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信長ちゃんの真実 ~間違って育った信長を私好みに再教育します~  作者: 牛一/冬星明
第1章.赤鬼忍、尾張に居つく
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3.信長、男の娘にされたの事。

昨日は戦場という死線を潜らされた。

お腹一杯になった私はその場にごろんとなると、いつの間にか寝ていたらしい。

昨日は裸で岩の上でごろ寝だった。

よくそんな所で寝られたと思うけど、寝られたので仕方ない。

少し安心したのか、いつの間にか睡魔に襲われていた。


やぁ、とぉ、ややぁ!


遠くに聞こえる声は声変わりしていない少し甲高い声です。

その声でうっすらと目を覚ますなど最高の気分です。

声の主は信長と藤八でした。


藤八は昨日紹介された小姓の一人です。

信長ちゃんに負けずに、実に可愛い。


その二人、信長と藤八が少し離れた場所で剣の鍛錬をしています。


がんばる少年の姿にうっとりとします。


藤八は信長の小姓の一人で前田蔵人利昌の五男にて前田利家の実弟であり、信長の家臣である佐脇藤右衛門の養子となって小姓として仕えたと記録にあります。


藤八の兄にあたる前田利家は、衆道の相手だったとか?


きゃぁ、ボーイズ・ラブです。


戦国時代はボーイズ・ラブの天国なのよ。


『藤八』

『信長さま』


きゃぁ、きゃぁ、きゃぁ、私は奇声を上げて喜んでいます。


ちょっと待て!


前田利家って身長六尺(約182cm)の巨躯ですよ。


そんな相手に夜の相手が務まりますか?


それに比べて、藤八は8歳の割に少し小さい。


信長が5尺1、2寸(155~158cm)になるとそうですが、12歳の信長はまだ130cmくらいです。


藤八はそれより、さらに小柄なのです。


おっと、二人は私が起きた事に気づいて戻ってきました。


「ご気分は如何でしょうか?」

「うん、最高」

「それはよかった」

「ねぇ、ねぇ、藤八君」

「はい、何でしょうか。天女様」

「天女は止めて! (しのぶ)でいいよ」

「はい、忍様」


わぁ、目がくりくりで可愛い生き物だ。


「忍様、藤八が何か粗相をしましたのでしょうか」

「そうじゃないよ。藤八には利家と言うお兄さんがいるよね」

「はい」

「犬がどうかしましたかぁ」

「その犬君、どんな感じ?」

「兄者は凄く乱暴者です」

「忠義を尽くしてくれますが、いささか短慮な所があります」

「背丈は?」

「信長様と同じくらいあります」


わぁ、10歳で130cm近くあるのか!

私の中で信長と前田利家のボーイズ・ラブは否定された。

相手は絶対に藤八だ。


 ◇◇◇


私はここで肝心な事を思い出したのです。

慶次様です。

私は尾張に来たのは慶次様に会いたい為です。


「前田慶次、あるいは、慶次郎と言う名に覚えはない?」

「前田慶次は知りませんが、滝川慶次なら従兄におります」

「それだ」

「呼んできて下さい」

「はい、かしこまりました」


そう言って、藤八がてかてかと走ってゆきます。

女中が白湯を持ってきたので、信長と一緒にお茶をしながら話を続けます。


「滝川家から前田家に養子に出すという話はないの?」

「前田蔵人利昌は荒子城主で林の与力ですが、そういう話は聞きません。長男の利久(としひさ) が少し病気がちで戦ができないと嘆いております。そうそう、利久の妻に滝川益氏の妹御を貰ったと聞きました」


何となく想像が付いた。

利久は病弱で戦働きができなかったと言います。

で、

慶次は軍略や政治、お茶、歌などをすべて難なく熟す天才です。

武勇に優れ、礼節を尽くします。

悪い所は女癖が悪く、傾奇者であった事くらいかな。

子供ができなかった利久夫妻は滝川慶次に惚れて、滝川益氏の子を養子に貰った。


うん、これだ!


父の前田蔵人利昌が14年後に桶狭間の戦いで死ぬのよ。

荒子城主の家督は、本来なら3男の安勝(やすかつ)か、養子の前田慶次が継ぐハズだった。

前田慶次の妻は安勝の娘です。

安勝が家督を継げば、慶次は義理の息子。

慶次が家督を継げば、安勝は義理の父。

どちらが家督を継いでも問題ないようになっていました。


そこに利家に家督を継がせると言ったのが信長です。


ちゃぶ台返しです。


家督相続を順位付けすれば、

長男:利久で病弱。

長男の養子:慶次は要領よく才能の塊。

2男:利玄は多分亡くなっている。

3男:安勝は極めて普通。

4男:利家はやんちゃでともかくかんばる子。

5男:藤八は佐脇家に養子に出した。

6男:秀継(ひでつぐ)は弟でも論外。


普通に考えれば、才能の塊の慶次様が荒子城主を継ぐべきなのです。

しかし、信長は才能がある子より、がんばる子を登用します。


そもそも、東美濃の棟梁に慶次様を据えておけば、武田が攻めて来ても3ヶ月は耐えてみせますよ。


そうすれば、武田信玄の侵攻に怯える事もなく、他の攻略に集中できたのよ。


利家の下に付けるなど、才能をドブに捨てるようなものです。


私は信長ちゃんをじっと見ます。


「なにか?」


首をひねる信長ちゃんが可愛い!


若狭攻めも総大将に浅井長政を据え、竹中半兵衛を副総大将にして、西美濃の国人衆を率いらせれば、浅井家の裏切りを防げます。


朝倉は長政と半兵衛に押し付ける事ができたに違いありません。


司馬先生の『国○り物語』では、「才能あるものはその出生にかかわらず登用する」って書かれていますよね。


どこの信長ですか?


違いますよ。


信長の名言はこっちです。


「生まれながらに才能のある者は、それを頼んで鍛錬を怠る、自惚れる。

しかし、生まれつきの才能がない者は、何とか技術を身につけようと日々努力する。

心構えがまるで違う。これが大事だ」


信長は才能ではなく、努力する人に重きを置いたのよ。


『才能あるものはその出生にかかわらず登用する』


誰の言った言葉ですか!<怒>


司馬先生、嘘を書いちゃ駄目ですよ。


才能がキラキラで、ちゃらんぽらんな慶次様は信長にとって嫌悪の対象だったのよ。


『鍛錬を怠る、自惚れる』


その代名詞が慶次様だった訳よ。


史実の信長は馬鹿でしょう。


「どうかされました」

「信長ちゃんはそんな風になっちゃ駄目よ」

「はぁ?」


そう、慶次様を評価しなかった信長が嫌いだった。


大切な事ですから、もう一度いいます。


嫌いだった。


でも、可愛いは正義です。


駄目な信長を私が再教育すればいい。


そう、逆光源氏です。


「忍様、お忙しい所を申し訳ないのですが、風呂を用意しております。如何されますか?」

「入る。入ります」


信長ちゃんとお風呂ぉ、いえぃ!


って、サウナじゃん。


しかも一人用。


そう言えば、この時代はサウナが普通で湯船は普及していなかったのよね。


これは普及させなければいけません。


ふふふ、江戸時代まで混浴が一般なのよ。


つまり、大きい風呂を作れば、信長や藤八や慶次様と一緒に入れる。


入れる。


入れる。


戦国サイコー!


 ◇◇◇


サウナから上がって、水を掛け直し、脱衣した場所に戻ると着物が用意されています。


「お付けさせて頂きます」

「お願いします」


着物なんて着た事ないけど、女中達が手早く着せてくれます。


「こちらは如何いたしましょう」

「そうね、洗うほど汚れていないし………」


このセーラー制服に血がこびり付いて取れないかと心配したのですが、そんな事もなく、温泉で綺麗に洗い流すと新品のような輝きを取り戻しているのです。


“超高分子コーティングされていますので、埃や汗などを洗い流すだけで汚れは完全に取れるようになっております”


しかも刀や槍の傷一つも付いていなかったのよね。


“高強度極細タングステン繊維より強度の高い魔法繊維で作られておりますから、この時代の武器で傷つける事は不可能です”


現代の武器なら?


“超高出力のレーザービームや核爆弾などです”


へぇ~~~、凄いね。


“温度で言えば、6000度を超えると繊維にダメージを受けます”


なるほど、この時代では不可能ね。

しかも汚れが付き難い。

天界の服ね。


ポック、ポック、ポック、チーン!


いい事、思いついた。


「信長ちゃん」

「はい、ここに控えております」

「この着物のお礼にセーラー服を贈呈しよう」

「この天女様が着られていた服ですか」

「そう、このセーラー服よ」

「ありがとうございます」

「まず、着物を脱いで」


そう言って、信長の着物をむしり取ります。


あ~れ~。


きゃぁ~、生信長よ。


ゆっくり堪能する訳もいかないので諦めて、スカートを履かせて、上着を被せて、スカーフの結び方を教えて終わりです。


頭を崩して、ポニーテールに変えましょう。

信長の髪型が烏帽子下髻(えぼししたのもとどり)で身分が高いほど、元結が高くなる。

烏帽子を被る事を前提にした髪型です。

ホント、元服して間もないから月代(さかやき)にしてなくてよかったよ。


兜を被るようになると、頭が蒸れるので月代にする訳です。


これからはポニーテール。

他は認めん。


セーラー服姿の信長ちゃん。

うん、うん、可愛い、可愛い。


「今はブカブカだけれども、すぐに大きくなって丁度いいくらいになるよ」

「はい」


信長ちゃん、真面目な上に素直だ。


育て方を間違わないようにしないとね。

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