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信長ちゃんの真実 ~間違って育った信長を私好みに再教育します~  作者: 牛一/冬星明
第2章.尾張統一、世界に羽ばたく信長(仮)
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50.尾張統一戦、赤鬼・青鬼の清州陥落の事(1)

尾張統一戦ファイナル祭り!


統一戦最後まで一気に投稿します。

清州城は清須川(五条川)に囲まれた天然の要害の地に立っています。

(元々は清州ではなく、清須だったとか!)


河川には直線が存在しません。


何でもS字の蛇行の長さは、川幅の6倍という研究結果があり、障害物があるとさらに複雑な蛇行になります。


川の蛇行が大きくなってゆくと、川の上流と下流が繋がって、元々あった蛇行の輪が池のように取り残されます。

〔オックスボウ レイク(Oxbow Lake:U字形の湾曲部)、ビラボン (Billabong)と呼ばれる三日月湖、あるいは水路にある流れの無い水溜まりの事です〕


この三日月池を曲輪堀として、蛇行する河の内側に造られた城が清州城です。


平城ですが、清須川と水堀(三日月湖)で囲まれた天然の要塞です。


史実の信長ちゃんも何度も清州城を攻めますが落とすことができません。


清州城には、出入り口は二か所だけしかなく、蛇行する川がよって来るから大手門に近づくと弓矢の的になりやすい。


中国に出てくる攻城戦の道具を用意しないと、落とすことが難しい城だったのよ。


この難攻な清州城をどうやって落としたのかと言えば、『トロイの木馬』でした。


信長ちゃんと仲違いした叔父の孫(信光)さんが信友に寝返ります。


信長ちゃんが清州を攻めると知らせがあると、味方の孫(信光)さんに助力を申しでます。


孫(信光)さんは兵を清州に送ったのです。


そして、孫(信光)さんは清州城の中に入れて貰います。


入ったが最後、孫(信光)さんが信友を成敗して清州城を奪っちゃった。


信長ちゃんと孫(信光)さんが仲違いしたということから嘘だった訳ね!


孫子の兵法『苦肉の計』です。


信長ちゃんの計略だったのか?


孫(信光)さんの考えだったのか?


こればかりは判らないけど、信長ちゃんと孫(信光)さんの共同作戦で信友(坂井大善)の裏をかいた訳よ。


つまり、正攻法で落とすには難しい城だった訳よ。


昔の人は地形を利用して色々と考えるわね!


 ◇◇◇


【 森 可成(もり よしなり) 】(ナレーション忍)

見事過ぎる騎乗戦で、滝川 利益(たきがわ とします)、慶次様は大将の器を見せつけた。


慶次様ならこれくらいやれて当然よ。


清州軍が完全に撤退したことを確認して、慶次様の遊撃隊は清州に向けて出立し、少し遅れて松葉城の織田伊賀守、深田城の織田信次がそれを追った。


清州軍の敗退はすぐに海東郡中に知れわたった。


服部 友貞(はっとり ともさだ)は、津島を狙うか、熱田を狙うかで迷っていたが、この潰走を聞いて津島を諦めた。


友貞は水軍を率いて熱田に向けて進軍を開始した。


服部水軍に注意していた勝幡城の織田 信実(おだ のぶざね)、津島衆の祖父江 秀重(そぶえ ひでしげ)はすぐにその動きを察知した。


勝幡と津島は守備兵のみ残して、兵を清州に向けて進めたのよ。


はっきり言って、慶次様も誤算だった。


慶次様らは陣地構築が終わり次第に清州攻略を始めるつもりだった。


しかし、早馬が到着し、松葉城、深田城だけでなく、勝幡と津島からも増援が来ると知った慶次様と森 可成(もり よしなり)は焦った。


松葉城の城兵が清州軍の兵の首を狩っていたのだ。


信勝が出した織田新法では、


・手柄のあるなしに関わらず、勝った暁には褒美を与える。

・評価は首の数では行わず、戦目付けの報告のみで行う。

・首に報奨金なし、生け捕った者に200文の褒美を与える。

・敵将の首のみ200文、生け捕った者に一貫文目の褒美を与える。

・敵将の討ち取った、あるいは、生け捕った者に、その将の評価に応じて追加の褒美を加える。

・敵地であっても指示なく火付けや盗賊の行為を禁ずる。

・敵地であっても乱暴取りを禁ずる。

・禁を破った者は地位に関係なく、打ち首、磔、所払いなどの処分に致す。

・主命くれぐれも破るべからず。


信勝が発布したので『信勝法』と呼ばれるが、末森の家老衆に許可を貰って交付したので、すべての織田軍に適応される。


織田は日の本の統一戦を始めるのだ。


平定する領民の不信を買う行為を禁じた。


でも、昨日・今日で『はい、そうですか!』という訳にいかない。


「可成のおっさんは、松葉城の奴らにもう一度念を押しに行ってくれ!」

「他の所も10人ずつ送って、何度も復唱させましょう」

「そうだな!」

「清州の城下町に火を付ける連中がでるとも限りません。見張りの者も何人か置いておきましょう」

「任せる」

「そう嫌な顔をなさるな!御大将」

「糞ぉ、さっさと兵を分けて、清州を落としに行けばよかった」

「御大将、これも経験です」

「判っているよ。各城主には俺が会って忠告しておく」

「よろしく頼みます」


だらだらと到着する後続が為に、『狼藉禁止』、『乱暴取りご法度』の新法を徹底させる為に走り回ることになった。


慶次様の倉街警邏隊500名、黒鍬衆500名、松葉城兵200名、深田城300名、勝幡城兵500名、津島衆2,000名が到着し、総勢4,000名の大軍になった事が、慶次様の不満であった。


兵が増えて不満に思うなんて変な話よね!


 ◇◇◇


織田 信実(おだ のぶざね) 】(ナレーション忍)

勝幡城主の信実の記述はあまり残っていない。

信秀の弟であり、信秀舎弟四天王の一人として名が上がり、勝幡織田氏と呼ばれているくらいなのよ。


「四郎次郎様、お初にお目に掛かります」

「おぉ、そなたが赤鬼の一人か!」

「滝川利益、慶次とお呼び下さい」


慶次様は信実に織田新法の事をくれぐれも徹底するように言うと、各配置を示してゆきます。


「我らが先陣を切りますので、大手門を破ったのに突入して下さい」

「はい、判った」


中々の好青年ではないか!


慶次様の少し幼さが残る顔立ちが、息子を見るような気分で信実は対応します。


何もない野原の真ん中で軍議がはじまります。


これは私のミスね!


天幕などを用意させていなかったのよ。


清州の兵は散り散りに逃げて、そのほとんどは帰参せずにいた。


守護代の信友も守る城兵は後詰に入った300名を加えても800名しかおらず、清州の劣勢は明らかであった。


でも、清州は降伏の使者を断った。


清州からすれば、三カ国連合が尾張に侵入すれば、形成は逆転する。


4,000名程度の兵力では、清州を陥落させることは難しいと(たか)をくくっていた。


さっきも言ったけど、天然の要塞であった清州城は4,000名程度の数では落とせない。


慶次は那古野遊撃軍と勝幡を正面、松葉と深田を裏門に、津島の衆を半分に割った。


黒鍬衆は陣地の守備を行う。


「御大将、作戦にケチを付けるつもりはないが、迫撃砲で敵をいぶり出すという選択はやらないのか?」

「野郎ども、数の減った敵を、さらにいぶり出して勝ちを拾いたいか!」

「……………」


誰も声を上げようとしません。


「正面からぶっ潰し、力の限り、ねじ伏せたいか!」

「「「「「「「「「うおおおぉぉぉぉぉ!」」」」」」」」」


倉街の腕自慢達が声を上げます。

松葉の戦いは、敵将がさっさと逃げたので消化不足です。


もっと暴れたい。

もっと暴れたい。

もっともっと暴れたい。


そんな野生児たちが吠えるのです。


熱い連中じゃないか!


さて、清州から大手門に近づくだけで矢の雨が降り注ぎます。


慶次様達が荷馬車から馬を外して、人力で動かします。


荷台には矢盾を立ててあります。


慶次達が荷台を押し始めると、『ボン』という音が弾けます。


ひゅるるるるる~~~~~、ドババババァァァァァン!


大手門の上空で焙烙玉使用の迫撃砲の援護射撃がはじまるのです。


迫撃砲は2基あり、交互に弾が放たれてゆくのです。


これでは慶次様らを狙って弓を引く間がありません。


弓も届かぬ所から撃つ武器とは恐ろしい。


「殿、先ほど、副将が言った『燻す』とは、このことでございましたか!」

「おそらく、そうであろう」

「今、狙っているのは、大手門でございますが、直接に敵の館も狙うことができそうです」

「空から降ってきたのでは止めようがないな!」

「左様ですな」


これでは籠城ができん。


那古野の信長はなんてものを作ったのか!


信実は甥の信長ちゃんを半分恐れ、半分誇らしく思ったのです。


しかし、荷代から箱を大手門に置き、大爆発で大手門が『ドガガガガガガガ~~~~~~ン』と粉々に砕ける様を見ると、背筋に冷たいものが走ります。


恐ろしい甥じゃ。


敵でなくてよかった。


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