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相違


「おい、女王の挨拶があるから大広間に戻るぞ!」


戻ってきたコーテッドはうっすらと汗をかき、おっかない顔をしている。

リサは何かあったのかと不安になる。


「大変なことになった!!女王がみんなの前でリサのことを紹介するつもりらしい。」

「えっ、紹介って、どういうことですか?」

「詳しくはわからん。だが嫌な予感がする・・・」


コーテッドが黙って考え込んでいるようなので、リサはそれ以上何も聞けない。



大広間には、女王始め王族一同が壇上のようなところに集まっていた。


そこにはなんとさっきのドレス姿のおじさんがいるのである。


会場は女王の挨拶に耳を傾けているので静かだ。


リサは結びでコーテッドに話しかけた。

『ねぇ、あの目立っている人は誰なの?』

おじさんとは言えないのでふんわりと聞いてみる。


『スピッツ王子の婚約者のペギニーズ様だ!

全く赤いドレスなど着て女王様よりも目立っているではないか!』


先日、コーテッドが報告をしているのに2人がいちゃついていたことを思い出して、忌々しげに答えた。


『違う、その人じゃなくて・・青いドレスの人だよ。』

『マルチーズ王子のお妃様のパグ様だ。』

『ええええーーっ、王子ってそっちの趣味なの?』

女装のおじさんが妃だなんて・・・価値観ひっくり返されるぐらいの驚きだ!!


『そっちとは何だ!あんな清楚で控えめで美しい人に向かってなんて言い草だ!』


あまりにびっくりしたのでコーテッドの顔を見る。

『な、なんだ!? じろじろ見て。』

コーテッドのことこそが美しいだと思っていたので、リサの頭は混乱する。

こちらでは美しいの基準が違うのだろうか・・・


『あの人って美しいの? ゴツゴツしてるじゃなくて?』

『どんな目をしているんだ!パグ様こそ理想の女性ではないか!』


理想の女性ってナンダッケ?

男性が憧れる女性のなかの女性で合ってるよね・・・。

ど、ど、どゆこと? 

コーテッド様もそっち側なんだろうか?


『もしかしてコーテッド様もあーいう人がタイプなの?』

『タイプだなどと、恐れ多い。

あんなに素晴らしい女性なのだから王子が一目惚れされるのも納得できるという一般論だ。』


一目惚れ。素晴らしい女性。

理解しがたい言葉の羅列にリサは考えるのを止めた。

まあ、好きになるのは人それぞれだから仕方ないよね。


それに第一王子の結婚相手、ましてや時期お妃様なんだから臣下としてはそりゃすごく褒めるよね。

無理やり自分の中で着地点をみつけて納得させる。


『でも、お世継ぎはできないから大変そうですよね。』

『そればっかりは時間が解決してくれるだろう。』


『何言ってるんですか、そんなもん時間で解決できるわけないでしょうが!!』

強めにツッコミを入れると、ムスッとしたコーテッドと目があったのだった。



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