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ラブラ再登場


ここからニャータの都まではかなりの長旅になるらしい。

しかも行く人数も多いので、そうなると馬車も荷物も増えていく。

急ぎで準備が調えられていた。

出発の前日に慌ててやってきたのはラブラだった。

父からニャータに一緒に行くよう頼まれたのだ。


ラブラはリサを見つけると、それはとてもとても喜んだ!

彼は『さぁ、おいで』といわんばかりに腕を広げて待ってくれている。


そんなことされたら行くしかないでしょう!

リサはラブラの腕の中に駆け寄った。

ラブラは大事そうにぎゅーっと抱きしめ、頭のてっぺんに2回もキスをした。


「リサ、帰ってきてくれたんだね、本当に嬉しいよ。よーく顔を見せて!」


そう言われ正面を向くと、ラブラはまじまじとリサを見てきた。

なんか恥ずかしいなと困惑する。

だけどラブラはそんなことなど気にせずに、じーっとリサを見つめている。


ラブラは気持ちの高ぶりを押さえ込むようにもう一度リサを抱きしめたのだった。



「あの二人は人前で何ということを!!!色んな男性に色目を使って、使者はあまりにも節操がないわ。

どう思います、コーテッド様?

皆が持ち上げすぎるから、使者は驕っているのではないのですか!」


チワワは激昂している。

何であのリサばっかりがちやほやされてんだ?

私の方が何倍も美しいというのに、世の中の男はみんな目が潰れてるな・・・


コーテッドは二人が抱き合っている姿を見て、下唇を噛み締めていた。

ラブラもリサがいなくなってから、ずーっと心配をしていた。

デーンも女王も自分だって、リサに再会したときに嬉しくて、思わず抱きついたじゃないか。

あれと同じことだと頭では思うものの、このやりきれない気持ちは何なのだろう?


ラブラはリサが消えた後で、コーテッドに宣言していたのだ。

「もし、リサが戻ってくるようなことがあるなら、俺はお前に遠慮はしない!」


あの頃はこんな日が(リサが帰ってくる)なんて到底考えられなかったが、ぼやぼやしていたら本当にこうやって二人をずっとを見つめる側になるのだろう・・・。


そう思うともう体が動き出していた。

「兄上、嬉しいのはわかりますが、もうその辺にしておいたらどうですか・・・」

「やーだね、一生会えないと思っていたんだからこれぐらいは良いだろ。」


「いいえ、人前ではしたないことは止めるべきだわ!」

チワワもやってきて文句を言い出す。

目ぼしい男が、次から次へと彼女になびいていることが許せないのだった。

その剣幕にラブラは面倒だなと、父のところへ逃げて行った。


「ちょっと恥ずかしかったから助かったよー、ありがとう。」


リサの言葉で間接的に彼女を助けてしまったことに、チワワは気が付く。

しかもラブラといい感じになってくれたら、コーテッドとの中を邪魔する者はいなくなるハズなのに~と、チワワの顔はひきつった。



その数時間後には、ニャータに向かって出発する運びとなった。


コーテッドとラブラ、リサとチワワの4人で一つの馬車に乗り込む。

チワワは父に頼み込んで、今回の旅に付いて行けるようにしてもらった。


さっき、文句を言ってきたチワワが一緒で、ラブラはあからさまに嫌そうな顔をした。

だが気を取り直しリサに話しかける。

「リサはあのとき命の危険を感じて自分の国に帰ったんでしょ?いつ戻ったの?」

「数日前に私の寝室に現れました。」

めずらしくコーテッドが先に答えた。

「ふーん、それってコーテッドがベッドで寝ているときに横に現れたってことか?」

「違いますよ、夕方でしたので起きていました。」

その言い方から再会後も二人には何の進展もなかったようだ。

ラブラは、よしよしと頷いた。


「しかし、サモエド王子はとんだ災難だったな・・スピッツ王子もそれは心配なさっていた。まさか、あちらでも偽者が現れてこんな事件を引き起こすとはなー。」


そんなに『化身』や『変化』の強力な者がほいほい出てこられたら、たまったもんじゃない。

誰を信じればいいのか、わからないようになるじゃないか!


「それなのですが・・・」

先日、リサが話してくれたことをラブラにも話しておく。

コーテッドもシバがチャウに騙されたとわかったときに、「わざわざ特性を強くしてもらった」と言っていたことを思い出したのだ。


いったいどうやって特性を強くするのだろう・・

『効果』や『強力』などの特性は自分自身には有効だが、他人にまでは干渉できないはずだと思う。

ラブラもそのようなことは初耳だったので黙りこむのだった。


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