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信長ちゃんの真実 ~間違って育った信長を私好みに再教育します~  作者: 牛一/冬星明
第3章「元親様も教育します。えっ、どうして世界が攻めてくるの?」
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17.夏休みから一転。

気が付けば、天文16年5月10日(1547年5月28日 )になっていた。

そう、旧暦の5月です。


『抱き起こす葵の花や五月晴れ』 by.蝶夢


江戸の俳句師の蝶夢の歌です。

葵とはタチアオイのことで背丈が1mから3mの伸び、細い茎をまっすぐ上に伸ばして育ちます。

そのタチアオイを抱き起こす必要があるほどの、強い雨に打たれて倒れてしまった。

新暦の皐月は晴天が多いわ。

皐月晴れと聞いてもピンと来ないかもしれない。

でも、旧暦の皐月は梅雨だ。

そんなどんよりと暗い雲の合間から差す、一条の光のような晴天を表現したかったのよ。

何が言いたいかと言えば、『皐月晴れ』と表現されるように雨が多くなる梅雨です。

梅雨よ。


照り付ける太陽の日差しが痛いほど暑くなってくる。

雨が激しく打ちつける中をどろどろの川か、道か判らない所を歩き、蒸し暑さから汗がべっとりする。

そんな中を修験者のように細道を歩き、丹波の山々を抜けてゆくのです。


やってられるか!


ちょっと早い『夏休み』です。

涼みに行こう!

という訳でウラジオストクの保養所にやってきて来ました。

夏でも27度を超えないから避暑地には持って来い。


ウラジオストクの南には幅20kmのシベリア分断水路があり、大陸の人を遮断して平和な動物たちの楽園ですよ。

シベリアの広さは1,310万平方キロメートルですよ。

1万石が11.682平方キロメートルだから、112億1383万石の領地は余っていることになる。

つまり、100万石の大名を1万1213家も作れる。

100万石大名のバーゲンセールもOKよ!


「こんな土地は誰も欲しがらないのでは?」

「それが欠点なのよね! 東北の人なら冬の寒さに耐えられるから欲しがるかもしれないけど、畿内の人にとって島流しと同じなのよね。誰も住んでいないのは拙いから伊賀の人達にもちょっと無理を言って住んで貰っているのよ!」

「でも、夏は涼しくていいと思います」

「でしょう!」


伊賀忍者の希望で300人ほどの村ごとやってきました。

城のような煉瓦造りの生活区を作り、開拓し放題の大地と無限と思えるような木材の山が広がっています。

帆船も横づけできる港付きです。

人口一万人まで移住可能な城壁町付きだよ。

部族紛争に負けた部族が50人ほど難民になっていました。

馬が欲しい?

いいでしょう。

良馬の生産を委託しよう。

ついでに通訳のアンチョコも作って上げました。

城壁で暮らすより平原の方が落ち着くのか?

冬は寒いよ。

冬の家と夏の移動宿舎の感じで使い分けて暮らせばいいか。

木をサクサクと開墾して1万ヘクタール草原区を設置しておく。

農作区は5000ヘクタール(5万石)くらいを耕してあげようか!

じゃがいもなら3ヶ月くらいで収穫できるから間に合うかな?

夏は天国だけど、冬は地獄だからね。

伊賀のみなさん、がんばって!


避暑に連れてきたのは、帰蝶ちゃんと北条の方だけだ。

千代女ちゃんはお留守番だ。

余り連れ出すと長門君が怒るんだよ。

女中ズ、交代で世話をしてくれています。

一週間ほどのんびりしたら、ロサンゼルスやシドニー、メルボルン、グァムを回って、最後に望月島だ。

ちょっとご無沙汰だったな!

織田船団も順調らしいから物資は問題ない。


ご存知、望月島は八丈島より南西にある大きな島だ。

敢えて伊豆・小笠原火山帯を避けて、四国海盆の上に創った。

地球規模の変動はいつか起こるかもしれないが、それは100年、200年という近い未来ではないだろう。


「忍様、外は暑いですが、屋敷の中は涼しいのですね?」

「うふふふ、解説しよう。この水の館の隣にある水の塔には上流の地底湖から直接に水を供給しているのよ。その地下水を水の塔からこちらに流し、水の館の壁の中を通して室温を下げてようになっています。

冬は温かく、夏はひんやりと冷たく感じる。さらに、庭には噴水や人工の滝を作って、屋敷の周辺の温度を下げるように作ってあります」

「手間が掛かっていますね」

「水が動いている限り、蚊も発生しない。虫よけ兼ねて、ラベンダーなどの庭園を作っている」

「素晴らしいです」

「そうでしょう。快適さを追求するのに妥協はしない主義なのよ」

「よく判りませんが、凄い事とは判ります」


北条の方は驚き方がいいね。

そのびっくり感が新鮮でいいわ。

帰蝶ちゃんはびっくりするより、研究に没頭するタイプだから質問責めになるのよ。

最初は楽しいけど、段々面倒になった。

その点、北条の方はいいわ!

木の屋敷ではなく、石の屋敷というだけで北条の方は旅行先の建造物を珍しそうに褒め讃えている。

敵を威嚇する意味も込めて城を造っているからね!

そして、世界の大地の広さに何度も目を丸くしている。

北条の方はせっせと手紙を書いており、それを見て北条 氏康(ほうじょう うじやす)を始め、親族、家老らはどう思うのだろう。

手紙が理解できるように地球儀を送ってあげよう。

夕食は信長ちゃんを誘って大宴会だ。


 ◇◇◇


那古野の面々をご招待だ。

秀吉もいる。

なんか懐かしいな!

姉の(とも)ちゃんには毎日ほど会っているけどね。

今日もせっせと料理を運んでくれている。

旦那さんはいいのかな?

料理は望月島在住の千代女ちゃんの家臣が作ってくれた!

くじらやかつおの海に幸がずらりと並ぶ。

食事が終わると大浴場で旅の疲れを癒す。


「旅の疲れって、あんたはのんびりと世界を回っているだけでしょう」

「それが私の仕事です」

「那古野の話はしなくていいの?」

「聞くと関係しそうだからパス、いるものだけ言ってくれればいいわ!」

「そういうことなら話すことはないわ。でも、山科様から毎日ほど手紙が来ているわよ」

「私は知りません。那古野にも居ません」

「そんな嘘が通じる訳がないでしょう」


ちぃ、山科のおっさんは一度世界ツアーにお招きしたから無理か!

丁度、酒の補充も必要だし、明日でも顔を出しましょう。


 ◇◇◇


京の山科邸には織田の酒倉が並んでいる。

那古野に寄ってお酒樽を確保すると山科邸に飛んだ。

酒蔵の空いた酒樽を回収し、新しい樽に交換する。

清酒、麦焼酎、芋焼酎、米焼酎、黒糖焼酎を倉ごとに置き直してゆく。

一割は船で堺から京へ輸送しているけど、消費ほど輸送力が追いついていない。

現地生産か、治安の回復が行われないと輸送コストが掛かり過ぎるのだ。

消費も増えてきたし、現地生産を考える時期かな?

私が倉に来たと連絡を受けたのか、山科 言継(やましな ときつぐ)が慌ててやってきた。


「竹姫はん、なんで連絡をくれへんのや!」

「私は那古野にいないことになっているのよ。手紙なんて1通も開けてないからね!」

「そないなこと言わんと見ててや!」

「知りません」

「ホンマ、滅茶苦茶な人やな!」

「で、何の用事?」

「今、宮中では丹後から丹波のどこかで竹姫はんが遭難していると大騒ぎやわ!」

「はぁ、何を馬鹿なこと言っているのよ。私が遭難する訳ないじゃない」

「そら、わては知っておりますが、他の人は竹姫はんの凄さを知らへんのや。丹波の鬼とやりあって大変なことになってるんやないかとか!」


あぁ、そういうことか!

私は丹後から丹波の途中で行方不明になっているらしい。

丹波国大江山には本家本元の酒呑童子という鬼が棲んでいた。

その鬼を退治して、鬼切丸とか言う名刀の名が付いたような、違ったような?

刀はよく判らないわ。

それで捜索隊を出そうという事になっていた。


「わてはもちろん止めておるけど、九条はんらがここで織田と尼子に恩を売ろうと鼻息をあらくしてな!」

「迷惑な!」

「しかも丹波の寺々も捜索をお願いする嘆願書が舞い込んでくる始末や!」

「どうして丹波の寺々が?」

「そりゃ、竹姫はんの献金目当てに決まっているやろ」

「献金…………あっ、拝観料(はいかんりょう)のことね。大事な倉を開けて貰って、大切な宝を見せて貰っている御礼よ」

「お礼かなんか知らんけど、各神社や寺に100貫もの大金を落としてくれる竹姫はんは福の神や! 今日来るか、明日来るかと、皆、首を長ごうして待っているんや。それが初夏になってぱったりと音沙菜なしやで! 心配するのも判るやろ!」

「知らないわよ」

「とにかく、あっちこっちから朝廷に竹姫はんはどうなったの矢の催促や。帝も無視できひんから困っているんや」


私の知らない所で大事になっていた。

でも、私が悪い訳じゃないわよね。

みんなが勝手に大騒ぎしているだけよね。


「とにかく、参内して貰うで!」

「私、官位なんて持ってないわよ」

「大丈夫や、尼子はんが願い出て、織田はんの了解も貰って、豊臣(とよとみ)尚侍(ないしのかみ)ノ竹ノ姫の官位を貰っておいたわ」


豊臣って!

私が豊臣だと秀吉はどうなるのよ。

…………

う~ん、今更か!


「最初は近衛はんが猶子(ゆうし)にする言うて、大変やったんやで!」

「それは色々と拙いでしょう」

「そら、拙いわ! 近衛はんの発言権が大きなり過ぎるんや。それで断絶した家の家督を相続することにしたんや!」

「それに尚侍(ないしのかみ)って、帝の側室的なポジションじゃない」

尚侍(ないしのかみ)はお手付きが多いだけで側室やあらへんで! 大納言はんや右大臣の嫁はんに手を出したら、帝でも唯ですまんわ!」


そりゃ、そうか!

家臣の嫁を奪うのは拙いよね。

でも、私は独身です。


「はぁ、何言っているねん。織田の正室の手を出すほど、帝も度胸あらへんで!」


あちゃ、私、ここでも信長ちゃんの正室扱いか。

正直に言わない方がいいよね。

何故か十二単を着せられて輿に乗せられたよ。

マジで宮中に参内ですか?

心の準備なんてできていないわよ。


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