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信長ちゃんの真実 ~間違って育った信長を私好みに再教育します~  作者: 牛一/冬星明
第3章「元親様も教育します。えっ、どうして世界が攻めてくるの?」
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21.天女の羽衣伝説は三島から始まった。

やっほぉ~、私は少し冷たい空気を吸い込んで青い空に大きく背伸びをした。

やってきました三島神社!


「天の羽衣シリーズの終着点。いいえ、こここそがはじまりの地なのです」


私は大空に高く一本指を上げた。

天は高く、澄みきった青空で広がっていた。

冬が近づいているなんて思えない。


「大変なのです。忍様が変なのです」

「忍が変なのはいつものことだ。気にするな!」

「なんてことを言うの? 私は常のテーマを持って旅をしているのよ。

尾張、近江、越前、若狭、丹後は海の一族の支配下を巡る旅だった。

そして、丹後、丹波、摂津と南北の歩いた道は天女の羽衣伝説を逆に歩いて来ました。

そうなのです。

この三島の地こそ、天から降りてきた天女が住んだ土地なのです」

「そうなのですか? 凄いことなのです」

「忍様は博学です」


藤八と弥三郎しか食いついてくれない。

寂しい!

でも、そんなことで私は挫けない。

なぜならば、私はエンターテイナー!

観客を楽しませる為に全力を尽くすのよ。


「確かに愉快なことになっているな!」

「両岸に沢山のお客様なのです」

「川にも舟が浮いています」

「この大軍が忍のお客様なのか?」

「違います。慶次の意地悪!」

「でも、一杯なのです」

「両岸と川を合わせると、一万五千の兵がいると思います」

「どうしても私は平和的に旅行しているだけに!」


皆、じっとした目で見た。

竹田城(安井ノ城)を一日で落とした者の言葉を誰が信じるだろうか?

今や但馬は火薬庫となった!

たった一夜で地図を書き換えてしまった。


「それは謝ります!」

「他にもあるわよ!」


千代女ちゃんがさらに私を追い込んでゆく。

織田・六角・斎藤・北条の四カ国同盟に始まり、越前の朝倉は同盟を交渉中、若狭の武田は同盟を申し込み中、丹波は事実上、忍の支配下に入った。


「入っていません」

「あの手紙の量を覚えていないの?」

「多かったね!」

「正にそこよ!」


丹後・丹波の民は信心深い。

伊邪那美命(いざなみのみこと) (イザナミ)の生まれ代わりと疑わない土地の民は竹姫 (忍)を母神(ははがみ)と思っている。

八上城の波多野 晴通(はたの はるみち)ら家臣一同は、竹田城(安井ノ城)に送る私ら一行を平伏して出迎え、一言も発することなく、平伏したままで見送ってくれた。


「怯えていたのです」

「屈服していました」

「そうね、恐怖に怯えた感じだったわね!」


みんなが虐めるよ!


「たぶん、気が弱いのよ」


忍の勘気に触れれば、丹波中の国人衆が敵に回る。

それを察していたから平伏するしかなかった。

蛇に睨まれた蛙、(ガマガエル)のように油汗を大量に流していた。

見ている私も可哀想に思えてすぐに去ったくらいだ。


「丹波の民の熱狂ぶりは異常だったからよ」

「どうしてそうなったのかしら?」

「私は知る訳がないじゃない、ははは!」


ともかく、忍が通った道はすべて織田の支配地に変わっていた。

そりゃ、気にもする。

摂津と河内は三者三様で摂津と河内を取り合っていた。


「忍が誰の味方に付くかで勢力が変わるでしょう?」

「誰にも付きません」


将軍派の阿波・摂津の三好 範長(みよし のりなが)長慶(ながよし)、)、

管領細川 晴元(ほそかわ はるもと)とその家臣の三好 政長(みよし まさなが)

河内守護の畠山 政国(はたけやま まさくに)と守護代の遊佐 長教(ゆさ ながのり)

三人はできるなら自分の陣営に引き込みたいと考えていた。


「この世界では将軍と範長は争っていないのね?」

「その代わりに前将軍の義晴(よしはる)様と喧嘩しているわよ! それで逃げるように尾張に下向して…………!」

「あっ、聞きたくない」


とにかく、この淀川は摂津の国と河内の国を分ける境界線であった。

あわよくば味方に、それができないまでも邪魔をする。

そんな感じで睨みあっていた。


「名前が一杯で、全然判らないのです」

「とにかく、三つの勢力で争っている場所なのは判りました」

「弥三郎、自分だけ判ったようなことを言うなのです」

「判ったなんて言っていない」


藤八と弥三郎が喧嘩を始めた。

しばらく、暴れれば、落ち着くと慶次様が言ったので放置することにする。

そうだ、私には関係ない。

大切なことは三島神社だ!

この三島神社こそ、古事記の国産みに出てくる。

隠伎之三子島(おきのみつごのしま) (隠岐島)なのだ!


古事記を読み直しなさい。


淡道之穂之狭別島あわじのほのさわけのしま (淡路島)

伊予之二名島(いよのふたなのしま) (四国)

隠伎之三子島(おきのみつごのしま) (隠岐島)


淡路島から四国と来て、どうして突然に隠岐島なのよ。

おかしいでしょう?

対角線にあった河内の海に浮かぶ大きな三つ島であった三島神社が建つ三島こそ、国産みの『隠伎之三子島(おきのみつごのしま)』なのよ。


イザナミと出会ったイザナギは淡路島を新たな拠点とした。

イザナギの国であった伊予之二名島(いよのふたなのしま) (四国)を支配下に納め、イザナミに隠伎之三子島(おきのみつごのしま)を与えた。

隠伎と言われるくらいだから、無人島に近かったのではないだろう?

イザナミの一族はここに土地を頂いて、淀川水域に一大勢力をなった。

そして、イザナギの国はイザナミの国を追い出したのよ。


「そんなことは書かれていなかったわよね!」

「ええ、古事記には書かれていない。でも、天の羽衣伝説には残っている」

「そこで羽衣が出てくるのか!」

「そうなのです。天女とは、イザナミの隠語です」


イザナギは天から来たイザナミを迎えることで栄えることができた老夫婦だ。

丹後の伝説には、天女は自分の子でないから追い出された。

つまり、イザナミの勢力が大きくなったことを恐れたイザナギが追い出したのだ。


そうして、イザナミ一族は丹波を通って丹後まで流れつく。

ゆえに、丹後は『根の国』 (黄泉の国)と呼ばれる。

イザナギが死んだイザナミを迎えに行った土地の名前と一致する。


「どういうことなのですか?」

「追い出したイザナミが丹後の国で再び勢力を増した。怖くなったイザナギが従わせようと兵を出した。でも、散々に負けて帰ってきたのよ」


そして、イザナギの時代の話は終わた。

イザナギの国の栄華が終わったのだ!

そして、代わってスナノオが出てくるのよ。


「スナノオの話はまた今度にしましょう」

「誰も別に聞いていないわよ」


千代女ちゃんはツンデレなんだから!


「誰がツンデレなのよ。私は忍がまた問題を起こさないか見に来ているだけです」


三島と言うと小さい島のイメージになるけど!

実際は三島鴨神社を中心に大きな島を支配していた。

北河内の大半が三つ島じゃなかったのかな?

つまり、北河内と東摂津(門真市、守口市、寝屋川市、摂津市、茨木市)が三つ島だったと推測されるのよ。


「誰も信じないわ!」

「いいのよ。私が信じているの!」


全国に同じような地名があり、どれは最初かなんて判るハズもない。

でも、1つだけ言えることは古事記・日本書紀を作ったのは大和政権だったと言うことなのよ。

つまり、この畿内の人が納得するような伝承でなければ、誰も信じない。

この大和の地にあった伝承を改竄(かいざん)して、都合のいい解釈を加えた。

後出しじゃんけんだ!

とにかく、古事記・日本書紀には、海の一族の記録が消されている。

「今回の旅は、海の一族の伝承を巡っているのよ!」

「はじめて聞いたわ?」

「だって、初めて言ったもの」


千代女ちゃんがこめかみを押さえる仕草をした。

私、変なことを言っていないわよね!


「じゃあ、旅はここで終わりね!」

「何を言っているの! ここからはもう1つの伝承を追い駆けます。丹後の姫と言われる『竹取物語』の伝承の地を巡るのよ」

「それはどこにあるのかしら?」

「淀川を遡り、淀城の辺りから南へ下ってゆきます。生駒山の東側よ」


三島神社を拝観させて貰うと舟に乗って淀川を上っていった。


「忍様、退屈なのです」

「今日は舟に乗ってばかりです」

「どうだ、舟を岸に付けて、土手を歩くのも楽しそうだぞ!」

「駄目よ。他の兵まで寄ってくるでしょう」

「それが面白いんじゃないか?」


偶発的な乱戦しか思い付かない。

慶次様が悪い顔をしていた。

やりませんよ!


遅くなってすみません。

ひたすら謝ります!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 勝者の正史に記録されず、歴史の闇に消えていった諸族に光を当てようとしている点。 熊襲、狗奴、隼人、磐井、吉備、丹後日下部、出雲、両面宿儺、紀氏、秦氏……星野之宣の宗像教授シリーズのように、…
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