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信長ちゃんの真実 ~間違って育った信長を私好みに再教育します~  作者: 牛一/冬星明
第2章.尾張統一、世界に羽ばたく信長(仮)
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48.尾張統一戦、長島沖の海戦の事

斯波 義統(しば よしむね) 】(ナレーション忍)

カンカンカン、カンカンカン、カンカンカン、鐘の音が聞こえます。


清州から出島の迎賓館に移った義統はまず寛いでお茶を一杯頂いていました。


「これは何の音ですか?」

「おそらく、服部水軍が出てきたことを知らせる音です」

「荷ノ上城ですか?」

「はい、西の物見台から知らせてきたのでしょう」


そういうと義統の一同が少しざわつきます。


「ご安心下さい。この出島には南蛮船が3隻残っております。今から出航して服部水軍を蹴散らしてくることになるでしょう」

「南蛮船があるのですか?」

「先ほども申しましたが、今ならまだご覧になれます。行かれますか?」


義統は数人の供と連れて湊に急ぎました。


丁度、出航の準備を終えた南蛮船がゆっくりと埠頭を離れるところです。


「ちちうえ、とてもおおきいです」

「ほんに大きいのぉ」


巨大な船体に義統は見惚れてしまいます。

こんな大きな船を持つ織田が負けるとは思えません。


「よろしければ、次は物見台に戦いをご覧になられますか?」

「そんなことができますか」

「問題はございません。御社様からできる限りのことをするように申し付けられております。少々高こうございますのです。危険がないかと言えば、そうでもございませんが、可能な限りの安全は考慮させていただきます」

「ちちうえ、みたいです」

「そうやな! お願いします」


その日の光景を義統は一生の語り草にしたといいます。


 ◇◇◇

水野 守次(みずの もりつぐ) 】(ナレーション忍)

知多半島の水野家は謎が多い。

平安時代の鎮守府将軍である(みなもと の) 満政みつまさの子孫だというが、本当の所は判らない。


一夜をともにした現地妻の子供というフレーズは日本各地に残っているわ。


水野氏は衣浦湾の両岸にある緒川城と刈谷城に拠点を置き、大高城、常滑城、亀崎城、宮津城、鷲塚城などを所有して、知多半島で佐治氏と二分する勢力も持ったのよ。


あの真っ赤に血で染まったとか言われた衣浦湾よ。


ガレオン1番艦『富士』の船長では、水野 守次(みずの もりつぐ)で常滑城の城主だよ。


ガレオン2番艦『佐治丸』の船長では、水野 忠守(みずの ただもり)で水野氏の拠点の1つである緒川城主の城主だ。


キャラック1番艦『赤城』の船長では、水野 忠分(みずの ただわけ)で布土城の城主だけど、宗家の刈谷城主の信元の弟で、後に緒川城主になるハズなんだよ。


佐治信方の妹を妻に貰い、『村木砦の戦い』で信長と一緒に戦う訳ね!


佐治信方は佐治水軍を率いている為景の子供で、信長ちゃんの妹のお犬ちゃんを妻に貰う。


信長ちゃんの妹を妻に貰った佐治信方が味方、信方の妹も貰った忠分も味方になってくれた訳だ。


水野氏は何が謎かと言えば、大高水野氏と常滑水野氏の動向が記録から消されているんだよ。


何やっていたんだか?


で、江戸時代になると旗本大目付として登場する。


そうあの有名な『天保の改革』を行った水野 忠邦(みずの ただくに)のご先祖様も忠守だ。


でも、この話の『本能寺の変』で明智光秀に味方した為に没落した守次(もりつぐ)だ。


水野を語り出すと終わらないのでこれくらいにしておこう。


 ◇◇◇


よい風もあってガレオン2隻と大型キャラック1隻はスムーズに長島沖までやってきます。


一方、服部水軍を率いる服部 友貞(はっとり ともさだ)も川を下って河口に出た所でした。


「弥三郎様、我々はどう戦うのがよろしいと思われますか?」

「私は軍監(ぐんかん)を拝命していますが、どうか気になさらずです」

「いいえ、南蛮船の扱いは我々より長けておると思います。どうかご指示を!」


守次は佐治のおじさんに誘われて一緒に織田に臣従してきたので『沖島の奇跡』をまじかに見ている。


熱田―常滑―大浜―安濃津(あのうつ)を結ぶ練習船2番艦に乗り続けていたので、佐治衆の次に操舵が巧みになっていた。


しかし、まだ18歳であり、実際に指揮を取ったことがなかった。


まだ子供の加藤 弥三郎(かとう やさぶろう)に頼るのもどうかと思うが、山神様の稚児である。


見かけに騙されていけないと心に誓っていた。


「私なら最大火力で圧倒する戦い方をしますです」

「というと、大砲による艦砲射撃ですか?」

「はい、一緒になんちゃってナパームの『花火弾』も使いますです」

「ははは、贅沢ですな!」

「潤沢にいきましょう! 撃ち尽くしてもかまいませんです」


南蛮船3隻は左に回頭すると、まずは一斉射撃を敢行します。


『撃て!』


ズド~~~ン! × 22


大きな水柱が立ち上り、服部水軍の何艘かが撃沈し、数艘が煽りをくらって横転します。


矢も届かない先から攻撃された服部水軍は堪ったものではありません。


「火槍、花火弾、撃て!」


ズガァ~~~ン! × 12


各船の甲板には臨時の大砲を設置する場所があり、くじら用の銛撃ちが左右に4機ずつ設置されていたのです。


それが一斉に打ち上げられます。


空に真っ赤な炎の帯が生まれ、火の玉が空から降ってくるのです。


北畠・志摩水軍のような大所帯ではありません。


小早が30艘ほどの小集団です。


その一箇所に12本の火銛が集まって爆発したのです。


火の粉というより、火の雨でした。


ズド~~~ン! × 22


ざぶぶぶぶ~~~ん!

そして、玉を詰め直した第2撃の砲撃は服部水軍に放たれ、再び大きな水柱が立ち上がったのですが、小早が逃げ広がっているので一艘も落とす事ができません。


まぁ、今にも転覆しそうな小早は続出していました。


「こう、散ってこられると狙いが定まりませんな!」

「気にせず、撃ち続けましょう」


しかし、すでに友貞の心は砕かれていました。


あんなものが当たったら死んでしまう。


「撤退、撤退、撤退」


友貞の小早が川を目指して船を動かし出すと、他の者も撤退を開始します。


「おや、終わりましたな!」

「はい、終わりです。ですが、砲撃はこのままです。一発ずつ、順番に撃つ方が効果的かもしれませんです」

「はぁ? 逃げる服部に…………ですか?」

「いいえ、長島の坊主達です」

「あぁ、なるほど」


長島川(木曾川)を上る服部水軍に大砲が順番に撃たれてゆきます。


ズド~~~ン!


ズド~~~ン!


ズド~~~ン!

長島川の川幅は広く、そうそう当たるものではありませんが、落ちた先に上がる水柱は、逃げる服部水軍の肝を冷やします。


しかし、それ以上に肝を冷やしていたのは長島に拠点を持つ寺々です。


長島は7つの洲からなる『七島』が訛って、『長島』と呼ばれており、川自身が天然の堀となって、寺々を守っているのです。


長島の象徴である願証寺(がんしょうじ)も河口から半里(2km)もあり、難攻不落の河城でした。


「なんだ! あの水柱は?」

「織田の南蛮船からの攻撃です」

「織田が、織田が、攻めてきたのか?」

「服部を撃っているようです」

「織田は、織田はどこだ!」

「織田の船は海の上です」

「「「なんだと!」」」


弥三郎の乗っている南蛮船の大砲はアームストロング砲ではありません。


2km先の目標を命中させる能力はありません。


ただ、そのくらいまで飛ぶという程度の事です。


当てるつもりはないので、河の真ん中を目掛けて撃てば、適当に散って、いい感じで逃げる服部水軍の脇で水柱が上がります。


そう、川で水柱が上がっているのです。


織田は長島を攻める必要はない。


ただ、大砲を撃つだけですむ。


その逃げる服部水軍を見て、長島の坊主達が肝を冷やすのです。


不器用な弥三郎は剣術でも無駄を省く。


派手な藤八に対して地味な剣術と言われています。


戦い方も最も効率のいい戦い方を模索しているようです。


それって、千代女ちゃんや長門君に近い考え方じゃないかな?


未来の名軍師に育つかな?


育って欲しい。



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