さないのを不審に思って、追いかけてきたのかとラブラは思ったのだ。

だが捕まっていることすら知らない、もしくは城内の牢にいると考えている可能性もある。

だからマンチカンは「ヌートリアが行動を共にしているのがわかったら殺される」と言ったのだろう。

こちらと行動を共にする=(イコール)裏切りを意味すると思い、ラブラもマンチカンの意見に賛同したのだった。


「『空からの使者』の力を是が非でも手に入れたがっている者がいる・・・あたりが妥当かな。」

「心当たりがあるのか!?」

これ以上リサが危険な目に遭うと、またもいなくなるかもしれない・・

焦ったコーテッドは思わず訊いた。


「あの力を欲しいものはたくさんいると思うよ〜、それに彼女がいると大義名分ができるじゃない。『空からの使者』の求心力は絶大そうだしね。」

「じゃあ、ニャータでよからぬことを企んでいる者の仕業とみていいのか?」

「この国だけかな〜、そちらの国だってそんなこと考えてる人たくさんいるんじゃないの・・」

痛いところをつかれてコーテッドもラブラも口をつぐんだ。

未だに女王陛下のことをよく思っていない貴族がいることも確かだ。


『そんなことはない』と言い返してくるだろうと思っていたマンチカンだったが、二人は冷静に自国の状況を理解しているようだ。

少し意地悪が過ぎたようだ。

「さすがにワンダからは遠すぎるでしょ、フツーにニャータの誰かの仕業だとおもうよ。」

ニャータでは国王を力だけで決めることに強く反対している者がいる。

得体の知れない者を国王として認めたくないという貴族は多いのだ。

マンチカンはそのことを話して聞かせた。



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