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信長ちゃんの真実 ~間違って育った信長を私好みに再教育します~  作者: 牛一/冬星明
第2章.尾張統一、世界に羽ばたく信長(仮)
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52.尾張統一戦、牛屋(大垣)城の攻防の事(1)

尾張統一戦ファイナル祭り!


統一戦最後まで投稿中します。

美濃稲葉山の麓に斉藤勢2万人に朝倉勢8,000人を加えた2万8,000人の兵が集結した。


斉藤の2万人はかなり無理をしている。


慶長3年(1598年)の石高でも美濃は54万石となっており、西美濃のみなら34万石程度しかない。天文15年ではまだ開拓・整備も進んでいない時期で、実質、30万石もあるか怪しい。


石高から見る動員数は200人が限度であり、内戦の時でも370人が限界だ。


つまり、1万2千人も集めれば御の字なのよ。


2万人は無茶です。


しかし、史実でも斉藤道三(利政)と義龍が争った戦いでは、道三軍2千7百人、義龍軍1万7千人で合計2万人弱を動員しています。


やってやれないことはない数でした。


利政の不満は東美濃から追加の1万人を動員できなかったことでしょう。

(石高から見れば、7,000人が限界だけどね!)


東美濃がどうなっているかと言えば、


遠山 景任(とおやま かげとう)の岩村城1,000人を明知遠山氏の景行(かげゆき)が指揮する3,000人が取り囲んでいる状態です。


(明知)景行は(岩村)景任から鉄砲等の武器を織田から貰っていることを告げられており、積極的な城攻めをするつもりはありません。


鉄砲怖い!


焙烙玉で討死なんて絶対に嫌だ。


そんな訳で積極に敵に攻めていません。


さらに、織田か、斉藤か、勝った方に降伏するという密約が成立しており、戦う事に意味もなかったのです。


利政は景任が土岐 頼芸(とき よりあき)を相手に何やら動いているのは承知していますが、東美濃に構っている余裕もなかったのです。


 ◇◇◇


牛屋(大垣)城も大忙しです。


徹夜で矢板などを設置して、少しでも有利に戦闘が進められるように準備中でした。


城兵は1万1千人です。


(織田)信辰の牛屋(大垣)城兵が500人、柳生の助っ人500人、クロスボウくらいなら撃てる黒鍬予科兵5,000人、クロスボウを持ったことがある人夫5,000人です。


人夫5,000人は戦力外で、主戦力はわずかに1,000人だけです。


その1,000人で、2万以上を受け切ろうというのですから千代女ちゃんも大概だよね。


「では、望月殿、指揮の方はよろしくお願いします」

「信辰さんも悪いわね。活躍の場を取ったみたいで!」

「敵が5,000程度なら自分で指揮を取りますが、今回はお任せします」

「石垣が完成していたら苦労もなかったのに!」

「ははは、まったくです」


今はローマン・コンクリートで固めただけの高い土手です。

作業員が作業しやすいような高さに調整しているので、誰でも簡単に登ることができます。


まぁ、上に上がるほど足場が小さくなるので上がり易い土手とはいませんが、石垣を詰めるスペースを残しているので登れなくありません。


1,000対2万8,000


本来なら悲壮感にくれる所ですが、みんな明るかった。


なんと言っても、筒井軍2万人をたった二人で追い返したという柳生 家厳・宗厳親子が到着したからです。


わははは、『この戦は勝ったも同然』と大いに湧いております。

(筒井軍を凌いだだけで勝っていませんからね!)


千代女ちゃん、デマはいけないよ。


この牛屋城の攻防のおまけとして起こるのが、南宮社も抜かりはありません。


『南宮社の攻防』


前回の雪辱戦でもあるので、相手も準備万端でしょう。


でも、この1ヶ月で南宮社も要塞に変わっています。


千代女ちゃんが得意の『掘って、盛る』です。


13尺(4m)の堀を掘って、13尺(4m)盛り土を作る。


際に板を張って、間にローマン・コンクリートを流し込むと、直角な壁が生まれるのです。


空堀と盛り土と斜面で8mの壁を出現させたのです。


南宮社をぐるりと囲む山城の完成です。


この短期間に一枚壁を作るのは流石に難しいので、6尺半が四段の壁というのが落ちなんだけどね!


この壁を作るのに必死で、南宮社の再建も、参道となる階段を作っていません。


ホントに余裕もなかったのよ。


出入り口には作業用のトンネルを使っています。


でも、このトンネルが斉藤軍をひっかける仕掛けだったりします。


「南宮社は大丈夫ですか!」

藤林 保豊(ふじばやし やすとよ)にがんばって貰うしかないですね」

「色々と運び込んだようですな」

「負けない為の仕掛けです」

「望月殿を敵にしたくありませんね。勝てる気がしません」

「私など、忍様に比べれば、優しい方ですよ」

「ははは、なるほど」


なるほどじゃないわよ!

私のいない所で何を言っているんだか。


でも、千代女ちゃんは意地悪だね!


「使わなかったときはあれで、一献」

「全部、使いますよ」

「そぉ、そうですか!」


千代女ちゃんは人使いが荒いんです。


言継のおっさんより要求が厳しいだよ。




さて、南宮社の人手が圧倒的にたりなかった。


千代女ちゃんはそこでちょっと策を弄します。


一言でいえば、北近江の衆に助けを求めた訳です。


織田普請は普通の倍額が支払われます。


南宮社はさらに倍の額を借財手形で支払うと言ったのです。


合わせて6倍です。


送った手紙の先は、城主や国人、土豪の頭です。


この儲け話に沢山の方が参加してくれました。


大助かりです。


浅井家も農民を動員して、しっかり借財手形を回収したとか?


まぁ、半分は技術を盗む諜報スパイです。


南宮社が助かり、農民は儲かり、浅井家も軍費を稼いだ。


三者三得の策です。


 ◇◇◇


斉藤軍は以前の失敗を繰り返さない為に、夜が更けた頃から先発隊から順次出発させます。


朝靄がかかる早朝には、先発隊が揖斐川・平野井川・杭瀬川を堰き止めている土手を制圧します。


これで(せき)を切って起こす水攻めを先に制します。


制圧が完了したという合図を受けて、本隊は揖斐川の渡河を開始します。


2万8,000人の内、安藤 守就と稲葉 良通が5000人を率いて南宮社に向かってゆきます。


さらに斎藤義龍が1万人を預かって牛屋城の西門から攻めます。


本隊は前衛と後衛に分かれ、前衛1万人は明智 光安(あけち みつやす)が預かり、後方に朝倉に守られた総大将の土岐 頼純(とき よりずみ)が布陣します。


光安の側には鎧武者が同行を許されています。


「武者様、無茶はせぬように!」

「判っております」


夜明けを待って、総攻撃は始まろうとしていました。


土手の上には木盾を立てて、大勢の織田軍が待っています。


正面には大きな大手門が立っていますが、実に粗末です。


斉藤家の選択は2つです。


大手門を壊して進むか、空堀を下ったのちに土手を上るかです。


「武者様なら如何なさいますか?」

「織田の兵は土手の上を横に広がっているように思えます。正面から丸太隊を送り、弓隊と盾隊で守りながら大手門を壊した方が早いでしょう」

「同感です」


光安は同意します。


「妻木、遠藤、丸太隊を率いて大手門を攻略せよ」

「「ははぁ」」

「他の者は、門が開き次第に雪崩込む。用意を怠るな!」

「「「「「「はははぁぁぁぁぁぁぁ」」」」」」


龍興も軍議を開き、氏家直元が指揮を取ります。


「西門を攻めるのが上々と思います」

「それではこの大軍がいきませんぞ」

「そうだ。西門の先の通路は広くないと聞く」

「ですから、西門を通過した後に一気に押し寄せます」

「手緩い。ここは一気に攻めましょう」

「「「大将」」」

「判った。西門も土手を同時に攻めよう」

「「「「「「「「「「「「うおおおおぉぉぉぉぉぉ」」」」」」」」」」」」


日が差すと、ぶおぉぉぉ~~という法螺貝の音が広がり、北の大手門と西に街道門の両方から斉藤軍が押し寄せてきます。


同時刻、南宮社も安藤 守就と稲葉 良通が5000人も襲い掛かります。


不破光治ら西保城から移った兵が300人、手伝いに来た百姓衆1,000人のみです。


浅井の農民5,000人と織田普請に参加してくれた2,000人は数日前に解放しています。


ただ、浪人という雨森良里とその百姓100人が残っています。


近江国伊香郡雨森に土豪、浅井家の家臣である雨森良里だよね。


何を考えているのか知らないけど、兵が100人増えるのは歓迎だね!


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