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ブラックドラゴン  作者: 青香
第三章 復讐の始まり
32/36

6

 「知ってる事?」

 「そう。寒い場所に閉じ込められていたのよ、ね?」

 「うん」

 「もしかして、水に囲まれていたのかしら?」

 「そうだよ!何で知っているの?」

 クロノは無邪気に驚いた。

 あの場所は透明なガラスの様な壁に囲まれていた。

 何故クロノが透明な壁と判断できたのかは、ミリアが注ぎ続けた聖水のおかげだ。

 暗い泉の底で、上から降り注ぐ黄色い光。

 ユラユラと揺らめく光が、周りを囲む水の存在を教えてくれたのだ。

 それを知っているような言いぶりをするパルム。

 訝しげに思われてもおかしくないのだが、幼いクロノには疑う心は無かった。


 「知ってたわけじゃないのよ。そうなのかなって思っただけなの」

 「そうなんだぁ」


 パルムのはぐらかしに、クロノは納得した様子で、それ以上は聞いてこなかった。

 ただ、パルムは望む情報を得られて満足だった。

 ーー聖水。それで囲んで弱体化させたの、ね。どうやって調べたのかしら。忌々しいわ、ね。

 そしてクロノの頭を撫でる。

 撫でられて心地良いのか、微笑むクロノ。

 可愛らしいが、可哀想に思う。

 ーー自分を守る為に、この子を生み出したのかもしれないわ、ね。彼を起こしたら、消えてしまうのかしら。

 もしそんな結果になるなら、残酷だと感じてしまう。

 無邪気な笑顔を向けられ、胸が痛む気持ちが覆う。

 しかし長年の想いを叶えたい。

 ーーその時は。いえ、まだ決まった訳じゃないわよ、ね。

 パルムが結論を先送りにした所で、漏れ出た感情を嗅ぎ取りクロノが口を開く。

 「悲しいの?」

 「あら?そうだったわ、ね。少し考え事をしていただけだから、大丈夫よ」

 「そっか!」

 「フフッ。さぁ、食事にしましょう」

 パルムはクロノを抱いたまま、部屋の奥へと進んだ。


 彼女の進む先に、書斎にある様な一人用の机が用意されており、リッタが椅子を引いて待っていた。

 その椅子にクロノを座らせると、別に用意された椅子にパルムも腰掛けた。

 「今からお持ちいたします」

 「えぇ、そうして」

 リッタが隣の部屋に繋がるドアに向かう。


 それを目で追った事で、クロノは部屋の装飾品に興味を示す。

 「キラキラがいっぱいだぁ」

 燭台や彫刻の置物、調度品のどれを見ても、豪華な物ばかりで、埋め込まれた紫色の宝石が、蝋燭の火が揺らめくたびに、キラキラと光を反射させている。

 「フフッ。綺麗でしょう?」

 「うん!」

 「私の好きな色なの」

 「パルムの髪も一緒だね!同じ色で綺麗だなぁ」

 「あら、嬉しいわ。フフッ」

 幸せそうに笑う彼女の顔を見て、クロノは嬉しくなる。

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